
この記事では、物流事業者などがEVトラックや燃料電池トラックを導入するときに使える国の「商用車等の電動化促進事業」(令和7年度補正予算)を整理します。トラック分の受付期間と予算の消化状況、補助対象となる事業者と車両、補助額の決まり方、車両と一体で導入する充電設備の補助率が分かります。
制度の概要(令和7年度補正予算)
商用車等の電動化促進事業は、環境省が所管する補助事業です。制度概要の資料では、令和7年度補正予算で300億円と、国庫債務負担行為(翌年度以降の支払を約束する予算)60億円が措置されたとされています。補助対象は、トラック、タクシー、バス、建設機械と、それらと一体的に導入する充電設備です。
車種ごとに執行団体(申請窓口)が分かれています。
- トラック:一般財団法人環境優良車普及機構(LEVO)
- タクシー・バス:公益財団法人日本自動車輸送技術協会
- 建設機械:一般社団法人日本建設機械施工協会
なお、乗用車中心のCEV補助金は事業用(緑ナンバー)の車両を対象外としています。運送事業に使う車両はこの事業が受け皿になります。
トラック分の受付期間と予算の消化状況
LEVOが執行するトラック分の受付期間は、令和8年4月24日から令和9年1月15日までです。予算額は約175億円(国庫債務負担行為約20億円を含む、車両と充電設備の総額)とされています。
LEVO「商用車等の電動化促進事業に係る受付状況」。申請車両台数は1,118台。
審査は原則として申し込み順です。予算の残額が2割程度になった時点でLEVOがその旨を公表し、以後は公表日から30日後までに申し込まれた申請をまとめて審査します。予算を超える場合は、初めて申請する事業者や脱炭素先行地域の事業所に導入する事業者を優先するなど、総合的に判断するとされています。
補助対象となる事業者と車両
申請できるのは、国が定める目標(目安)等に準じた非化石エネルギー自動車の導入計画を設定している、次のような事業者です。
- 貨物自動車運送事業者
- 自家用のトラック等を業務に使う者(車両総重量2.5トン超に限る)
- トラック等の貸渡しを業とする者、地方公共団体
- トラックと一体的に導入される充電設備を所有する者 など
令和4年度のCO2排出量が20万トン以上の多排出者は、排出削減目標の設定・公表などの取組を表明することが条件です(GXリーグ参加者は実施するものとみなされます)。
対象車両は、あらかじめ事前登録された電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池自動車(FCV)、水素内燃機関型のトラックで、令和8年2月2日から令和9年1月15日までに新車新規登録された車両です。車両総重量2.5トン超は事業用・自家用とも対象、2.5トン以下は事業用のみ対象です。短期間の実証運行など、反復・継続した走行が見込まれない場合は対象外です。
補助額の決まり方
車両の補助額は、LEVOのホームページで公表される「補助対象車両一覧」の基準額が上限です。基準額は、電動車両と従来車両(ディーゼル車等)の価格差を起点に、電費向上の機能や災害連携協定、ライフサイクル評価などを評価して増減させた金額とされています。
車両本体が値引きされている場合は、基準額から減額されます。差し引く額は、EVが値引額の3分の2、PHEVが2分の1、FCV・水素内燃機関型が4分の3です。また、過去の同事業を活用して令和7年3月末時点で電動車を保有台数の5%以上導入している事業者は、別途計画の提出が必要で、その内容に応じて交付額が個別に決まります。
充電設備の補助と申請の順番
充電設備は、トラックと一体的に導入する場合に限り補助されます。制度概要の資料では、補助率は次のとおりです。
- 充電機器(工事費):1/2(工事費は1/1)
- 受電設備・工事費:1/1
- V2H(工事費):1/2(工事費は1/1)
- 外部給電器:1/3
機器・設備・工事費のそれぞれに上限があり、工事費は工事項目ごとに上限が定められています。充電器の機種は、国の充電インフラ補助金で交付対象となっている型式に限られます。設置口数は導入車両台数以下、設置場所は申請事業者の敷地内で、課金装置は使用できない状態にしておく必要があります。
- 導入計画の作成非化石エネルギー自動車の導入目標
- 交付申請郵送・電子メール・Jグランツ
- 交付決定充電設備の発注はこの後
- 登録・設置新車新規登録と充電設備の工事
- 完了実績報告完了から30日または2月12日の早い方
車両の購入は交付決定前でもよいが、充電設備(機器・工事)と第三者による改造車は交付決定前の発注分が対象外。
Jグランツ(国の補助金電子申請システム)で申請する場合は、取得に2〜3週間かかるGビズIDが事前に必要です。
申請前に確認しておきたいこと
- 車両が事前登録済みか:導入したい車種が補助対象車両一覧に載っているか、基準額はいくらかを確認します。
- 納車時期:受付期間内に新車新規登録できるかを販売店に確認します。冷凍・冷蔵架装車など納期の長い車両は、国庫債務負担行為分(令和9年4月以降の登録分)の対象になり得るため、早めにLEVOへ相談します。
- 充電設備の容量:複数台を同時に充電する場合は、受電設備の増強が必要か、契約電力がどう変わるかを検討します。
- 補助事業期間:申請は単年度が原則で、複数年度にまたがる場合は事前にLEVOの承認が必要です。
まとめ
令和7年度補正の商用車等の電動化促進事業(トラック分)は、令和9年1月15日まで受付中で、令和8年10月15日時点では予算の約3割が申請済みです。車両は事前登録車に限られ、補助額は基準額と値引額で決まります。充電設備は車両と一体の場合だけ対象となり、交付決定前に発注すると補助を受けられないため、車両と充電設備の手配の順番を最初に決めておくことが大切です。物流倉庫の屋根太陽光との組み合わせは物流倉庫で使える補助金で扱っています。
タンソーマンGXでは、EVトラックと充電設備の補助金について、導入計画の整理から申請書類の作成、完了実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。
参考資料
- 環境省 令和7年度(補正予算)商用車等の電動化促進事業の公募について
- 環境省 商用車等の電動化促進事業の概要
- 環境優良車普及機構(LEVO)令和7年度補正予算 商用車等の電動化促進事業
- 環境優良車普及機構(LEVO)令和7年度補正予算 商用車等の電動化促進事業(トラック)公募要領
本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



