
この記事では、EVの電池から建物へ電気を送るV2H充放電設備(およびビル向けのV2B)を、法人の事業所に導入するときの補助金を整理します。国の令和7年度補正予算の補助内容と受付状況、法人が申請するときの設置場所の区分、東京都の令和8年度のV2B助成の上限額が分かります。
V2H・V2Bとは
V2H(Vehicle to Home)充放電設備は、EVやPHEVへの充電に加えて、車の電池から建物へ電気を送る(放電する)ことができる装置です。燃料電池自動車(FCV)からの給電に使えるものもあります。ビルや工場など事業用の建物に三相交流で給電する設備は、東京都の制度では「V2B(Vehicle to Building)充放電設備」と呼ばれています。
国の補助金は、停電時にEVの電気を活用して災害への備え(レジリエンス)を高めることを目的としています。補助を受けた設備の設置情報を国や地方公共団体に提供すること、災害時に国や地方公共団体から要請があれば可能な範囲で協力するよう努めることが、交付の条件に含まれています。
国のV2H補助金の内容(令和7年度補正)
国の補助金は「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てん設備等導入促進補助金」のV2H充放電設備分で、一般社団法人次世代自動車振興センター(以下、センター)が執行しています。申請できるのは地方公共団体、法人(マンション管理組合法人、認可地縁団体を含む)、法人格を持たないマンション管理組合、個人で、リースの場合は使用者が要件を満たす必要があります。
- 設備の購入費:補助率1/2以内。型式ごとの上限額があり、交付規程上の上限は1基当たり75万円
- 設置工事費:定額(1/1以内)。1基当たりの上限は、公共施設・災害拠点が95万円、それ以外が55万円
- 外部給電器:購入費の1/3以内、上限50万円
- 処分制限期間:V2H充放電設備は5年
対象機種はセンターの「補助対象V2H充放電設備一覧」に掲載された型式に限られます。発注と工事の開始は交付決定日以降でなければなりません。
法人の設置場所区分で何が変わるか
申請時には設置場所を「公共施設・災害拠点」「マンション等(共用分電盤)」「その他施設」「個人宅」から選びます。民間企業の事務所や工場は、通常「その他施設」に当たります。
公共施設・災害拠点
- 複数基の設置が可能
- 工事費の上限は1基95万円
- 災害拠点は地方公共団体等との災害協定が必要
その他施設(一般の事業所)
- 設置は1基に限る
- 工事費の上限は1基55万円
- 増設・追加設置は申請できない
事務所と住居を兼ねている場合は、電力契約と接続する分電盤で扱いが変わります。法人の事務所で電力契約が1契約の場合は申請できず、事務所と住居で2契約に分かれ、事務所側の分電盤に接続する場合に「その他施設」として申請できます。また、販売予定のないモデルハウスなど、デモンストレーション目的の設置は対象外です。
地方公共団体と災害時の支援協定を結んでいる事業者が、自社の施設を災害拠点として申請する場合は、協定書の締結が前提になります。
令和7年度補正の受付は8月に終了
令和7年度補正のV2H充放電設備の交付申請期間は、令和8年7月17日から9月30日17時までと定められていました。しかし、申請額が予算額を超えたため、センターは令和8年8月27日中に到着した申請をもって受付を終了しました(2026年8月28日公表)。次の公募の時期は現時点で公表されていません。最新の公募要領で確認してください。
受付期間中でも予算に達すると早期に締め切られるため、次の公募に備えて、機種選定、見積書、設置場所の図面を事前に準備しておくことが重要です。
東京都のV2B助成(令和8年度)
東京都の充電設備普及促進事業(事業用)では、ビル等での電力ピークの低減のためにEVと組み合わせて使うV2B充放電設備を助成しています。対象は国の補助金で交付対象として承認された新品の設備で、申請者が所有する建物に設置し、設置するV2Bの基数以上のEV等を保有等していることが要件です。
- 設備購入費(1基当たり):1基の場合は購入費の1/2・125万円、2基の場合は3/4・187.5万円、3基以上は全額・250万円のいずれか低い額(国の補助金を差し引いた額が上限)
- 設置工事費(1基当たり):1基62.5万円、2基93.7万円、3基以上125万円を上限に、同様の考え方で算定
- エネルギーマネジメント設備:1基15万円、2基22.5万円、3基以上30万円が上限
- 受変電設備:V2Bの合計出力が50kW以上の場合、上限435万円
国の補助金を併用する場合は、国の額確定通知書を受け取った後に都へ申請します。併用しない場合は、発注・工事開始前に申請し、交付決定後に着手します。令和8年度の提出期限は令和9年3月31日17時で、予算額に達した時点で終了します。V2Bの申請は電子メールでの提出です。
導入前に整理しておきたいこと
- 車両との適合:保有する(または保有予定の)EVで充電・放電の機能がすべて使えるか、メーカーや販売店で確認します。東京都も導入前の確認を求めています。
- 目的:停電時の非常用電源として使うのか、平常時の電力ピーク低減にも使うのかで、選ぶ設備や台数が変わります。
- 電力契約と分電盤:どの分電盤に接続し、どの範囲に給電するかを先に決めます。
- 申請の順番:国と都の両方を使う場合は、国の手続きを先に終える計画にします。
東京都の住宅向けを含むV2H支援は東京都のV2H・外部給電器の補助金で扱っています。
まとめ
国のV2H補助金は、法人の一般的な事業所では1基まで、工事費上限55万円という条件で利用できますが、令和7年度補正の受付は予算到達により8月で終了しました。東京都のV2B助成は基数が多いほど助成率が上がる仕組みです。災害時の活用方法と保有するEVとの適合を先に固め、次の公募に備えることが大切です。
タンソーマンGXでは、V2H・V2Bを含む充電設備の補助金について、制度の組み合わせの検討から申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。
参考資料
- 次世代自動車振興センター R7年度補正予算 補助金(V2H充放電設備)のご案内
- 次世代自動車振興センター 令和7年度補正 V2H充放電設備 応募要領
- 次世代自動車振興センター V2H充放電設備・外部給電器 交付申請受付終了のお知らせ(2026年8月28日)
- クール・ネット東京 充電設備普及促進事業(事業用)
- 東京都 令和8年度充電設備普及促進事業 報道発表(2026年3月30日)
本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



