
この記事では、補助対象の設備を購入ではなくリースで導入する場合に、補助金をどのように受けるのかを解説します。国の主な設備補助金では、設備を使う事業者とリース会社が「共同申請」を行い、補助金はリース会社に交付されて、その分だけリース料が下がる仕組みが採られています。令和7年度補正・令和8年度の公募要領をもとに、共同申請の条件と、リース料の扱いで注意したい点を整理します。
リースで補助金を受ける基本の仕組み
リースでは設備の所有者はリース会社で、事業者はリース料を払って設備を使います。補助金は本来、設備を取得する者に交付されるため、多くの制度では「設備を使う事業者」と「設備を買うリース会社」が共同で申請し、補助金はリース会社が受け取る形をとります。そのうえで、受け取った補助金に相当する額をリース料から差し引くことが条件になります。
補助金は事務局からリース会社に交付され、補助金相当分をリース料から減額することで事業者に還元されます。
このため、事業者が受ける効果は「補助金の入金」ではなく「毎月のリース料の低下」として表れます。資金繰りの計画では、この違いを前提に組み立てる必要があります。
省エネ・非化石転換補助金(SII)の場合
SIIが執行する令和7年度補正予算「省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)」の4次公募要領では、リースを利用する場合の条件を次のように定めています。
- 設備使用者とリース事業者等が共同申請を行い、リース事業者は1申請につき1社とする
- リース料から補助金相当分が減額されていることを証明する書類を出す。補助金がある場合とない場合のそれぞれについて、リース料の基本金額、資金コスト(調達金利の根拠)、手数料、保険料、税金等を明示する
- 同じ事業の中で、設備使用者による購入とリース事業者による購入を併用しない
- 残価設定付リース契約や割賦契約と判断される契約は対象外
- 処分制限期間(法定耐用年数)の間、設備を使うことを前提とした契約であること。契約期間がそれより短くても、再リースの規約があれば対象
共同申請するリース事業者には、大企業についての補助事業者要件は課されません。申請書類には、リース契約書案とリース料計算書を添付します(設備単位型を単独で申請する場合は、指定様式「リース契約内容申告書及びリース料金計算書」を使います)。
同要領には、複数事業者の4以上の事業所で設備を一括更新して価格を下げる「バルクリース」の枠組みもあり、取りまとめるリース事業者が一括して申請します。また、エネルギー需要最適化型でEMS(エネルギー管理システム)をリースで導入する場合は、EMSをリース会社が購入し、設備使用者とリース会社の共同申請になります。
中小機構の補助金(省力化・新事業進出・ものづくり)の場合
中小機構が所管する「中小企業省力化投資補助事業(一般型)」第8回公募要領と、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」第1回公募要領も、ほぼ同じ枠組みでリース会社との共同申請を認めています。主な条件は次のとおりです。
- 公益社団法人リース事業協会が確認した「リース料軽減計算書」を事務局に提出する
- 対象はファイナンス・リース取引に限る。割賦契約はリースに含まれない
- 補助対象は、リース会社が販売元に払う機械装置・システムの購入費用。事業者が払うリース料そのものは補助対象外
- 見積の取得は事業者側が行う
- リース期間は、特段の事情がない限り処分制限期間を含むように設定する
- セール&リースバック取引や転リース取引は対象外
- 適用される補助上限額と補助率は、共同申請する中小企業等のものと同じ
省力化投資補助金(一般型)では、共同申請を予定する場合は応募申請の時点でその旨を申告し、交付申請の段階で取りやめることはできません。また、リース会社が事業者と契約する際の金利や保険料は補助対象外と明記されています。
なお、リース事業協会の公表資料によると、リース料軽減計算書の確認申請には補助金ごとに受付締切があります。2026年10月22日時点で、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の確認申請は10月23日12時までとされ、省力化投資補助金(一般型)は10月20日12時で締め切られています。補助金の公募締切とは別の期限なので、早めにリース会社と調整しておく必要があります。
制度ごとの扱いの違い
リースの扱いは制度によって異なり、そもそも対象外とする制度もあります。たとえば「デジタル化・AI導入補助金2026」の通常枠の公募要領では、リース・レンタル契約のITツールを補助対象外としています(サイバーセキュリティお助け隊サービスを除く)。
SII 省エネ・非化石転換補助金
- 使用者とリース事業者の共同申請
- 補助金の有無で比べたリース料の計算書を提出
- 残価設定付・割賦は対象外
- バルクリースの枠あり
中小機構の省力化・新事業進出・ものづくり
- 中小企業等とリース会社の共同申請
- リース事業協会が確認した軽減計算書
- ファイナンス・リースに限る
- リース料そのものは対象外
デジタル化・AI導入補助金
- リース・レンタル契約のITツールは対象外
- お助け隊サービスは例外
各制度の公募要領(令和7年度補正・2026年度公募)より作成。条件は公募回ごとに変わることがあります。
環境省の「ESGリース促進事業」のように、リース料の総額に対して補助する別の仕組みもあります。こちらはESGリース促進事業の解説をご覧ください。
導入後に気をつけたいこと
共同申請で導入した設備も、購入した場合と同じく処分制限がかかります。省力化投資補助金や新事業進出・ものづくり補助金の公募要領では、処分制限期間内にリース契約の内容を変える場合は、改めてリース事業協会が確認したリース料軽減計算書を事務局に出す必要があるとしています。設備を処分するときは事前に承認を受け、補助金の一部を納付することになります。処分制限の考え方は補助金で取得した設備の処分制限で詳しく解説しています。
また、共同申請した事業者が交付決定の取消しや要件未達で返還の対象になった場合、リース会社に交付した補助金はリース会社から返還を求めると定められています。リース会社にとっても事業者の義務違反がリスクになるため、契約時に返還が生じた場合の負担の取り決めを確認しておくことが大切です。
- 制度の確認リースが対象か、共同申請の条件は何か
- リース会社と協議共同申請の可否と計算書の準備時期
- 見積の取得事業者側が販売事業者から取得
- 共同で申請契約書案とリース料の計算書を添付
- 交付決定後に契約補助金相当を減額したリース料で契約
まとめ
リースで設備を導入する場合も、多くの国の設備補助金は使えます。ただし、補助金を受け取るのはリース会社で、事業者にはリース料の減額という形で還元されます。共同申請の条件、リース料の計算書、ファイナンス・リースへの限定、処分制限期間とリース期間の関係は制度ごとに細かく決まっており、年度や公募回で変わることもあります。申請前に最新の公募要領を確認し、リース会社と早めに段取りを合わせてください。
タンソーマンGXでは、省エネ設備や生産設備をリースで導入する場合の制度選定から、リース会社との共同申請の書類作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。
参考資料
- SII 令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)公募要領(4次公募)
- 中小機構 中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募)
- 中小機構 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)
- デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)
- 公益社団法人リース事業協会 補助金制度
本記事の内容は2026年10月22日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



