
EV充電器の設置場所は、補助金の要件を満たすかどうかと、設置後に実際に使われるかどうかの両方で決まります。この記事では、国の令和7年度補正「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てん設備等導入促進補助金(充電設備)」の申請要件をもとに、設置場所の種類ごとに求められる条件と、利用されやすい場所の考え方を整理します。
補助金は「誰が使う充電器か」で区分が分かれる
一般社団法人次世代自動車振興センターが公表した令和7年度補正の申請要件まとめでは、補助の対象となる事業が大きく3つの考え方、8つの事業に分けられています。
経路充電
- 高速道路SA・PA
- 公道上
- 空白地域
- 移動の途中で使う
目的地充電
- 商業施設
- 宿泊施設・道の駅・給油所等
- 滞在中に使う
基礎充電
- マンション・月極駐車場
- 事務所・工場等
- 共同利用充電拠点
- 保管場所で使う
次世代自動車振興センター「申請の要件まとめ(追加募集分)」より。
設置場所を考えるときは、まず自社の充電器が不特定多数に開放するもの(経路・目的地)なのか、社有車や従業員の車に限るもの(基礎)なのかを決めます。区分によって、場所に求められる条件が大きく異なります。
どの区分でも共通する場所の条件
- 既存の駐車スペースを使う:設置場所は既存の駐車スペースを活用することとされ、舗装されていない場合も舗装費は補助の対象外です。
- 1台分に1基:駐車スペース1台分につき充電設備1基が原則で、充電コネクタが2つ以上ある機器はその数に合わせて駐車スペースを確保します。
- 駐車スペースの広さ:充電中の車が公道にはみ出さないよう、幅2.5m・奥行き5mが目安とされています。経路充電と目的地充電では、車両の大きさが制限されるスペースへの設置は認められません。
- 土地の使用権限:設置する土地の使用権限が必要で、借地の場合は、土地の所有者が充電設備を5年間設置することを許諾した書類を提出します。設置した充電設備は5年間の保有義務があります。
- 交付決定後の発注:充電設備の発注、設置工事の開始、代金の支払いは交付決定日後であることが要件です。
目的地充電:誰でも入れて、見つけやすい場所
商業施設や宿泊施設などに設置する目的地充電では、次の条件をすべて満たす必要があります(主なもの)。
- 公道に面した入口から誰もが自由に出入りできる場所であること。出入りのたびに許可が必要な場所や、ほかの車を動かす必要がある場所は該当しません。
- 利用者を限定せず、ほかのサービスの利用や物品の購入を条件にしないこと。
- 充電場所を示す案内板を施設の入口に、車道の上下線から見える形で設置すること。
- 場所・出力・利用可能時間・休止状況を誰でもインターネットで確認できること、充電料金を徴収すること、区画内に路面表示を設置すること。
- 24時間利用できるかどうかを申告すること(24時間利用できるよう努めることが推奨されています)。
- 普通充電設備などの口数には上限があり、駐車区画数200以下の場合は4口、201以上の場合は駐車区画数の2%以下かつ50口以下とされています。
急速充電設備は、OCPP1.6以上(充電器と管理システムをつなぐ通信規格)に準拠した総出力50kW以上であることが条件です。
事務所・工場:社有車と通勤車のための場所
事務所・工場等への設置(基礎充電)では、利用者が申請者の社有車と従業員の通勤車に限られます。
- 設置場所は申請者の事務所・工場等の敷地内であること。
- 来客用の駐車場には設置しないこと。
- 普通充電設備は、駐車場の収容台数の10%以下かつ10口以下。充電用コンセント・コンセントスタンドは収容台数以下かつ20口以下。
- 通信を使って課金や制御を行う機器は、OCPP1.6以降またはECHONET Lite(家電や設備の通信規格)に準拠すること。
来客にも使ってもらいたい場合は、基礎充電ではなく目的地充電の要件を満たす計画が必要になり、一般開放や料金徴収などの条件が加わります。どちらの区分で申請するかは、設置場所を決める前に整理しておきます。
利用されやすさの考え方
補助金の要件を満たしても、使われない充電器は維持費だけがかかります。設置場所を選ぶときは、次の点も検討します。
- 滞在時間と出力を合わせる:買い物や宿泊など滞在が長い施設では普通充電、短時間で立ち寄る場所では急速充電が向いています。
- 受電設備からの距離:急速充電器は大きな電力を使うため、受変電設備の容量や配線の距離で工事費が大きく変わります。補助金の要件でも、承認された定格出力を同時に出せる電気設備の工事が求められています。
- 周辺の充電器:空白地域の区分では、原則として設置場所から道のり15km以内に急速の公共用充電設備がないことが条件です。逆に言えば、近くに充電器が多い場所では、利用が分散することも考慮します。
充電器の収支の考え方は「充電器ビジネスの収支」で解説しています。
令和7年度補正の募集状況
次世代自動車振興センターは、令和7年度補正予算の第2期募集の結果を2026年9月28日付で公表しています。また、経済産業省の発表として、工期の長い案件向けに「年度またぎ事業」の公募を行うことが示されており、対象は高速道路SA・PAの急速充電器と新築集合住宅の普通充電器に限られ、申請受付期間は令和8年10月から11月中旬の想定とされています。そのほかの区分の今後の募集の有無は、同センターの発表で確認してください。要件は年度や募集回ごとに変わることがあります。
まとめ
充電器の設置場所は、まず経路・目的地・基礎のどの区分で申請するかを決め、その区分の場所の条件(入口、案内板、来客用駐車場の扱い、口数の上限など)を満たすかを確認することが出発点です。そのうえで、滞在時間、受電設備からの距離、周辺の充電器を見て、実際に使われる場所を選びます。
タンソーマンGXでは、充電器の設置場所の検討から補助金の申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。
参考資料
- 次世代自動車振興センター 令和7年度補正 充電設備補助金 申請の要件まとめ(追加募集分)
- 次世代自動車振興センター 令和7年度補正 充電設備補助金
- 次世代自動車振興センター 充電設備補助金 R7年度補正予算 第2期募集結果の公表
- 次世代自動車振興センター 充電設備補助金 年度またぎ事業の公募について
本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



