公開 2026.10.21

東京都のゼロエミッションビル化支援 中小規模事業所向け

この記事では、東京都の中小規模事業所向けZEB化支援が令和8年度にどう変わったかを整理します。従来の「中小規模事業所のゼロエミッションビル化支援事業」は令和7年度で申請受付を終え、令和8年度からは「ZEB化・廃熱利用設備導入促進事業」として再編されました。新制度の対象、助成率と上限額、要件、申請の進め方を公式資料に基づいて解説します。

ZEBとは何か

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)は、断熱や高効率設備で建物のエネルギー消費を大きく減らし、太陽光などでエネルギーをつくることで、年間のエネルギー収支をゼロに近づける建物です。省エネ性能の評価には、国の制度であるBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)が使われます。

既存の事務所ビルや店舗でも、外皮(外壁・窓・屋根)の断熱と、空調・照明などの設備更新を組み合わせることで、ZEB水準に近づけることができます。東京都はこの改修の設計と設備導入を支援しています。

令和7年度までの制度と令和8年度の再編

「中小規模事業所のゼロエミッションビル化支援事業」は、事業実施年度を令和6年度から令和10年度までとしつつ、助成金の申請は令和7年度までとされていました。令和7年度の受付は令和8年3月31日で終了しています。令和7年度の内容は、設計支援が助成対象経費の2/3(上限1,000万円)、設備導入支援が2/3(上限1億5,000万円)でした。

令和8年度は、東京都が「ZEB化や廃熱設備導入への支援を拡充しリニューアル」すると発表し、建物のZEB化に加えて、工場などの廃熱を活用する設備も対象にした「ZEB化・廃熱利用設備導入促進事業」が始まりました。導入を検討する段階の簡易診断から、設計、設備導入までを一貫して支援する形になっています。

  • 事業実施年度:令和8年度から令和12年度まで(助成金の申請は令和10年度まで)
  • 令和8年度予算:5.9億円
  • 受付期間:令和8年4月15日から令和9年3月31日17時必着(先着順)

2つの区分と助成内容

ZEB化区分と廃熱区分の違い

ZEB化区分

  • 既存建築物をZEB水準以上に改修する設計・設備導入
  • 設計支援:中小企業等2/3(上限1,000万円)、大企業・大規模事業所1/2
  • 設備導入支援:2/3(上限1億5,000万円)

廃熱区分

  • 中小規模事業所の廃熱や大気熱を活用する設備の設計・導入
  • 設計支援:2/3(上限200万円)
  • 設備導入支援:2/3(上限1,000万円)

中小企業かつ中小規模事業所が導入前の診断を受診した場合、助成率は2/3から3/4に拡充。

大企業や大規模事業所が申請できるのは、ZEB化区分の設計支援のみです。設備導入支援の対象者は、中小企業等(中小企業のほか学校法人、公益財団法人、医療法人、社会福祉法人など)と、これと共同で事業を行うリース事業者またはESCO事業者です。ESCOとは、省エネ改修の費用を削減した光熱費から回収する事業形態です。

対象となる設備

  • 建築の省エネ技術(パッシブ技術):断熱材、断熱・遮熱窓など。建築工事・躯体工事は除く
  • 設備の省エネ技術(アクティブ技術):空調、照明、換気、給湯、昇降機など
  • 再エネ技術:太陽光などの発電設備、地中熱などの熱利用設備、再エネ発電設備と同時に導入する蓄電池。再エネ技術だけの申請はできません
  • 廃熱区分:熱交換器、ヒートポンプ、熱導管、蓄熱システムなど、廃熱や大気熱を取り出して使うための設備

主な要件

ZEB化区分では、BELSで既存建築物がZEB水準以上の評価を受けることが求められます。また、パッシブ技術とアクティブ技術の両方を導入に含める必要があります。ただし、現状の外皮性能を示す指標(BPI)が既に1.0以下の場合や、日射遮蔽設備でBPIを1.0以下にする場合は、パッシブ技術の導入は必須ではありません。

廃熱区分の設備導入支援では、助成対象設備の導入によって事業所の年間CO2排出量を3トン以上、または30%以上削減できることが要件です。設計支援では、熱源設備の熱収支を定量化し、廃熱の回収やCO2削減につながる設計提案を行うことが求められます。

申請の進め方

ZEB化支援の進め方
  1. 導入前診断簡易診断で改修の方向性を確認
  2. 設計支援の申請調査・設計・BELS評価
  3. 設備導入支援の申請設計に基づき機器を導入
  4. 中間報告・完了届実施状況と完了を報告

申請書類はメールまたは郵送で提出し、先着順に受け付けます。様式には交付申請書、実施計画書、経費内訳書、見積比較表、二酸化炭素削減量シートなどがあります。導入前の診断は、クール・ネット東京の「省エネコンサルティング事業」のZEB化・廃熱利用区分として案内されています。ただし、この診断で作成される書類は省エネ診断の書類であり、そのまま助成金の要件を満たすとは限らない点が明記されています。

ZEB化は設計から工事完了まで時間がかかるため、事業年度内のスケジュールに余裕を持たせることが大切です。国のZEB関連補助金との比較はZEB化の補助金の解説でも取り上げています。

まとめ

東京都の中小規模事業所向けZEB化支援は、令和8年度から廃熱利用を加えた新制度に移りました。設計と設備導入を分けて支援を受けられるため、まず設計支援でZEB水準の改修計画を固め、その後に設備導入へ進む流れが基本になります。要件や上限は年度で見直されることがあるため、募集要項の最新版を確認してください。

タンソーマンGXでは、ZEB化や省エネ改修に使える制度の選定から、申請書類の作成、完了報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。

参考資料

本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。

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