
この記事では、東京都(窓口はクール・ネット東京)の補助金を法人が申請するときの手続きの順番を、令和8年度の資料に沿って整理します。「事前申込」「交付申請」「交付決定」「実績報告」がそれぞれ何を指し、どの時点で契約や工事を始めてよいのかが分かります。国の補助金と組み合わせる場合に順番が入れ替わる点もあわせて説明します。
東京都の補助金は申請の「型」が事業ごとに違う
東京都の環境・エネルギー分野の補助金(都では「助成金」と呼びます)の多くは、公益財団法人東京都環境公社(愛称:クール・ネット東京)が受付窓口です。ただし、手続きの順番は事業ごとに決められており、令和8年度の資料を見ると大きく三つの型に分かれます。
事前申込型
- 主に住宅向けの事業
- 事前申込の受付後に契約・施工
- 支払後に交付申請兼実績報告
交付申請先行型
- 地産地消型再エネ・蓄エネなど事業者向け
- 交付決定を受けてから契約・工事
- 完了後に実績報告
国補助併用の事後申請型
- 充電設備普及促進事業など
- 国の額確定の通知を受けてから都へ申請
- 国と都の同時申請は不可
どの型でも共通しているのは、「都が定める時点より前に契約や発注をした経費は助成の対象にならない」という点です。最初に、申請しようとする事業の手引きで、契約してよい時点を確認してください。
事業者向けの基本の流れ 交付申請から額の確定まで
事業者向けの代表例として、「地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業」(都内設置)の令和8年度の流れを見てみます。申請期間は令和8年4月1日から令和9年3月31日までで、予算額に達し次第終了とされています。
- 導入検討・見積複数の見積書を取る
- 交付申請申請書・誓約書・事業実施計画書・経費算出書
- 交付決定通知書は助成事業者宛に届く
- 契約・工事・支払施工業者の決定と契約はこの後
- 実績報告実績報告書兼助成金交付請求書を提出
- 額の確定・入金処分制限期間まで維持・管理
クール・ネット東京「申請手続きの流れ【簡易版】」(令和8年度)をもとに作成。
用語を簡単に説明します。「交付申請」は助成金を受けたいと申し出る手続き、「交付決定」は公社が審査のうえ助成を認める通知です。「実績報告」は工事と支払を終えた後に、実際にかかった費用と成果を報告する手続きで、これを審査して最終的な金額が決まることを「額の確定」といいます。
同事業では、実績報告の最終提出期限が設備によって異なり、太陽光・蓄電池・太陽熱は交付申請を行った翌年度の11月末日17時、それ以外は翌々年度の11月末日17時とされています。また、FIT認定を申請した設備は対象外です。交付決定後に計画が変わった場合は、計画変更の届出を速やかに出す必要があります。
国の補助金と組み合わせるときは順番が入れ替わる
充電設備普及促進事業(事業用)のように、国の補助金と併用できる事業では、国の手続きを先に終えてから都へ申請します。令和8年度の手引きでは、次の二通りが示されています。
- 国の補助金を併用する場合(事後申請):国の交付決定、工事、国への実績報告を経て、国の補助金額確定通知書を受け取った後に、公社へ交付申請します。期限は事業完了日の翌日から1年以内です。事業完了日は、工事完了日と経費支払完了日のいずれか遅い日です。
- 国の補助金を併用しない場合(事前申請):発注・工事開始前に公社へ交付申請し、交付決定後に発注・工事を始めます。交付決定日の翌日から1年以内に、事業の完了と実績報告まで終える必要があります。
国と都に同時に申請することはできません。国の補助金の公募時期と工事時期をそろえて計画することが大切です。充電設備の制度の詳細は東京都の充電設備普及促進事業の解説をご覧ください。
事前申込が必要な事業
住宅向けの事業では「事前申込」の手続きがある事業があります。たとえば令和8年度の「既存住宅における省エネ改修促進事業」では、設備の契約・施工は事前申込の受付後であることが条件で、事前申込から1年以内に交付申請兼実績報告を行わないと、事前申込は自動的に無効になります。
事前申込型では、工事と支払を終えてから交付申請と実績報告を一度に行い、その審査を経て交付決定と入金に進みます。交付申請先行型とは「交付決定」の時期が異なるため、同じ都の補助金でも手引きを読み替えないことが重要です。社宅や賃貸住宅など、法人が住宅向けの事業を使う場合は特に注意してください。
令和8年度から増えた書類と、手続代行の決まり
クール・ネット東京は、他事業で実際より高額な契約書による申請が判明したことを受け、令和8年度から提出書類を見直しています。充電設備普及促進事業では、次の書類の提出が必須になりました。
- 金融機関発行の証明書等(支払の事実を確認する振込明細など)
- 助成事業に係る関係部署、担当者連絡先一覧
- 個人情報活用に関する同意書(手続代行者による申請の場合)
現金の受け渡しによる取引は助成対象外です。施工会社などに手続きの代行を依頼することはできますが、代行手数料やコンサルタント料は助成対象外とされ、行政書士または行政書士法人以外の者が報酬を得て手続きを代行することはできないと手引きに明記されています。交付決定通知書などは申請者本人へ郵送され、原則として再発行されないため、処分制限期間(助成で取得した設備を勝手に売却・廃棄できない期間)中は保管が必要です。
つまずきやすい点
- 契約日・発注日:交付決定前(事前申込型では事前申込受付前)の契約は対象外になります。注文書や契約書の日付を必ず確認します。
- 見積書の日付と内訳:申請受付開始日以降の日付であることや、「材工一式」でない内訳が求められる事業があります。
- 予算到達による締切:多くの事業は予算額に達した時点で受付を終了します。
- 年度ごとの変更:対象設備、助成率、提出書類は年度ごとに変わります。前年度の経験だけで判断せず、その年度の手引きを確認します。
まとめ
東京都の補助金は、事前申込型、交付申請先行型、国補助併用の事後申請型で、契約してよい時点が異なります。最初に事業ごとの手引きで手続きの型を確認し、契約・発注・支払の日付を手続きの順番に合わせることが、助成を確実に受けるための基本です。
タンソーマンGXでは、東京都と国の補助金の組み合わせ方の検討から、申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。
参考資料
- クール・ネット東京 地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業
- クール・ネット東京 申請手続きの流れ【簡易版】(地産地消型・都内設置、令和8年度)
- 東京都 地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業(令和8年度)報道発表
- クール・ネット東京 充電設備普及促進事業(事業用)
- クール・ネット東京 充電設備普及促進事業(事業用)手引き[第3版]
- クール・ネット東京 令和8年度 既存住宅における省エネ改修促進事業
本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



