
この記事では、補助金の審査で加点の対象になる認定・宣言を、令和8年度に公表された公募要領をもとに整理します。比較的短い準備で取得できるパートナーシップ構築宣言の登録手順と、加点を受けた後に要件を達成できなかった場合の減点についても説明します。
加点項目とは
補助金の多くは、事業計画の審査に加えて、一定の取組をしている事業者に点数を上乗せする「加点項目」を設けています。採択は評価の高い順に決まるため、計画の評価が近い申請の間では、加点の有無が結果を分けることがあります。
加点を受けるうえで重要なのは時点です。新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回公募要領は、加点項目は申請締切日時点で満たしている必要があるとしています。中小企業省力化投資補助金(一般型)の公募要領も、加点項目の一部はエビデンスとなる書類の提出を求め、審査で要件に合致した場合にのみ加点するとしています。締切直前に手続きを始めても間に合わない認定があるため、早めの準備が欠かせません。審査全体の考え方は採択される事業計画書の書き方をご覧ください。
主な加点対象の認定・宣言
新事業進出・ものづくり補助金と省力化投資補助金(一般型)の公募要領で、共通または一方に挙げられている主な加点項目は次のとおりです。
新事業進出・ものづくり補助金(第1回)の加点項目から抜粋。このうちパートナーシップ構築宣言、経営革新計画、DX認定は、省力化投資補助金(一般型・第8回)の加点項目にはありません。
- くるみん・えるぼし:次世代育成支援対策推進法に基づく認定(新事業進出・ものづくり補助金ではトライくるみん、くるみん、プラチナくるみん)と、女性活躍推進法に基づく認定(えるぼし1〜3段階、プラチナえるぼし)です。
- 健康経営優良法人:両制度とも「健康経営優良法人2026」の認定が対象です。年度ごとの認定のため、対象年版に注意します。
- 経営革新計画・事業継続力強化計画・DX認定:新事業進出・ものづくり補助金では、いずれも申請締切日時点で有効なものが必要です。事業継続力強化計画は、省力化投資補助金でも加点となり、実施状況の振り返り報告や複数回の認定で加点が上乗せされます。防災投資との関係は事業継続力強化計画と補助金で解説しています。
- 最低賃金の引上げ:地域別最低賃金に近い水準で雇用する従業員が一定割合いる事業者や、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた事業者が対象です。
このほか、新事業進出・ものづくり補助金では再生事業者、J-Startup、研究開発費の計上、技術情報管理認証、成長加速マッチングサービスへの登録、アトツギ甲子園への出場など、省力化投資補助金では事業承継・M&Aの実施、省力化ナビの活用、生産性向上支援センターの利用などが加点項目に挙げられています。
制度によって加点の仕組みは異なる
新事業進出・ものづくり補助金
- 17の加点項目
- 申請締切日時点で満たす
- 一部の項目は申請者自身でポータル登録
省力化投資補助金(一般型)
- 10の加点項目
- エビデンス書類で確認
- 省力化ナビはGビズIDの一致が条件
SII 省エネ補助金(設備単位型)
- 評価項目の「中小企業取組関連」で追加評価
- パートナーシップ構築宣言、経営力向上計画・経営革新計画など
- 2023年度以降の省エネ診断の受診も対象
各制度の公募要領(新事業進出・ものづくり第1回、省力化一般型第8回、SII設備単位型4次)より作成。
SIIの省エネ補助金では、パートナーシップ構築宣言は宣言文の写しを提出し、ポータルサイトで公表されていることが確認された企業を対象とするとしています。同じ宣言でも、制度ごとに求められる書類が異なる点に注意してください。
パートナーシップ構築宣言の登録手順
パートナーシップ構築宣言は、サプライチェーン全体の共存共栄や、中小受託事業者との望ましい取引慣行(振興基準)の遵守などを、発注者の立場から代表権のある者の名前で宣言するものです。ポータルサイトの登録方法のページでは、次の流れが示されています。
- 社内体制の確認代表者名で公開されることと振興基準を確認
- 宣言文の作成2026年1月版のひな形と記載要領で作成
- 社内手続き・PDF化署名欄は手書き不可
- ポータルで登録必須項目を入力し宣言文をアップロード
- 登録企業リストで公開通常、登録の約10日後
ポータルサイトは、補助金の申請に関連して登録が集中する時期にはさらに数日かかる場合があるとしています。新事業進出・ものづくり補助金では、令和8年1月1日に更新されたひな形を使って宣言を公表していることが条件のため、それ以前のひな形で宣言している企業は確認が必要です。
加点を受けた後の「減点」に注意
賃上げに関する加点は、受けた後に達成できなければ不利になります。両制度の公募要領は、中小企業庁所管の補助金で賃上げに関する加点を受けて採択されたにもかかわらず要件を達成できなかった場合、事業化状況報告や効果報告で未達が報告されてから18か月の間、正当な理由がない限り大幅に減点するとしています。達成できる見込みのある項目だけを申請することが大切です。賃上げ要件そのものは賃上げ要件とはで解説しています。
タンソーマンGXでは、補助金の制度選定から、加点項目の確認、申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。
参考資料
- 中小機構 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回・1.3版)
- 中小機構 中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回)
- SII 令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)公募要領(4次公募)
- 「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイト パートナーシップ構築宣言とは
- 「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイト 登録方法
本記事の内容は2026年10月22日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



