公開 2026.10.21

急速充電器と普通充電器 補助金の上限額の違い

この記事では、EV用の急速充電器と普通充電器で、補助金の補助率や上限額がどう違うのかを、国の充電インフラ補助金(令和7年度補正)と東京都の充電設備普及促進事業(令和8年度)の資料をもとに整理します。事務所や工場、店舗にどちらを置くか検討するときに、補助金の面から何を比べればよいかが分かります。

急速充電器と普通充電器の区分

急速充電器は直流で短時間に充電する設備、普通充電器は交流で数時間かけて充電する設備です。補助金ではさらに出力で区分されます。

  • 国の充電インフラ補助金:急速充電設備を出力で「10kW以上50kW未満」「50kW以上90kW未満」「90kW以上150kW未満」「150kW以上」に分け、普通充電設備、充電用コンセント、充電用コンセントスタンドと区別しています。
  • 東京都の充電設備普及促進事業:超急速充電設備(出力90kW以上)、急速充電設備(10kW以上90kW未満)、普通充電設備(10kW未満)、V2H充放電設備、充電用コンセント、充電用コンセントスタンドに分けています。

国の補助率は設置場所と出力で変わる

国の補助金の充電設備本体の補助金額は、「購入費(税抜)×補助率」と「型式ごと・事業ごとの上限額」の低い方です。補助率は、令和7年度補正の型式一覧表で次のように区分されています。

国の充電インフラ補助金における充電設備本体の補助率

急速充電設備

  • 高速道路SA・PA:定額(1/1以内)
  • 公道上・空白地域・目的地・基礎の90kW以上:定額(1/1以内)
  • 公道上・空白地域・目的地の50kW以上90kW未満:1/2以内
  • 基礎充電の10kW以上90kW未満:1/2以内

普通充電設備・コンセント類

  • 基礎充電(事務所・工場、マンション等):1/2以内
  • 目的地充電:定額(1/1以内)または1/2以内
  • 上限額は型式ごとに定める

事務所・工場の駐車場は「基礎充電」に当たります。基礎充電で急速充電器を置く場合、90kW以上なら定額、90kW未満なら2分の1以内という違いがあります。

型式ごとの上限額の幅

型式一覧表を見ると、急速と普通では上限額の桁が異なります。

型式一覧表に掲載された充電設備本体の上限額の例
  • 急速 180kW・2口の型式700万円
  • 急速 120kW・2口の型式500万円
  • 急速 50kW・1口の型式300万円
  • 普通 6kW・1口の型式(掲載例の最大)35万円

令和7年度補正 補助対象充電設備型式一覧表(2026年9月30日更新)の掲載例。同じ出力でも型式により上限額は異なる。

普通充電設備と充電用コンセントの上限額は、掲載例では数千円から35万円の範囲です。急速充電器は本体価格が高い分、上限額も大きく設定されていますが、補助率が2分の1の区分では自己負担も大きくなります。

工事費の上限 東京都の例

国の補助金では、設置工事費は工事項目ごとの上限と、事業・設置条件ごとの上限の範囲で定額補助されます。東京都の充電設備普及促進事業(事業用)では、工事費の上限が次のように分かりやすく示されています。

  • 超急速充電設備:出力1kW当たり8万円
  • 急速充電設備:出力1kW当たり6.2万円
  • 普通充電設備・充電用コンセントスタンド・V2H:1基目135万円、2基目以降68万円
  • 充電用コンセント:1基目95万円、2基目以降48万円
  • 機械式駐車場の場合(普通・コンセント類):1基目171万円、2基目以降86万円

たとえば出力50kWの急速充電器1基なら、都の工事費の上限は6.2万円×50kWで310万円です。大規模事業所(電源から設置地点までの配線が50mを超える等)では150万円、通信機能付き充電設備では超急速・急速で10万円、普通で3万円が上乗せされます。充電設備の合計出力が50kW以上の場合は、受変電設備の改修も上限435万円で対象になります。いずれも国の補助金を併用した場合は、その額を差し引いた残りが都の助成額です。

選定のされ方も違う

国の補助金は先着順ではなく、充電設備の出力1kW当たりの補助金申請額が少ない順に選定されます。急速充電設備には「高速道路SA・PAの90kW以上」を最優先とする優先順位があり、普通充電設備の基礎充電では既存分譲マンションの管理組合による簡易申請が優先されます。

令和7年度補正の第2期の結果では、1件当たりの平均は急速充電が84.24kW(1.29口)、普通充電(基礎)が26.53kW(7.73口)で、kW当たりの平均申請単価は急速が8.4万円、普通(基礎)が13.6万円でした。第2期はいずれの区分も申請額が配分額を下回り、選定外はありませんでした。

事務所・工場ではどちらを選ぶか

事務所・工場等に普通充電設備を置く場合、国の補助金では口数を駐車場収容台数の10%以下かつ10口以下(充電用コンセント類は収容台数以下かつ20口以下)とする上限があります。急速充電設備には、この口数上限は設けられていません。設置する充電設備は、OCPP1.6以降またはECHONET Liteという通信規格に準拠していることが原則です。これらは充電器を遠隔で監視・制御するための規格で、複数台の出力をまとめて調整する際の前提になります。

将来の台数増加を見込む場合は、東京都の事業用助成にある先行配管工事(1区画7万円、機械式駐車場は30万円)を使い、配管だけ先に済ませておく方法もあります。急速か普通かを一度に決めきれない場合でも、配線ルートと受電容量の余裕を最初の工事で確保しておくと、後の増設費用を抑えやすくなります。

補助金の上限額だけを見ると急速充電器が有利に見えますが、急速充電器は受電容量の増強や電気の基本料金の増加につながることがあります。社用車の台数、1日の走行距離、夜間に駐車している時間を整理し、普通充電で足りるかを先に確認するのが現実的です。運営費の考え方は充電器ビジネスの収支の解説をご覧ください。

まとめ

急速充電器は上限額が数百万円単位と大きい一方、出力と設置場所で補助率が1/1と1/2に分かれます。普通充電器は上限額が小さいものの、事務所・工場では口数の上限内で台数分を整備しやすい設備です。補助金の額だけでなく、受電設備と電気料金への影響を含めて比較することが大切です。

タンソーマンGXでは、充電器の機種と台数の検討から、国と自治体の補助金の申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。

参考資料

本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。

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