
この記事では、分譲マンションの管理組合や賃貸マンションのオーナーが、居住者向けにEV充電器を設置するときの補助金を整理します。国の充電インフラ補助金(令和7年度補正)の「マンション等」区分の要件と、東京都の令和8年度「集合住宅等への充電設備普及促進事業」の助成内容、合意形成と書類の注意点が分かります。
国の補助金での位置づけ
国の充電インフラ補助金では、マンションの駐車場への設置は「基礎充電」(自宅や職場など、車を長時間止める場所での充電)の「マンション等」区分に当たります。充電設備本体の補助率は1/2以内(型式ごとに上限あり)、設置工事費は定額(1/1以内、工事項目ごとの上限あり)です。分譲・賃貸のいずれも対象で、申請者には法人、マンション管理組合(法人格の有無を問わない)、共同住宅のオーナーや居住者などの個人が含まれます。
普通充電設備の選定では、既存の分譲マンションで管理組合が申請する「マンション等簡易申請」が優先順位の1番目とされています。
マンション等区分の主な要件
- 受電元:共用部の配電盤・分電盤等、または充電設備専用の別引込であること。全戸数と同数以上の区画に設置する場合は、各戸の分電盤からの受電も可
- 利用者:そのマンションの居住者または駐車場の契約者であること
- 機器:OCPP1.6以降またはECHONET Liteに準拠した普通充電設備・充電用コンセント・コンセントスタンドであること(通信を介さずに課金・制御する設備は除く)
- 併設の制限:普通充電設備と充電用コンセント(スタンド)の併設は不可
- 分譲の場合:交付申請時に住民総会で設置が決議されているか、理事会で合意されていること
- 賃貸の場合:所有者が自らの駐車場に設置することを目的とした申請ではないこと
住戸数を超える口数を申請する場合は、合理的な計画であることを確認するため、追加の報告を求められることがあります。設置した充電設備には設置完了から5年間の保有義務があり、期間中は管理組合やオーナーが適切に管理する必要があります。
申請時には、確認済証や検査済証など、主要用途が「共同住宅」または「長屋」と記載された書類で、マンション等であることを証明します。
分譲マンションの合意形成の流れ
- 理事会で検討台数・費用負担・運用ルール
- 総会で決議間に合わない場合は理事会合意で申請
- 国へ交付申請議事録を添付
- 交付決定後に工事発注・着工は決定後
- 実績報告国の額確定後に都へ申請
国の手引きでは、住民総会の開催が間に合わない場合、理事会で合意したことが分かる議事録(総会の開催予定日の記載が必要)で申請できます。管理組合から許諾を受けた法人や居住者が申請する場合は、設置完了から保有義務期間(5年間)以上の設置が許諾されていることの記載も求められます。
一方、クール・ネット東京の事業用の申請時チェックリストでは、既築の分譲マンションに設置する場合、設置が承認・決議された総会議事録が必要で、理事会議事録のみでは要件を満たさないとされています。国と都で求める書類が異なる場合があるため、都の助成も使う予定なら、総会での決議を前提に日程を組むのが安全です。
東京都の集合住宅向け助成(令和8年度)
東京都は令和8年度、「集合住宅等への充電設備普及促進事業」として、居住者のための充電設備の導入費と、設置後の電気の基本料金を助成しています。申請受付は令和8年6月26日から令和9年3月31日17時までです。
- 設備購入費:超急速・急速は10/10(機種ごとの上限)、普通充電設備(V2Hを含む)は1/2(機種ごとの上限)
- 設置工事費の上限:普通充電設備は1基目135万円・2基目以降68万円、充電用コンセントは1基目95万円・2基目以降48万円、機械式駐車場は1基目171万円・2基目以降86万円
- 先行工事:将来の設置に備えた配管等は1区画7万円(機械式は30万円)
- その他:受変電設備の改修(合計50kW以上の導入時、上限435万円)、機械式駐車場のパレット更新(1パレット140万円)、V2Hと同時申請する太陽光・蓄電池
国の補助金を併用する場合は、国の額確定通知書を受け取った後に都へ申請し、国の補助額を差し引いた額が助成されます。
運営費の支援 基本料金の助成
集合住宅で新たに「一需要場所・複数引込」(充電設備用に別の電力契約を引き込む方式)の電力契約を結んだ場合、東京都はその基本料金を最大3年間助成します。上限は低圧で年18万円、高圧で年334万円です。区画数に応じた設置口数の要件があり、2〜9区画は2口以上、10〜45区画は区画数の20%以上(端数切り捨て)、46区画以上は10口以上とされています。
賃貸マンションのオーナーが設置する場合
賃貸マンションでも、居住者や駐車場契約者が使う充電設備であれば、国のマンション等区分の対象になります。ただし、所有者自身が自分の車のために設置する計画は対象外です。東京都の居住者用助成でも、設置場所の建物に居住する者のための設備であることが要件です。オーナー向けの補助金の全体像はビル・不動産オーナーが使える補助金をご覧ください。
令和8年10月時点の国の公募状況
国の令和7年度補正の第1期・第2期の受付は終了しています。2026年10月1日に公表された年度またぎ事業では、竣工予定日が2027年度の新築集合住宅の普通充電器(予算配分4億円)が対象とされ、申請受付は令和8年10月〜11月中旬が想定されています。既存マンションが次に国の補助金を申請できる時期は未公表です。最新の公募要領で確認してください。
まとめ
マンションへの充電器設置は、国と東京都の補助金を組み合わせると負担を大きく抑えられる一方、分譲では総会決議、賃貸では利用者の範囲など、マンション特有の要件があります。国と都で求める議事録が異なる点にも注意し、総会の日程から逆算して計画することが重要です。
タンソーマンGXでは、集合住宅の充電設備の補助金について、制度の組み合わせの検討から申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。
参考資料
- 次世代自動車振興センター 令和7年度補正 申請の手引き 充電設備(第1期・第2期)
- 次世代自動車振興センター 充電設備補助金(年度またぎ事業)公募について(2026年10月1日)
- 東京都 集合住宅等への充電設備普及促進事業 報道発表(2026年6月18日)
- クール・ネット東京 充電設備普及促進事業(居住者用)
- クール・ネット東京 申請時チェックリスト別表第1(事業用・事前申請)
本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



