
この記事では、補助金の申請で「どの費用が補助対象になるのか」を、設備費・工事費・設計費・諸経費の区分ごとに解説します。同じ設備更新でも、制度や事業区分によって工事費や設計費の扱いが大きく異なります。令和7年度補正予算の省エネ・非化石転換補助金(SII)と、中小機構の新事業進出・ものづくり補助金の公募要領をもとに、見落としやすい対象外経費とあわせて整理します。
補助対象経費とは
補助対象経費とは、補助金の計算のもとになる経費のことです。補助金の額は、原則として「補助対象経費×補助率」で計算され、上限額の範囲に収まります。見積書の総額がそのまま対象になるわけではなく、各制度が定める経費区分に当てはまり、かつ決められた期間と方法で支払った費用だけが対象になります。
設備投資の見積は、一般に次のような費目で構成されます。どこまでが補助対象に入るかは、制度ごとの公募要領で決まります。
- 設備費機械装置・システムの購入費。ほぼすべての制度で中心となる対象経費
- 工事費据付け、配線・配管、撤去など。制度・区分・企業規模で扱いが分かれる
- 設計費システム設計など。対象とする区分は限られる
- 運搬費・諸経費運搬料、現場管理費、一般管理費など。内訳が確認できないものは対象外になりやすい
- 消費税国の主な設備補助金では補助対象外
同じ省エネ補助金でも区分で対象が変わる
SIIの「省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)」4次公募要領では、補助対象経費は事業区分ごとに定められています。いずれの区分でも、原則として3者以上の価格競争を行った結果の最低価格が上限です。
(Ⅲ)設備単位型[従来枠]
- 設備費のみ
- 設計費・運搬費・据付費・工事費は対象外
- 配線・配管などの材料費、撤去・廃棄費も対象外
(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型
- 設備費(付帯設備を含む)
- 工事費は中小企業者等に限り対象
(Ⅳ)エネルギー需要最適化型
- 設計費・設備費・工事費
- 建屋・外構工事や事業に直接関係のない工事は対象外
SII 令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)公募要領(4次公募、2026年10月)より作成。
つまり、空調や変圧器を指定設備に入れ替える(Ⅲ)の場合、補助されるのは機器本体の価格だけで、取付工事や既存機器の撤去は全額自己負担です。一方、ボイラからヒートポンプへの電化などを行う(Ⅱ)では、中小企業者等であれば工事費も補助の対象になります。
(Ⅳ)の設計費については、個別のシステム設計が発生し、対価に応じた成果物(設計図書等)が作成される場合に計上できるとされています。工事のための図面は設計費ではなく工事費に含めます。
中小機構の補助金の経費区分
「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」第1回公募要領では、経費区分として機械装置・システム構築費、建物費(新事業進出枠・グローバル枠のみ)、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費などが定められています。主な注意点は次のとおりです。
- 機械装置・システム構築費か建物費のいずれかが、必ず含まれている必要がある(枠により異なる)
- 機械装置等は単価10万円(税抜)以上が対象
- 据付けは設置と一体の軽微なものに限り、設置場所の整備工事や基礎工事は含められない
- 既存の機械装置の単なる置き換えは対象外
- 契約先1件当たりの見積額の合計が50万円(税抜)以上の場合は、3者以上の同一条件の見積が必要
見落としやすい対象外経費
同公募要領は、対象外となる経費を具体的に列挙しています。設備投資で特に引っかかりやすいものを挙げます。
- 内訳の分からない諸経費:諸経費、会社経費、一般管理費、現場管理費、雑費など、内容や内訳が確認できない経費
- 公租公課:消費税・地方消費税、収入印紙、振込手数料
- 汎用品:事務用のパソコン、タブレット、スマートフォン、複合機など目的外使用になり得るもの
- 自社の人件費・旅費:補助事業に関わる社員の人件費や出張旅費
- 書類作成の費用:事業計画書や申請書、報告書の作成・提出にかかる費用
- 再エネ発電設備:太陽光パネルなどの発電設備と一体不可分の附属設備
SIIの補助金でも、交付決定前にかかった事前調査費などの経費や、会議費等の諸経費は対象外です。また、申請者が自社製品を調達する場合は、利益を含めず製造原価などの原価で計上するよう定められています。
対象になる支払い方と期間
経費区分に当てはまる費用でも、支払いの時期と方法が守られていなければ対象外になります。新事業進出・ものづくり補助金では、補助事業実施期間内に契約(発注)から納入、検収、支払いまでを終える必要があり、支払いは銀行振込の実績で確認されます。現金払い、相殺、手形、ファクタリングによる支払いは対象外です。SIIの補助金も、支払いは金融機関による振込とし、割賦払いや手形払いは認めていません。交付決定前の契約・発注が対象外になる点は交付決定前に契約・発注してはいけない理由で解説しています。
- 見積で区分を分ける対象と対象外が判別できる見積明細を取る
- 交付申請で精査事務局が経費区分と価格の妥当性を確認
- 交付決定後に契約見積を取った事業者と契約・発注
- 期間内に検収・振込補助事業実施期間内に支払いまで完了
- 実績報告で証明契約書・納品書・請求書・振込記録を提出
見積の段階で補助対象と対象外が分かれていないと、交付申請で経費を分け直すことになり、手戻りが生じます。SIIの公募要領も、補助対象経費と対象外経費が明確に判別できる見積明細を取得するよう求めています。相見積の取り方は相見積もりの取り方をご覧ください。
まとめ
補助対象経費の範囲は、制度だけでなく同じ制度の中の事業区分や企業規模によっても変わります。特に工事費は「全額対象外」「中小企業者等に限り対象」「対象」と扱いが分かれるため、補助金額を見込むときは、見積を費目ごとに分けて対象分だけを積み上げることが大切です。条件は年度や公募回で見直されるため、申請前に最新の公募要領で確認してください。消費税の扱いは補助金の消費税仕入控除税額の返還で解説しています。
タンソーマンGXでは、見積の費目整理から補助対象経費の算定、申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。
参考資料
本記事の内容は2026年10月22日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



