公開 2026.10.21

ビル・不動産オーナーが使える補助金 共用部の省エネとEV充電

この記事では、テナントビルや店舗ビル、賃貸物件のオーナーが、共用部の空調・照明の更新、断熱改修、EV充電器の設置に使える国の補助金を整理します。環境省・国土交通省・経済産業省の制度の要件と、2026年10月時点の公募状況が分かります。

オーナーが補助金を検討する場面

ビルの空調や照明、断熱はオーナーの資産であることが多い一方、光熱費の削減効果はテナントが受け取ることもあります。オーナーにとっては、補助金で初期費用を抑えられるかどうかが投資判断に直結します。環境省も、テナントの声をオーナーに届ける「リーディングテナント行動方針」の取り組みを進めています。

ビルオーナー向けの主な国の制度

脱炭素ビルリノベ(環境省)

  • 既存の業務用建物
  • 断熱・空調・照明・給湯・BEMS
  • 公募は11月30日まで

既存建築物省エネ化(国土交通省)

  • 躯体の省エネ改修を伴う
  • 補助率1/3・上限5,000万円
  • 第2回は11月27日まで

充電設備(経済産業省)

  • 令和7年度補正の第1期・第2期は終了
  • 年度またぎ枠は新築集合住宅等に限定

脱炭素ビルリノベ2026事業(環境省)

「業務用建築物の脱炭素改修加速化事業」は、既存の業務用建物の改修に特化した補助金です。執行団体は一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)です。

  • 対象:既存の業務用建物(集合住宅は対象外)
  • 主な対象製品:断熱窓、断熱材、高効率空調、制御機能付きLED照明器具、業務用給湯器、BEMS(建物のエネルギー管理システム)
  • 主な要件:改修後の外皮性能BPIが1.0以下。一次エネルギー消費量を、事務所等は40%程度以上、ホテル・病院・百貨店・飲食店等は30%程度以上削減。BEMS等によるエネルギー管理
  • 補助率:設備費・工事費・設計費の1/2〜1/3
  • 上限・下限:1事業あたり10億円、下限200万円
  • 公募期間:2026年6月4日〜11月30日。予算額に達した場合は期間内でも受付終了

環境省の解説資料では、一度交付決定を受ければ3年間の中で要件を達成すればよいことや、延床10,000㎡未満の建築物ではBEMS等による計測対象を一部緩和したことが説明されています。事業全体の予算は95億円(令和10年度まで)とされています。一定の要件を満たす外部の高効率熱源機器からエネルギーを融通する場合、その機器も対象になります。申請はjGrantsで行い、GビズIDプライム(またはメンバー)のアカウントが必要です(GビズIDプライムの取り方)。

既存建築物省エネ化推進事業(国土交通省)

国土交通省の「令和8年度既存建築物省エネ化推進事業(LCCO2評価実施型)」は、民間事業者等が行う既存建築物の省エネ改修を支援します。第2回の提案募集は2026年10月16日から11月27日まで(消印有効)です。

  • 躯体(壁・天井等)の省エネ改修を伴うこと
  • 改修前と比べて20%以上の省エネ効果が見込まれること(外皮改修面積の割合が20%を超える場合は15%以上)
  • 延床2,000㎡以上の建築物はライフサイクルカーボン評価を実施し、結果を国に報告すること
  • 補助率は1/3、上限は1件5,000万円(設備改修に係る補助は2,500万円まで)。省エネ改修と併せて行うバリアフリー改修は補助額の加算あり

補助対象になる費用は、省エネ改修工事の費用、エネルギー使用量の計測等に要する費用、省エネ改修と併せて行うバリアフリー改修工事の費用です。2026年10月16日の発表では、第1回の募集に17件の応募があり、15件の採択プロジェクトを決定したとされています。外皮の改修を伴うことが前提のため、設備更新だけの計画には向きません。

ZEB化・テナントビルの改修(環境省)

環境省の「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」(令和7年度補正予算・令和8年度予算)には、既存建築物のZEB化や、テナントビルの省CO2改修支援事業が含まれています。令和8年度の公募期間は6月22日から7月17日までで、すでに締め切られています。次回の公募に向けては、ZEB化の補助金もご覧ください。

EV充電器の設置(経済産業省)

経済産業省の令和7年度補正予算「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てん設備等導入促進補助金」は、次世代自動車振興センターが執行しています。充電設備の第1期は2026年5月29日から6月15日13時まで受け付けられ、第2期も募集が終わっています。第2期の結果では、急速充電・普通充電の各区分で申請額が当初予算を下回り、選定外となった申請はありませんでした。

2026年10月1日に公表された年度またぎ事業の公募は、工期の長い「高速道路(SA・PA)の急速充電器」と「新築集合住宅の普通充電器」に限られています。新築集合住宅は、申請時点で着工前または工事中で、竣工予定日が2027年度の共同住宅が対象です。申請受付は2026年10月から11月中旬の予定で、予算配分を超える申請があった場合は、kWあたりの補助金申請額が低い案件から優先して選定されます。既存のビルや集合住宅への設置を検討している場合は、次の募集の公表を待つ必要があります。その間に、受電容量や設置場所、利用者の想定などの検討を進めておくと、募集開始後すぐに申請できます(マンション・賃貸物件の充電器設置と補助金)。東京都内の物件は都の制度も確認してください(東京都の充電設備普及促進事業)。

オーナーが進めるときの要点

  • 改修の範囲(設備だけか、外皮も含むか)で制度が変わるため、先に省エネ診断や試算を行う
  • テナントの営業に影響する工事は、工期と時間帯を早めに調整する
  • 改修後のエネルギー計測の体制(BEMS等)を設計段階で組み込み、補助事業の報告に必要なデータを取れるようにする
  • 国と自治体の制度を同じ経費に重ねられるかを確認する
  • 補助金で取得した設備の処分制限を踏まえ、売却や建替えの予定と時期が重ならないかを確認する

制度の条件は年度ごとに変わります。申請前に最新の公募要領を確認してください。

タンソーマンGXでは、ビルの省エネ改修や充電設備の設置に使える制度の選定から、申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。

参考資料

本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。

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