
この記事では、補助金の入金後に行われることがある会計検査院の検査と、補助事業の書類をいつまで、どのように保存すればよいかを解説します。補助事業の書類の保存期間は法人税の帳簿の保存期間とは起算点も年数も異なり、取得した設備の管理は処分制限期間の間続きます。会計検査院法と、中小機構・SIIの交付規程や公募要領をもとに整理します。
補助金を受けた事業者も会計検査院の検査対象になる
会計検査院は国の会計を検査する機関ですが、検査の範囲は国の機関に限られません。会計検査院法第23条第1項第3号は、国が直接または間接に補助金、奨励金、助成金等を交付しているものの会計を、会計検査院が必要と認めるときに検査できる対象として挙げています。SIIや中小機構などの事務局を通じて交付される補助金も、「間接に」交付されるものに当たります。
同法は、会計検査院が職員を派遣して実地の検査をできること(第25条)、帳簿や書類などの資料の提出を求め、関係者に質問できること(第26条)も定めています。補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(補助金適正化法)第23条でも、国は補助事業者に報告させ、事業所に立ち入って帳簿書類を検査できるとされ、検査を拒んだり虚偽の報告をしたりした者は3万円以下の罰金の対象になります(第31条)。
各制度の規程もこれを前提にしています。中小企業省力化投資補助金交付規程は、補助事業の終了後、会計検査院、経済産業省または中小機構が予告なく実地検査を実施でき、返還命令などの指示があれば従うものとしています。SIIの省エネ・非化石転換補助金の公募要領も、会計検査院による現地検査等に会社単位で誠実に対応できることを申請の要件に挙げています。
- 額の確定事務局が書類審査と現地調査を行い補助金額を確定
- 補助金の入金精算払請求の後に支払い
- 効果報告制度ごとに定められた年数、毎年報告
- 事務局の再調査省力化では完了後5年の間、確定後も現地調査が可能
- 会計検査院の検査入金後に抜き打ちで行われることがある
省力化投資補助金の「交付決定後の留意事項」は、会計検査院の検査で違反行為や不適切な経費の使い方が明らかになった場合、加算金を付けた補助金の返還などの措置がとられ、事業者名が公表される場合があるとしています。入金後の手続き全体は実績報告と額の確定、効果報告は補助事業終了後の事業化・効果報告で解説しています。
補助事業の書類の保存期間
補助事業の証拠書類の保存期間は、主な国の補助金で「補助事業の完了の日の属する年度の終了後5年間」とされています。
- 中小企業省力化投資補助金交付規程(第12条):帳簿と全ての証拠書類を、補助事業の完了(廃止の承認を受けた場合を含む)の日の属する年度の終了後5年間、要求があればいつでも閲覧に供せるよう保存する
- SII 省エネ・非化石転換補助金の公募要領:申請書類、SII発行文書、経理に係る帳簿と全ての証拠書類を、同じく年度の終了後5年間保存する
ここでいう「年度」は国の会計年度(4月〜翌年3月)です。たとえば2027年1月に補助事業が完了した場合、その年度の終了は2027年3月末なので、保存期間は2032年3月末までになります。
一方、法人税の帳簿書類は、国税庁のタックスアンサー(No.5930)によると、事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(青色申告で欠損金が生じた事業年度などは10年間)の保存が必要です。補助事業の書類は、どちらか長い方に合わせて残すと管理しやすくなります。
中小企業省力化投資補助金交付規程第12条、SII 公募要領、国税庁タックスアンサーNo.5930(令和8年4月1日現在法令等)より作成。起算点が異なるため、年数だけで単純に比べられません。
処分制限期間中は設備の管理台帳も残す
書類の保存期間が過ぎても、取得した設備の管理は終わりません。補助金で取得した設備には、法定耐用年数に応じた処分制限期間がかかります。省力化投資補助金の「交付決定後の留意事項」は、証拠書類の保存期間が終わった後も、処分制限期間中は取得財産を適切に管理し、提出を求められたときに対応できるよう保存するよう求めています。同規程では、取得財産等管理台帳(様式第6)を備えて管理することが定められています。処分制限の詳細は補助金で取得した設備の処分制限をご覧ください。
検査に備えた書類の整え方
省力化投資補助金の「実績報告の手引き」は、補助事業に関わる書類だけを抽出し、費目別・発注先別に時系列で整理して保管すること、紙の原本はスキャンしたうえで提出後も破棄せず5年間保持することを求めています。会計検査院などの調査では紙の原本を確認することがあるとも記載されています。
- 担当者が替わっても分かるようにする:保存期間は5年以上に及ぶため、保管場所と一覧を社内で引き継げる形にしておきます。
- 設備を識別できるようにする:省力化投資補助金では、取得した設備に管理番号を付けたシール等を貼り、台帳と一致させるよう求めています。
- 効果報告の根拠も残す:同規程第27条は、効果報告の証拠となる書類も、報告に係る年度の終了後5年間保存するよう定めています。
まとめ
補助金を受けた事業者は、事業が終わった後も会計検査院や事務局の検査を受けることがあり、そのときに書類を示せなければ返還を求められるおそれがあります。証拠書類は主な国の補助金で年度終了後5年間、法人税の帳簿は申告期限の翌日から7年間、設備の管理は処分制限期間の間と、それぞれ期間が異なります。保存期間や様式は制度・年度ごとに定められるため、交付規程と最新の手引きで確認してください。
タンソーマンGXでは、補助金の申請から実績報告までに加え、事業完了後の効果報告や書類管理についてもご相談を受けています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。
参考資料
- 法務省 日本法令外国語訳データベース 会計検査院法
- e-Gov法令検索 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律
- 中小機構 中小企業省力化投資補助金交付規程
- 中小機構 省力化投資補助事業(一般型)交付決定後の留意事項(第6回公募)
- 中小機構 省力化投資補助事業(一般型)実績報告の手引き
- SII 令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)公募要領(4次公募)
- 国税庁 タックスアンサー No.5930 帳簿書類等の保存期間
本記事の内容は2026年10月22日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



