
この記事では、東京都の補助金と、区市町村(23区・市町村)が独自に実施する補助金を併用するときの考え方を整理します。どちらの制度にも「他の補助金との関係」についてのルールがあり、確認せずに進めると、片方しか受け取れなかったり、助成額が減ったりすることがあります。令和8年度の東京都と区の公式資料を例に、確認の手順を解説します。
都と区市町村の補助金は別の制度
東京都の環境系の補助金は、主に公益財団法人東京都環境公社(クール・ネット東京)が窓口です。一方、区市町村の補助金は各自治体が独自の予算と要綱で実施しており、対象設備、金額、受付期間、申請のタイミングがそれぞれ異なります。
クール・ネット東京は、都内の区市町村が実施する温暖化防止に関する補助金の担当ページへのリンク集を公開しています(令和8年8月14日時点)。まずここで、事業所のある区市町村に事業者向けの制度があるかを確認するのが近道です。区によっては、事業所向けの設備補助を終了して別の形の支援に切り替えている場合もあります。
都の制度側のルール 財源が都かどうかがポイント
代表的な事業者向け制度である「地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業」(令和8年度)の手引きでは、国や他の自治体等の補助金との併給は可能とされています。ただし、次の制限があります。
- 都の資金を原資とする助成とは併給できない:都または公社、あるいは区市町村が実施する助成のうち、都の資金を原資とするもので、助成対象経費が重複するものは併給できません
- 併用する場合は差し引いて計算する:国などの補助金を併用する場合、助成対象経費から国等の補助金額を差し引いた額に助成率を掛けるなどの方法で助成額を計算します
- 相手側の制度にも制限があり得る:国や他の自治体の補助金側に併給の制限がある場合もあるため、それぞれの窓口に確認するよう案内されています
つまり、区の補助金であっても、その財源に都の補助が入っている場合は、都の制度と同じ経費に対して重ねて受け取れない可能性があります。区の制度の財源は外からは分かりにくいため、区の担当窓口に確認することが欠かせません。
外部給電器の助成(ZEV普及促進事業)のように、区市町村の補助金額を差し引いて都の助成額を計算すると明記している事業もあります。事業ごとに計算方法が異なるため、それぞれの手引きで確認します。
区の制度側のルール 2つの区の例
江東区「(事業所用)地球温暖化防止設備導入助成」
江東区は、区内に太陽光発電や省エネ設備を導入する中小企業者などを対象に、設置費用の一部を助成しています。令和8年度の公式ページでは、次の点が示されています。
- 工事着工前の申請が必要で、着工後の申請は受け付けない
- 申請受付は令和8年4月1日から令和9年3月15日必着、設置導入完了報告書は令和9年3月31日必着
- 区の助成金額と他の助成金の合計が実支出額を上回る場合は、実支出額から他の助成金を差し引いた額とする
- 同一事業所につき、設備の種類ごとに過去5年以内に1回限り
港区「地球温暖化対策助成制度」
港区は、中小企業者や個人事業者も対象に、太陽光発電システム(上限100万円)、事業所用高効率空調機器(上限50万円)、省エネルギー診断に基づく設備改修(上限100万円)などを助成しています。申請は工事の着工前に行う必要があり、交付決定前に着工すると助成金を交付できないとされています。審査には1か月から2か月程度かかると案内されています(2026年10月1日更新)。
国の補助金も重なる場合の考え方
国・都・区市町村の3つの補助金を組み合わせる場合は、どの順に差し引くかで手取りの額が変わります。都の地産地消型の事業では、国等の補助金額を助成対象経費から差し引いた額に助成率を掛け、kW当たりの単価上限も同じ割合で減らして計算します。手引きの計算例では、対象経費900万円、国の補助金300万円、太陽光15kWの中小企業等の場合、単価上限側の計算で200万円となっています。
江東区の例でも、区の助成金と他の助成金の合計が実支出額を上回る場合は差し引くとされています。いずれの例でも、補助金の合計が実際の支出を上回らないように調整される仕組みです。資金計画では、各制度の上限額を単純に足すのではなく、差し引き後の額で見積もることが大切です。
併用を検討するときの確認手順
- 区の制度を探すクール・ネット東京のリンク集から
- 併給ルールを確認都・区の両方の要綱で
- 財源を確認区の補助に都の資金が入るか
- 日程を合わせる申請・着工・完了報告の期限
- 両方の交付決定を待つそれから契約・着工
特に注意したいのは日程です。東京都の地産地消型の事業では、令和8年度申請分の実績報告を翌年度の11月末まで出せますが、江東区の例では同じ年度の3月31日までに完了報告が必要です。区の補助を受けるなら、工事を年度内に終える計画が前提になります。また、どちらも交付決定前の着工を認めていないため、両方の交付決定がそろってから契約・着工するのが安全です。
まとめ
都と区市町村の補助金は、併用できる場合もありますが、財源の重複による併給制限や、差し引き計算、完了期限の違いがあります。金額だけを足し合わせて資金計画を立てるのではなく、両方の要綱で併給の扱いを確かめてから計画してください。条件は年度ごとに変わるため、申請する年度の要綱で確認することが前提です。都の主な事業はクール・ネット東京の解説で紹介しています。
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参考資料
- クール・ネット東京 区市町村の補助金等情報
- 令和8年度 地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業 助成金申請の手引き(都内設置)
- クール・ネット東京 FCV・EV・PHEV外部給電器
- 江東区(事業所用)地球温暖化防止設備導入助成
- 港区 地球温暖化対策助成制度
本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



