公開 2026.10.21

新事業進出補助金の後継「新事業進出枠」とは 対象となる新事業の考え方

この記事では、中小企業新事業進出補助金の現状と、その受け皿となった「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の新事業進出枠について解説します。2026年10月時点で公表されている第1回公募要領をもとに、補助率と上限額、そして審査で問われる「新事業」の考え方が分かります。

新事業進出補助金は新しい補助金に統合された

中小企業新事業進出補助金は、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援する制度として実施されてきました。同補助金の公式サイトでは、2026年10月時点で「本補助金の公募は終了しております」とされ、新規の受付は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」で行うと案内されています。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が実施する補助金で、次の3つの枠があります。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の3つの枠

革新的新製品・サービス枠

  • 革新的な新製品・新サービスの開発
  • 上限750万〜2,500万円
  • 補助率1/2(小規模等2/3)

新事業進出枠

  • 新市場・高付加価値事業への進出
  • 上限2,500万〜7,000万円
  • 補助率1/2。建物費も対象

グローバル枠

  • 輸出に向けた国内拠点の強化
  • 上限2,500万〜7,000万円
  • 補助率2/3

上限額は通常時の従業員規模別の範囲。出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)1.3版。

旧来の新事業進出補助金に相当するのが「新事業進出枠」です。以下では、この枠を中心に説明します。ものづくり補助金の後継にあたる革新的新製品・サービス枠や、補助金全体の申請の流れはものづくり補助金の後継補助金の概要と申請の流れで解説しています。

新事業進出枠の補助率と上限額

第1回公募要領によると、新事業進出枠の補助率は、小規模企業・小規模事業者や再生事業者を含む中小企業者で1/2です。地域別最低賃金引上げの特例を受ける場合は2/3になります。補助下限額は750万円です。

新事業進出枠の補助上限額(通常時)
  • 101人以上7,000万円
  • 51〜100人5,500万円
  • 21〜50人4,000万円
  • 1〜20人2,500万円

賃上げ特例の適用時はそれぞれ9,000万円、7,000万円、5,000万円、3,000万円。出典:同公募要領(第1回)。

補助対象経費は、機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費です。機械装置・システム構築費か建物費のどちらかを必ず含める必要があります。補助事業実施期間は、交付決定日から14か月以内(採択発表日から16か月以内)です。

「新事業」と認められる2つの条件

公募要領は、新事業進出枠の対象を、次の2つを両方満たす事業としています。

  • 製品等の新規性:事業で新たに製造・提供する製品、商品、サービスが、その事業者にとって新しいものであること
  • 市場の新規性:その製品等が属する市場が、その事業者にとって新たな市場であること

ここでいう新規性は、世の中で初めてという意味ではなく、自社にとっての新規性です。また、「新たな市場」とは、既存事業で対象としていなかったニーズや属性(法人か個人か、業種、行動特性など)を持つ顧客層を対象とする市場を指します。

新事業進出枠に該当しない例

公募要領は、次のような場合は該当しないと示しています。

  • 既存の製品等の製造量・提供量を増やすだけの場合
  • 過去に製造していた製品等を再び製造する場合
  • 既存の製品等の製造方法を変えるだけの場合
  • 既存の製品等と対象市場が同じ場合(既存品の需要が置き換わるだけ、単なるメニューの追加など)
  • 既存の製品等の市場の一部だけを対象とする場合、商圏が違うだけの場合

例えば、同じ製品を別の地域で売るだけの事業や、既存の顧客に同じジャンルの商品を追加で売るだけの事業は、新事業進出枠の対象になりません。

審査で問われる「新市場性」と「高付加価値性」

新事業進出枠では、上記の対象要件に加えて、審査で「新規事業の新市場性・高付加価値性」が評価されます。中小企業庁と中小機構の資料「新市場・高付加価値事業の考え方」では、次のどちらかを示すことが求められるとしています。

新市場性と高付加価値性の審査イメージ
  • 新市場性製品等のジャンル・分野が、社会で一般的に普及・認知されていないか。客観的なデータで示す
  • 高付加価値性同じジャンル・分野の一般的な付加価値や相場価格と比べ、高水準の高付加価値化・高価格化を図るか
  • どちらにも当たらない新市場でも高付加価値でもない事業は対象にならない

出典:中小企業庁・中小機構「新市場・高付加価値事業の考え方」(令和8年6月)。実際の審査は他の項目と合わせた総合評価。

ジャンル・分野の区分に注意

同資料では、新市場性を判断する際のジャンル・分野の区分から、製品の性能、サイズ、素材、価格帯、地域性、業態、顧客層、効果などの要素を除く必要があるとしています。例えば「高精密小型医療機器部品」ではなく「医療機器部品」として区分します。「小型」「高精密」といった特徴を足して、ジャンルを狭く見せることはできません。

そのため、新市場性で申請する場合は、ジャンル自体の普及度や認知度が低いことを統計などで示す必要があります。一方で、ジャンルとしては一般的でも、相場より高い価値・価格で提供できる強みがあるなら、高付加価値性で説明する方法があります。どちらで説明するかを最初に決めておくと、事業計画書の構成が明確になります。

基本要件と第1回公募のスケジュール

3つの枠に共通して、補助事業終了後3〜5年の事業計画で次の要件を満たす必要があります。

  • 付加価値額の年平均成長率4.0%以上
  • 従業員1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上(未達の場合は返還義務あり)
  • 事業場内最低賃金が地域別最低賃金より毎年30円以上高いこと(未達の場合は返還義務あり)
  • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の公表、子育て等に関する職場環境整備の取組
  • 金融機関から資金提供を受ける場合は、金融機関による事業計画の確認

第1回公募は令和8年(2026年)6月29日に公募が始まり、申請受付は9月30日から、締切は10月30日(金)18時です。採択発表は令和9年1月頃の予定とされています。申請は電子申請のみで、GビズIDプライムアカウントが必要です。第2回以降の日程は2026年10月21日時点で公表されていないため、最新の情報を公式サイトで確認してください。

まとめ

中小企業新事業進出補助金は公募を終了し、新事業への進出は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の新事業進出枠で支援されることになりました。対象となるのは、自社にとって新しい製品等を、新しい顧客層に向けて提供する事業で、さらに新市場性か高付加価値性のどちらかを示す必要があります。建物費も対象になる大型の補助金であるため、要件と返還条件を理解したうえで、無理のない事業計画を立てることが大切です。

タンソーマンGXでは、新事業の計画に合った制度の選定から、申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。

参考資料

本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。

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