
この記事では、工場や店舗の屋根などに設置して発電した電気を自社で使う「自家消費型太陽光発電」に使える補助金を、国と自治体に分けて整理します。2026年度(令和8年度)に公表されている環境省系の補助事業、東京都の助成金、岩手県などの自治体の例を取り上げ、共通する要件と申請時の注意点を解説します。
自家消費型太陽光の補助金の全体像
自家消費型太陽光とは、発電した電気を売電せず、設置した建物や敷地内で使う太陽光発電です。電気料金の削減とCO2排出量の削減を同時に進められるため、国と自治体の双方が導入を支援しています。
補助金の主な出どころは次の3つです。
- 国(環境省)の補助事業:執行団体が全国から公募するもの
- 都道府県の補助金:東京都や岩手県など、独自の予算で実施するもの
- 国の交付金を使った自治体の補助金:環境省の交付金(重点対策加速化事業)を活用して市町村などが実施するもの
国(環境省・EIC)
- ストレージパリティ事業
- 太陽光は1kWあたり定額
- 令和8年度の二次公募は終了
東京都
- 地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業
- 中小企業等は2/3以内
- 令和9年3月31日まで(予算まで)
県・市町村
- 岩手県は1kWあたり5万円など
- 県内事業者・県内施工が条件の例
- 交付金を使う市町村事業も
各制度の公募要領・報道発表(2026年10月21日時点)より作成。
国の補助事業:ストレージパリティ事業(令和8年度当初予算)
環境省の「民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業」のうち、「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」は、オンサイトPPA(発電事業者が需要家の敷地に設備を置き、電気を供給する方式)などによる自家消費型太陽光と蓄電池の導入を支援する事業です。執行団体は一般財団法人環境イノベーション情報機構(EIC)です。
- 太陽光発電設備:定額で1kWあたり4万円(オンサイトPPA・リースは5万円、戸建て住宅は7万円)。交付上限は2,000万円
- 定置用蓄電池(業務・産業用):1kWhあたり3.9万円(補助対象経費の1/3が上限)。蓄電池等の交付上限は4,000万円
- 主な要件:太陽電池出力10kW以上(戸建て住宅を除く)、自家消費率50%以上、逆潮流(系統への売電)をさせないこと、IP通信機能を持つ機器はJC-STAR★1以上の製品を使うこと
令和8年度の公募は、一次公募(2026年7月9日〜7月31日)と二次公募(2026年8月27日〜10月2日)が行われ、EICのサイトでは公募終了と表示されています。補助事業の実施期限は2027年1月29日です。次の公募は、令和8年度補正予算や令和9年度予算の動向を確認する必要があります。
東京都:地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業
東京都は、事業者が都内に再エネ設備を設置する場合などに助成しています(申請窓口はクール・ネット東京)。2026年3月30日の都の発表による令和8年度の主な内容は次のとおりです。
- 対象事業者:民間企業、学校法人、医療法人、社会福祉法人などの民間事業者
- 助成率(都内の再エネ発電等設備):中小企業等は再エネ発電設備2/3以内・同時設置の蓄電池3/4以内、大企業等は1/2以内・2/3以内。上限は蓄電池と合わせて2億円
- 都外設置:東京電力管内の都外に設置し、環境価値を証書化して都内事業所で使う場合も、同じ助成率で対象
- 主な要件:FIT・FIPの認定を申請した設備でないこと
- 申請期間:令和8年4月1日〜令和9年3月31日(予算額約69億円に達し次第終了)
令和8年度からは、ソーラーカーポートが地域活性化につながる再エネ設備として対象に加わり、ガラスレス製品の太陽光発電設備は助成率が引き上げられています(中小企業等4/5以内)。
県・市町村の補助金の例
岩手県の「令和8年度事業者向け自家消費型太陽光発電設備設置事業」は、県内事業者が20kW以上の太陽光発電設備を設置する場合に、中小事業者等は1kWあたり5万円(上限5,000万円)、それ以外は1kWあたり3万円(上限3,000万円)を補助します。公募期間は令和8年3月30日から12月11日までで、期間を区切って審査し、出力の大きい順に交付決定するとされています。
環境省東北地方環境事務所がまとめた一覧(令和8年7月15日時点)では、国の交付金による重点対策加速化事業を実施する東北の自治体の補助制度が紹介されており、FIT・FIPの認定を受けないこと、自家消費率30%以上または50%以上といった要件が多く見られます。お住まいの地域の制度は、都道府県や市町村の環境部局のページで確認できます。
共通する要件と申請時の注意点
- 導入形態を決める自己所有・オンサイトPPA・リース
- 自家消費率を試算電気料金の明細から使用量を確認
- 使える制度を洗い出す国・都道府県・市町村の公募時期
- 併用の可否を確認国の補助金どうしは原則併用不可
- 交付決定後に契約決定前の発注・着工は対象外
- 売電しない:多くの制度がFIT・FIPの認定を受けないことや、逆潮流をさせないことを求めています
- 自家消費率:50%以上などの基準があり、電気料金の請求書などで消費量の証明を求められます
- 発注のタイミング:岩手県の制度のように、発注済み・着工済みの設備は対象外とする制度が一般的です
- 年度ごとの変更:補助単価や上限、対象設備は年度ごとに見直されます
敷地外に設置した発電所から電気を調達する方式(オフサイトPPA)の補助金は、需要家主導型太陽光発電の導入支援事業で解説しています。
タンソーマンGXでは、自家消費型太陽光・蓄電池の補助金の制度選定から申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは蓄電池・太陽光の補助金解説をご覧ください。
参考資料
- 環境イノベーション情報機構 令和8年度 ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業 公募
- 同 公募要領(2026年8月27日改訂)
- 東京都 地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業 令和8年度申請受付開始(2026年3月30日)
- クール・ネット東京 地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業
- 岩手県 令和8年度事業者向け自家消費型太陽光発電設備設置事業
- 東北地方環境事務所 令和8年度 重点対策加速化事業実施自治体の太陽光発電設備及び蓄電池の補助事業一覧
本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



