公開 2026.10.21

補助金は課税される?圧縮記帳と国庫補助金の会計処理

この記事では、法人が受け取る補助金に法人税がかかるのか、設備投資の補助金で使われる「圧縮記帳」とはどのような仕組みかを、法人税法の条文と公募要領の記載をもとに整理します。あわせて、消費税の扱いと、決算・申告で注意したい点を解説します。具体的な処理は会社ごとに異なるため、実際の申告は顧問税理士と確認しながら進めてください。

補助金は法人税の課税対象になる

補助金は返済不要のお金ですが、法人にとっては収益です。中小機構の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」第1回公募要領(令和8年)では、補助金は経理上、支払を受けた事業年度における収入として計上するものであり、法人税等の課税対象となると明記されています。

ここで問題になるのが、設備投資の補助金です。たとえば補助金で機械を購入した場合、補助金を受け取った年度に収益が一度に計上される一方、機械の取得費用は減価償却を通じて何年にもわたって少しずつ費用になります。そのままでは、補助金を受けた年度に大きな課税所得が生じ、受け取った補助金の一部を税金として納めることになりかねません。この問題に対応する仕組みが圧縮記帳です。

圧縮記帳の仕組み

法人税法第42条は、法人が固定資産の取得または改良に充てるための国または地方公共団体の補助金等(同条で「国庫補助金等」と呼ばれます)の交付を受け、その交付の目的に適合した固定資産を取得または改良した場合に、補助金の額に相当する金額の範囲内で、その資産の帳簿価額を損金経理により減額するか、積立金として積み立てる方法で経理したときは、その金額を損金に算入できると定めています。

帳簿価額を減額した分(圧縮損)が補助金の収益と相殺されるため、受け取った年度の課税所得は増えません。その代わり、資産の帳簿価額が小さくなる分、その後の減価償却費も小さくなります。

圧縮記帳をする場合としない場合

圧縮記帳をしない場合

  • 補助金を受けた年度に収益が一度に計上される
  • その年度の課税所得が大きく増える
  • 資産の帳簿価額は取得価額のまま

圧縮記帳をする場合

  • 補助金と同額まで圧縮損を計上できる
  • 受け取った年度の課税所得は増えない
  • 帳簿価額が下がり、以後の減価償却費が小さくなる

圧縮記帳は税金を免除する制度ではなく、課税の時期を後にずらす(繰り延べる)制度です。

したがって、耐用年数全体で見れば税負担の総額が大きく変わるわけではありません。設備を取得した年度に資金が流出しないよう、課税を平準化する効果があると理解するとよいでしょう。

適用を受けるための主な条件

法人税法第42条の規定から、主な条件を整理すると次のとおりです。

  • 補助金が固定資産の取得または改良に充てるためのものであること
  • 補助金の返還を要しないことが、その事業年度終了の時までに確定していること
  • その事業年度終了の時までに、交付の目的に適合した固定資産を取得または改良していること
  • 損金経理による帳簿価額の減額、または確定した決算での積立金の積立てなど、定められた方法で経理すること
  • 確定申告書に、損金算入に関する明細を記載すること(同条第3項)

最後の明細の記載がない場合、原則として適用を受けられません(やむを得ない事情があると税務署長が認めた場合を除く)。決算と申告の段階で忘れずに対応する必要があります。

返還不要が確定していないとき

補助金を受け取った年度末の時点で、まだ返還を要しないことが確定していない場合もあります。法人税法第43条は、この場合に補助金の額以下の金額を特別勘定として経理し、損金に算入できると定めています。その後、返還を要しないことが確定した年度に、第44条に基づいて固定資産の圧縮記帳を行う仕組みです。

補助金の額の確定や入金の時期が決算期をまたぐことは珍しくありません。どの年度にどの処理をするかは、交付決定・額の確定・入金の日付をそろえたうえで税理士と確認してください。

圧縮記帳の対象にならない部分

圧縮記帳の対象は、固定資産の取得または改良に充てた補助金です。新事業進出・ものづくり補助金の公募要領でも、固定資産の取得に充てるための補助金については圧縮記帳が認められる一方、技術導入費や専門家経費など固定資産の取得以外に充てられる部分の補助金には圧縮記帳の適用は認められないと注意しています。

同じ補助事業の中でも、設備費と、外注費・広告費などの費用が混在する場合は、補助金の額を経費区分ごとに分けて考える必要があります。

消費税の扱い

消費税は、事業者が対価を得て行う取引に課税されます。国税庁のタックスアンサー「課税の対象とならないもの(不課税)の具体例」では、国または地方公共団体からの補助金や助成金等を、一般的に対価を得て行う取引ではないとして不課税の例に挙げています。

一方、補助金の計算では、多くの制度で消費税が補助対象経費から除かれます。新事業進出・ものづくり補助金の公募要領では、課税事業者は課税仕入れに伴い消費税の還付が生じるため、還付と補助金の交付が重複しないよう、交付申請時に消費税等仕入控除税額を減額して記載することとされています。SIIの省エネ・非化石転換補助金でも、消費税・地方消費税は補助対象外です。

決算・申告までの流れ

設備補助金の会計・税務処理の流れ
  1. 設備の取得取得価額で資産計上
  2. 額の確定・入金確定通知と入金日を記録
  3. 収益の計上補助金収入を計上
  4. 圧縮記帳帳簿価額の減額または積立金
  5. 申告確定申告書に明細を記載

税制は改正されることがあり、補助金ごとに交付の条件も異なります。圧縮記帳を適用するかどうか、どの方法で経理するかは、顧問税理士と相談のうえ判断してください。補助金で取得した資産の処分の制限については、補助金で取得した設備の処分制限で解説しています。

タンソーマンGXでは、補助金の申請から実績報告までの手続きを支援し、決算・申告で必要となる交付決定や額の確定の書類の整理もお手伝いしています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。

参考資料

本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。

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