
補助金は申請すれば必ず受け取れるものではなく、審査の結果、不採択になることがあります。この記事では、不採択の主な原因を「要件・書類」「評価」「予算」の3つに分けて整理し、次の公募で再申請するときに見直すポイントを、令和7年度補正・令和8年度の公募要領の記載をもとに説明します。
不採択の理由は原則として開示されない
まず知っておきたいのは、不採択の理由が個別に説明されない制度が多いことです。中小機構が公表した新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回)の公募要領では、採択結果についての理由開示および異議申立は一切受け付けないと明記されています。SIIの省エネ・非化石転換補助金でも、交付決定についての個別の問い合わせには応じないとされています。
そのため、再申請の準備では、公募要領に書かれた審査の仕組みと自社の申請書を照らし合わせ、どこで点数を落としたかを自分たちで推測する必要があります。
要件・書類
- 対象外の事業者・設備
- 書類の不備・不足
- 審査の対象外になる
評価
- 効果が小さい
- 計画の確実性が弱い
- 加点項目の未活用
予算
- 申請額が予算を超過
- 上位から採択
- 公募回で競争率が変わる
原因1:要件の不適合と書類の不備
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公募要領では、補助対象者や補助対象事業に当てはまらない場合や、申請内容・提出書類に不備や不足がある場合は、審査の対象とならず不採択になるとされています。SIIの設備単位型でも、不備が解消されない場合は審査の対象外とすることがあるとされています。
見直すポイントは次のとおりです。
- 導入する機器が、その公募回で対象として公表された型番・性能基準を満たしているか。
- 大企業・中小企業等の区分を正しく判定しているか(みなし大企業の扱いを含む)。
- 様式が最新の公募回のものか。前回の様式は使えないことがあります。
- 決算書や登記簿謄本の期限(発行後6か月以内など)を守っているか。
- 見積が3者そろっているか、補助対象と対象外の経費が明細で分かれているか。
原因2:評価で上位に入らなかった
要件を満たしていても、審査で他の申請より評価が低ければ採択されません。SIIの設備単位型の公募要領では、審査項目として、要件への適合、資金調達計画や工事計画を含む全体計画の確実性、経費が類似事業の標準価格や参考見積を参考に算定されていることが挙げられています。評価項目には省エネルギー効果が含まれ、事業区分ごとに評価して上位から予算の範囲内で採択するとされています。
加点にあたる項目を確認する
同じ公募要領では、追加の評価を行う項目として、中小企業者等が行う省エネ事業、2023年度以降に国の省エネ診断事業で診断を受けた事業、経営力向上計画や経営革新計画の認定を受けた企業の事業、パートナーシップ構築宣言の登録企業の事業などが挙げられています。前回の申請でこうした項目を使っていなかった場合は、次回までに準備できるものがないかを検討します。省エネ診断は、SIIの令和7年度補正「地域エネルギー利用最適化・省エネルギー診断拡充事業」で受け付けています。
効果と費用の根拠を厚くする
- 省エネ量の計算に使った稼働時間や負荷率に、運転記録などの裏付けがあるか。
- 計画の省エネ量に余裕(裕度)を持たせすぎて、評価上の効果を小さくしていないか。
- 事業計画型の補助金では、会社全体の事業計画と補助事業がつながっているか。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公募要領は、補助金獲得のみを目的とした計画に注意を促しています。
採択された事業と比べる
SIIの設備単位型では、交付決定後に事業者名、事業概要、補助金交付決定額などがホームページ等で公表されるとされています。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金でも、採択された案件の名称と補助事業計画名が公表されます。同じ業種や同じ規模の採択事業と比べると、自社の計画の効果や規模がどの位置にあったかを推測する手がかりになります。
原因3:予算の範囲を超えた
SIIの設備単位型の公募要領では、交付申請額の合計が予算額を超える場合には、総合評価の結果、不採択となることがあると明記されています。また、3次公募の採択結果により4次公募の予算が変動する場合があるとされています。同じ内容でも、公募回によって競争の度合いが変わるということです。
予算による不採択の可能性がある場合は、次の公募回や他の制度(国の別事業、都道府県・市区町村の制度)への申請も視野に入れます。ただし、同じ経費で複数の補助金を重複して受けることは原則としてできません。
再申請の前に確かめること
- 結果の確認公表された採択事業と比べる
- 原因の推定要件・評価・予算に分ける
- 計画の修正効果の根拠と加点項目
- 次の公募の確認様式と要件の変更点
- 再申請見積の有効期限も確認
- 再申請ができるか:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金では、不採択となった事業者は事業計画を見直したうえで再度申請できるとされています。ただし、対象者となることを目的に資本金や従業員数などを変更したと認められる場合は補助対象外になるとの注意もあります。
- 次の公募があるか:補助金は予算年度ごとの事業で、次の公募が必ずあるとは限りません。後継事業の有無は、各省の予算の発表と事務局の告知で確認します。
- 見積の有効期限と取得時期:前回の見積が期限切れになっていないか、新しい公募回で見積の発行日に条件がないかを確認します。
- 発注していないか:不採択後に設備を先に発注すると、その設備は以後の補助対象にならないことがあります。投資の時期と再申請のどちらを優先するかを社内で決めておきます。
まとめ
不採択の理由は開示されないことが多いため、公募要領の審査項目と採択の仕組みを手がかりに、要件・評価・予算のどこに原因があったかを推定することが再申請の出発点です。書類の不備をなくし、効果の根拠と加点項目を整えれば、次の公募で評価が変わる可能性があります。公募の条件は年度ごとに変わるため、再申請の際は最新の公募要領を最初から読み直してください。申請前の準備は「補助金申請の準備チェックリスト」も参考にしてください。
タンソーマンGXでは、不採択となった計画の見直しを含め、制度の選定から申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。
参考資料
- SII 設備単位型 公募要領(令和7年度補正・4次公募用)
- SII 令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)
- 中小機構 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)
- SII 令和7年度補正 地域エネルギー利用最適化・省エネルギー診断拡充事業
本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



