公開 2026.10.21

CO2排出量の算定と補助金 削減量の根拠を示す

脱炭素関連の補助金では、設備を導入するとCO2排出量がどれだけ減るかを、数字で示すよう求められることが増えています。この記事では、CO2排出量の基本的な算定方法と、補助金の申請で削減量の根拠を示すときの考え方を、環境省の算定制度と令和8年度の公募要領の計算例をもとに説明します。

CO2排出量の基本の式

CO2排出量は、原則として「活動量×排出係数」で計算します。活動量とは電気や燃料の使用量のことで、排出係数とは使用量1単位あたりのCO2排出量です。環境省の「算定方法・排出係数一覧」では、他社から供給された電気の使用によるCO2排出量は「電気使用量×単位使用量当たりの排出量」で算定するとされています。

CO2排出量の計算の考え方
  • 活動量電気の使用量(kWh)、ガス・燃料の使用量
  • 排出係数電気は電気事業者ごとの係数、燃料は種類ごとの係数
  • 排出量活動量×排出係数で求める(t-CO2)
  • 削減量導入前の排出量−導入後の排出量

電気の排出係数

電気の排出係数は、電気事業者ごと(料金メニューごと)に、環境大臣と経済産業大臣が毎年公表しています。令和6年度実績の係数は2026年1月9日に公表され、その後も追加・更新されています。温対法の報告では、基礎排出係数(非化石電源の調整を反映した係数)と調整後排出係数(非化石証書などの調達を反映した係数)の2種類が使い分けられます。事業者ごとの係数を使えない場合には、代替値として公表された係数を使います。

注意したいのは、補助金の申請では、制度ごとに使う係数が指定されている場合があることです。自社の電力契約の係数ではなく、申請様式で定められた値を使う必要があります。

補助金の申請でCO2削減量が使われる場面

  • 要件の判定:一定の削減効果や費用対効果を満たすことが申請要件になっている場合があります。
  • 審査の評価:削減量や削減率が高い事業ほど評価される制度があります。
  • 事業後の報告:導入後に実績の削減量を報告する義務が課される制度もあります。

省エネ補助金では、CO2ではなく原油換算のエネルギー量で効果を示す制度もあります。SIIの省エネ・非化石転換補助金(設備単位型、令和7年度補正・4次公募)の省エネ要件は、省エネ率10%以上、省エネ量1kl以上、経費当たり省エネ量1kl/千万円以上のいずれかを満たすこととされています。申請する制度が何を指標にしているかを、最初に確認することが大切です。

計算例:環境省の太陽光発電の補助金(令和8年度)

環境省の令和8年度「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」では、公募要領とQ&AにCO2削減量の目標値の計算方法が示されています。

  • 年間CO2削減量=自家消費電力量の見込み(kWh/年)×商用電力の排出係数(kg-CO2/kWh)÷1,000×安全率
  • 累計CO2削減量=年間CO2削減量×太陽光発電設備の法定耐用年数(17年)
  • 費用効率性=太陽光発電設備の補助対象経費÷累計CO2削減量。これが1t-CO2あたり40,000円以下であることが要件

Q&Aでは、応募様式で定められた商用電力の排出係数(代替値)として0.434kg-CO2/kWh、安全率として0.9が示されています。計算例では、太陽光100kW、自家消費電力量10万kWh/年、補助対象経費1,500万円(仮定)の場合、年間削減量は約39.06t-CO2、17年間の累計は約664t-CO2、費用効率性は約22,590円/t-CO2で要件を満たす、とされています。

費用効率性の計算例と要件の上限(令和8年度ストレージパリティ事業)
  • 要件の上限40,000円/t-CO2
  • Q&Aの計算例約22,590円/t-CO2

環境イノベーション情報機構 同事業Q&A 問9-9-b。補助対象経費1,500万円は仮定の値です。

同じQ&Aでは、自家消費されない余剰電力量は削減量に含められないとされています。過去1年の30分ごとの電力消費データと発電シミュレーションを1時間ごとに比べて、自家消費電力量を見積もる方法が示されています。

削減量の根拠を示すためのポイント

  • 導入前のデータを実測で示す:電気料金の明細、燃料の購入記録、設備の運転記録など、第三者が確認できる資料を基準にします。明細の読み方は「電気料金明細から補助金の要件を確かめる方法」で解説しています。
  • 指定された係数と様式を使う:制度ごとの係数や安全率を使い、独自の数値に置き換えないようにします。
  • 算定ツールを活用する:環境省は「地球温暖化対策事業効果算定ガイドブック<補助事業申請者用>」を公表しており、令和8年3月に計算ファイルのパラメータが更新されています。再エネ発電、蓄電池、省エネ設備など区分ごとの計算ファイルにデータを入力すると、CO2削減効果が算定される仕組みです。環境省の補助事業では、この結果が採択判断の基準の一つとして用いられます。
  • 過大な見積をしない:導入後に実績を報告する制度では、計画値と実績値の差が問われることがあります。稼働時間や負荷率は、根拠のある値を使います。

自社の排出量の算定と補助金をつなげる

補助金の申請のたびに個別の計算をするよりも、自社全体のCO2排出量(Scope1:燃料の燃焼による直接排出、Scope2:購入した電気や熱による間接排出)を毎年算定しておくと、どの設備から手を付ければ削減効果が大きいかが分かり、申請書の根拠もそろえやすくなります。取引先から排出量の報告を求められる企業も増えています。

タンソーマンGXが提供するタンソチェックでは、電気や燃料の使用量からCO2排出量を算定し、記録できます。

まとめ

CO2削減量は「活動量×排出係数」で計算し、補助金の申請では制度が指定する係数・安全率・耐用年数を使うことが基本です。導入前の使用量を明細などの実測データで示し、自家消費や稼働条件を現実的に見積もることが、審査で信頼される根拠になります。係数や計算方法は年度ごとに更新されるため、申請時の最新の様式で確認してください。

タンソーマンGXでは、CO2削減量の算定を含め、補助金の制度選定から申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。

参考資料

本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。

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