
この記事では、環境省の「ESGリース促進事業」を使って、脱炭素機器をリースで導入するときの補助の仕組みを解説します。補助金を受け取るのは誰か、補助率がどのように決まるか、対象となる会社・機器・契約の条件を、令和8年度(2026年度)の実施要領と事業のQ&A集に沿って整理します。
ESGリース促進事業とは
ESGリース促進事業は、中小企業などがリースで脱炭素機器を導入するときに、リース料総額の一定割合を補助する環境省の事業です。令和8年度から正式名称が「カーボンニュートラル社会構築に向けたESGリース促進事業」となり、予算は1,225百万円、補助事業者(執行団体)は一般社団法人環境金融支援機構です。
リースは頭金なしで設備を使い始められるため、まとまった初期投資が難しい企業でも導入しやすい方法です。この事業は、そのリース料を補助で引き下げることで、高効率な空調、ボイラ、冷凍冷蔵設備、工作機械などへの更新を後押しします。
補助金はリース会社に入り、リース料が下がる
一般的な設備補助金と大きく違うのは、補助金の申請者と受け取り手が、機器を使う企業ではなく「指定リース事業者」である点です。指定リース事業者は、環境省が公募で一定の要件を満たすと認めたリース会社で、令和8年度は2026年6月5日に111事業者が採択されました。
実施要領では、補助金相当額がリース料の低減に反映されていることを、リース契約書などで確認するとしています。
使う側の企業は、指定リース事業者にこの事業を使いたいと伝え、利用申込書などを出すことで、補助金分だけ安いリース料で機器を使えます。補助金の交付申請や審査対応はリース会社が行うため、利用者の事務負担が比較的小さいのが特徴です。指定リース事業者の一覧は、事業のパンフレットに掲載されています。
補助率は「機器の基準補助率」+「取組による上乗せ」
補助率は、機器の種類ごとに決まる基準補助率(1〜4%)に、リース会社と利用企業の取組に応じた上乗せを加えて決まり、最大でリース料総額の6%です。
環境金融支援機構「ESGリース促進事業の基準補助率一覧表(令和8年度)」より作成。
上乗せは、次の2つの観点で判断されます。
- リース会社の取組地域や大企業と連携した面的な排出削減、与信審査でのESG考慮の公表で各0.5%、両方で1%
- 利用企業の取組EEGS等でのCO2排出量の算定・開示、中小企業版SBTやエコアクション21等の認証で1%
- 上限上乗せは合計で最大2%。基準補助率と合わせて最大6%
補助金額は、総リース料から残価や対象外の機器などの金額を差し引いた額に補助率を掛けて計算し、消費税は含みません。再リース料も対象外です。たとえば対象機器分の総リース料が税抜1,000万円で補助率が4%なら、補助金は40万円となり、その分リース料が下がる計算です。
対象になる会社・機器・契約の条件
リース先(利用する企業)
- 資本金3億円以下の会社法上の会社、または個人事業主など。親会社の資本金が3億円を超えていても、リース先自体が3億円以下であれば対象
- 一定規模以下の病院・診療所などの医療法人は対象。学校法人、社会福祉法人、一般社団・財団法人、NPO法人、農業協同組合などは対象外
- バリューチェーン上の脱炭素化に資する取組を行っていること(取組がない場合も、リース会社の要件のもとで了承すれば申請可能)
機器と契約
- 対象機器分の総リース料が1契約あたり65万円以上2億円以内
- 割賦契約、リースバック、転リース、協調リース、他社への貸与は対象外
- 業務提携先への販売手数料を含むリース契約は対象外(2026年7月17日のQ&A追加)
- 事業開始日より前に契約・検収したものは対象外
補助の対象となるのは当初のリース期間です。Q&A集では、リース期間の終了をもって補助の目的を達成したものとされ、当初リース期間が終わるか補助金の返還などが完了した後は、物件の処分を指定リース事業者の判断で行えると整理されています。反対に、リース期間の途中で解約した場合などは、指定リース事業者に補助金の返還義務が生じます。中途解約の可能性がある設備は、契約前に解約時の扱いをリース会社と確認しておくと安心です。
なお、国による機器購入の補助金との併用はできません。一方、地方自治体の独自財源による補助金は併用でき、補助金の算定基準額から差し引く必要もないとされています。リースで導入する設備に他の補助金を使う場合の共同申請の考え方は、リースで導入する設備と補助金で解説しています。
令和8年度の受付状況と使い方のポイント
令和8年度の補助金申請の受付は2026年6月10日に始まりました。事業サイトでは補助金残額が公表されており、2026年10月19日時点で約8.7億円でした。交付申請の締切は補助金申請の手引きで定められており、前年度は年度末の3月5日17時が期限でした。予算に達すると受付が終わる可能性があるため、早めにリース会社へ相談するのが確実です。
- 見積の段階で、取引のあるリース会社が指定リース事業者かどうかを確認する
- 導入したい機器が対象機器の品目分類に入っているかを、事業サイトの対象機器検索で確かめる
- EEGSでの排出量開示やエコアクション21の取得など、上乗せにつながる自社の取組を整理しておく
- 補助率が数%と小さいため、国の設備補助金が使える場合はどちらが有利か比較する
タンソーマンGXでは、省エネ設備の更新について、補助金とリースを含めた導入方法の比較、制度の選定、申請書類の作成までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。
参考資料
- 環境金融支援機構 ESGリース促進事業
- 令和8年度 カーボンニュートラル社会構築に向けたESGリース促進事業 実施要領
- 令和8年度 ESGリース促進事業 Q&A編
- ESGリース促進事業 パンフレット(基準補助率一覧表・指定リース会社リスト)
- 環境省 令和8年度 ESGリース促進事業に係る指定リース事業者の採択結果
本記事の内容は2026年10月22日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



