
この記事では、建物のZEB化に使える環境省の補助金について、令和8年度の公募要領に基づき、対象となる建物の条件、補助率の決まり方、太陽光発電や蓄電池を組み込むときの注意点を解説します。新築と既存建物の改修で条件が大きく異なる点も整理します。
ZEBとは
ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは、断熱や高効率設備で建物のエネルギー消費を大きく減らし、太陽光発電などの再生可能エネルギーで残りを賄うことで、年間の一次エネルギー消費量の収支を正味ゼロに近づけた建物のことです。達成度に応じて『ZEB』、Nearly ZEB、ZEB Ready、ZEB Orientedの段階(ZEBランク)があり、補助金ではこのランクによって補助率が変わります。
令和8年度の環境省「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」
環境省は令和7年度補正予算と令和8年度予算で「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」を実施しています。新築・既存のZEB化を支援する事業の執行団体は一般社団法人静岡県環境資源協会(SERA)です。主なメニューは次のとおりです。
- 新築建築物のZEB普及促進支援事業
- 既存建築物のZEB化普及促進支援事業
- ライフサイクルカーボン削減型の新築ZEB支援事業
- 低炭素型建材活用新築ZEB支援事業
- 業務用施設における省CO2化・熱中症対策等支援事業 など
新築・既存のZEB普及促進支援事業は、令和8年度の二次公募が8月21日から9月30日まで行われ、締め切られています。一方、「低炭素型建材活用新築ZEB支援事業」は令和8年度の三次公募(10月16日〜12月15日)が今年度最終の公募として受付中です。
補助の対象となる建物の条件
新築・既存のZEB普及促進支援事業では、主に次の環境性能が求められます。
- 外皮性能:建築物省エネ法の誘導基準における外皮性能基準(外壁や窓からの熱の出入りに関する基準)に適合すること
- 一次エネルギー消費量:再エネを除いて、基準値より50%以上削減すること(地方公共団体等の大規模建築物には別の基準があります)
- 第三者認証:BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)でZEBのいずれかの認証を事業開始後速やかに取得し、評価書の写しを提出すること
- エネルギー管理:BEMS(建物のエネルギー管理システム)などで計量・計測を行い、事業完了後に月単位の使用量を報告できること
- ZEBプランナーの関与:ZEBの設計・相談に対応する登録事業者であるZEBプランナーが関与し、交付決定時までに登録が完了していること
- ZEBリーディング・オーナー登録:建物の所有者として登録申請を行うこと
- 耐震・水害への備え:事業完了後の建物が1981年改正の耐震基準を満たすことなど、レジリエンスに関する要件もあります
民間事業者が所有する建物には面積の制限があります。既存建築物は延べ面積2,000㎡未満、新築で事務所等以外の用途は延べ面積10,000㎡未満に限られます。
補助率は4つの条件で決まる
補助率は「ZEBランク」「新築か既存か」「事務所等かそれ以外か」「延べ面積」の組み合わせで決まります。令和8年度の公募要領では、区分に応じて6分の1から3分の2までの幅があり、上限額は区分ごとに3億円または5億円です。
- ZEBランク『ZEB』に近いほど補助率が高い
- 新築か既存か新築と既存で補助率の表が分かれる
- 建物の用途事務所等と、それ以外(店舗・病院・学校等)で分かれる
- 延べ面積2,000㎡未満などでZEB Readyが対象外になる区分がある
令和7年度補正三次・令和8年度二次公募の公募要領に基づく。具体的な率は公募要領の表で確認する。
さらに、CO2削減量に対する費用対効果の上限もあります。CO2を1t削減するための補助額が、『ZEB』は12万円、Nearly ZEBは10万円、ZEB ReadyとZEB Orientedは5万円を超える場合、その水準で計算した額が補助金の上限になります。交付決定後にZEBランクが下がると交付取り消しになるおそれがあるため、設計段階での余裕を持った計画が重要です。
太陽光発電と蓄電池を組み込むときの注意点
ZEBは再生可能エネルギーの導入とセットで考えることが多く、公募要領には再エネ設備に関する規定があります。
- 新築は再エネ発電設備が必須:新築建築物では再エネ発電設備の設置が要件です
- 自家消費が原則:発電した電気は主に自家消費します。休日など蓄電池の充電後に生じる余剰電力の逆潮流は妨げられませんが、FITなどによる売電は認められません
- 収益納付:売電益などで相当の収益が生じた場合は、補助金の一部を納付する必要があります
- 太陽光パネルの扱いが変わる:令和8年度に導入する太陽光発電設備は補助対象となり得ますが、令和9年度以降に導入する場合、太陽光パネルの設備費は原則として補助対象外になると公募要領に明記されています
- 蓄電システム:再エネとの連携(創蓄連携)に限られ、補助対象経費全体の20%が上限です。原則として系統からの充電は行いません
また、太陽光発電システム・蓄電池と、それらを制御するEMSには、JC-STAR(IoT製品のセキュリティ適合ラベル)の取得が要件とされています。
申請までの準備
ZEBの補助金は、設計の段階から一次エネルギー消費量の計算やBELS認証の準備が必要で、令和8年度の二次公募では公募期間が約40日でした。建物の計画が固まる前にZEBプランナーと相談し、目標とするZEBランクと補助率の見通しを立てておくことが大切です。経済産業省側でもSIIが「令和8年度 ZEB実証事業」を実施しているため、建物の規模や用途に応じて比較するとよいでしょう。補助率や面積要件は年度で見直されることがあるため、最新の公募要領を必ず確認してください。
タンソーマンGXでは、ZEB化に伴う太陽光発電・蓄電池の導入について、制度選定から申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。
参考資料
- 環境省 報道発表 建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業の公募について
- 静岡県環境資源協会 令和8年度 建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業
- 新築建築物のZEB普及促進支援事業/既存建築物のZEB化普及促進支援事業 公募要領(R7補正三次・R8二次)
本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



