
この記事では、農地の上で営農を続けながら発電する営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)と、農業関連施設の再エネ導入に使える支援制度を解説します。令和8年度の環境省の補助事業の要件に加えて、農地転用の許可で求められる条件も整理します。
営農型太陽光発電とは
営農型太陽光発電とは、農地に簡易な構造で容易に撤去できる支柱を立て、その上部に太陽光パネルを設置して、下の農地で営農を続けながら発電する方法です。ソーラーシェアリングとも呼ばれます。支柱の部分は農地を一時的に別の用途に使うことになるため、農地法に基づく「一時転用許可」が必要です。
農林水産省は「営農型太陽光発電に係る農地転用許可制度上の取扱いに関するガイドライン」(令和6年3月25日制定)で、許可の基準や手続きを定めています。補助金を検討する前に、まずこの許可の見通しを立てることが出発点になります。
一時転用許可で求められる主な条件
- 許可期間:原則3年以内。担い手(認定農業者など)が自ら所有・賃借する農地で営農する場合、遊休農地を再生利用する場合、第2種農地・第3種農地を利用する場合は10年以内です
- 営農の継続:下の農地で栽培する作物の単収が、同じ年産の市町村の平均的な単収と比べておおむね2割以上減少しないこと(遊休農地の再生利用の場合などは扱いが異なります)
- 毎年の報告:栽培実績と収支の状況を、翌年2月末日までに許可権者に報告すること
このほか、変電設備など付随する設備は、原則として近隣の農地以外の土地に設けることとされています。報告の内容によっては改善の指導が行われます。発電事業の収支だけでなく、営農の計画と体制を具体的に示せることが重要です。
- 営農計画の作成作物・栽培体系・担い手を決める
- 一時転用許可農業委員会等を通じて申請
- 補助金の応募許可の取得・申請状況も評価
- 交付決定後に発注単年度で設置・支払いまで
- 毎年の報告栽培実績と収支を報告
農林水産省ガイドラインと環境省事業の公募要領に基づき作成。
環境省「地域共生型太陽光発電設備導入事業」(営農地事業)
令和8年度の環境省「民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業」には、生物多様性などの自然環境にも配慮しながら、営農地や水面などを活用した太陽光発電の導入を支援する事業があります。執行団体は一般社団法人環境技術普及促進協会で、営農地を使う「営農地事業」と、ため池などを使う「水面等事業」に分かれています。
補助率と主な要件
- 補助率:1/2(補助金の上限は1億5,000万円)。単年度事業のみ
- パワーコンディショナの最大定格出力の合計が10kW以上で、積載率が1以上であること
- コスト要件:「太陽光発電設備の補助対象経費×1/2÷PCS出力」が、10kW以上50kW未満は23.90万円/kW、50kW以上は18.04万円/kWを下回ること(多雪区域は別の基準)
- 電気の供給先が、同じ敷地内の施設・自営線で送れる施設(系統へ逆潮流しない)か、同じ都道府県内の農林漁業関連施設、地方公共団体の施設、地域防災計画上の避難施設であること
- 停電時に電力を供給できること、環境価値を需要家に帰属させること、FIT・FIPの認定を取得しないこと、自己託送を行わないこと
営農地事業では、農業の生産活動が適切に続くことも要件です。応募には営農の継続に関する資料や、農地の一時転用許可書(取得済みの場合)の提出が求められ、一時転用許可の申請中であることや、10年の許可が見込めることは審査の加点項目です。一般的な屋根置きの太陽光発電は対象外です。
系統を使って供給する場合の注意
農林漁業関連施設や地方公共団体の施設などへ電力を供給する場合は、PPAなどで送配電網を使うことができます。ただし、その際に生じた余剰電力をそれ以外の施設へ売ることはできず、自己託送も使えません。PPA事業者が代表事業者になる場合は、需要家が支払う料金から補助金相当分を減額することが交付の条件です。ここでいう農業者・林業者・漁業者は、直近決算期で売上高構成比が最も高い事業が日本標準産業分類の「農業、林業」または「漁業」に属する事業者と定義されています。
また、原生自然環境保全地域、国立・国定公園の特別保護地区や第1種特別地域など、自然保護上重要な区域で行う事業は補助対象外です。
令和8年度は一次公募(4月24日〜5月18日)と二次公募(6月22日〜7月17日)が行われ、いずれも終了しています。応募できるのは民間企業のほか、営農地事業に限り農林水産事業者である個人・個人事業主も含まれます。
東京都では営農型太陽光が手厚い区分に
東京都の「地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業」では、都内の営農型太陽光発電を「地域活性化につながる再エネ設備」に位置づけています。令和8年度の助成率は中小企業等が3/4以内、その他の事業者が2/3以内で、上限額は2億円です。受付は令和9年3月31日までですが、予算額に達し次第終了します。
農業施設の屋根や設備の場合
農業用倉庫や作業場の屋根に置く太陽光発電は、営農型ではなく一般的な自家消費型の太陽光発電として扱われます。この場合は、環境省のストレージパリティ事業や自治体の補助制度が候補になります。詳しくは自家消費型太陽光発電の補助金の解説をご覧ください。ハウスの暖房をヒートポンプに替えるなどの省エネ投資は、施設園芸・農業ハウスの省エネ補助金で紹介しています。
営農型太陽光の支援は、農地転用の許可と補助金の審査の両方を満たす必要があり、準備に時間がかかります。環境省の事業は単年度で設置から支払いまでを終える必要があるため、許可の取得時期と工事の工程を逆算して計画することが大切です。要件は年度ごとに見直されるため、最新の公募要領とガイドラインを確認しながら計画を進めてください。
タンソーマンGXでは、営農型を含む太陽光発電・蓄電池の制度選定から申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは蓄電池・太陽光の補助金解説をご覧ください。
参考資料
- 環境技術普及促進協会 地域共生型太陽光発電設備導入事業 公募情報
- 地域共生型太陽光発電設備導入事業 公募要領(令和8年度二次公募)
- 環境省 報道発表 地域共生型の太陽光発電設備の導入促進事業の公募について
- 農林水産省「営農型太陽光発電に係る農地転用許可制度上の取扱いに関するガイドライン」
- 東京都 報道発表「地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業」令和8年度申請受付開始
本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



