
この記事では、冷凍冷蔵倉庫の二大投資である「冷凍機の更新」と「屋根の太陽光発電」について、令和8年度の国の補助金の要件を整理します。冷凍冷蔵倉庫ならではの対象範囲や、大企業と中小企業で補助対象経費が変わる点、屋根に太陽光を載せるときの蓄電池と耐荷重の要件が分かります。倉庫全般の制度は物流倉庫で使える補助金で解説しています。
冷凍冷蔵倉庫で補助金の対象になりやすい投資
冷凍冷蔵倉庫の電気の多くは、庫内を一年中低温に保つ冷凍機が使っています。冷凍機は外気温の高い日中に負荷が上がりやすく、屋根の太陽光が発電する時間帯と重なります。このため、冷凍機を省エネ型に替えることと、屋根の太陽光で日中の電気をまかなうことは、組み合わせて検討する価値があります。
- 冷凍機の更新:環境省の自然冷媒機器補助(執行:日本冷媒・環境保全機構=JRECO)、経済産業省の省エネ・非化石転換補助金(執行:SII)
- 屋根の太陽光と蓄電池:環境省の「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」(執行:環境イノベーション情報機構)
- 照明:SIIの設備単位型(制御機能付きLED照明器具)
冷凍機の自然冷媒化:冷凍冷蔵倉庫の要件
環境省の「コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業」は、アンモニアやCO2などの自然冷媒を使い、同等能力のフロン機器よりCO2排出の少ない冷凍冷蔵機器の導入を支援します。制度全体は自然冷媒機器の補助金をご覧ください。ここでは冷凍冷蔵倉庫に特有の点を挙げます。
- 対象範囲:農畜水産物や加工品などを常時低温で保管する倉庫で、保管・荷捌・流通加工の場所に使う機器が対象です。同じ計画に保管の場所が含まれていない場合は対象外です。
- 申請者:自ら物品を保管する倉庫業者に加え、物流不動産の開発事業者も対象です。
- 補助対象経費:工事費・設備費などが対象ですが、冷凍冷蔵倉庫の大企業は設備費のみに限られます。
- 補助率:原則1/3以下。「先進的な中小企業」に合致し、採択審査の得点順で最大上位20%以内なら1/2以下です。
- 上限額:1事業者当たり5億円(同一年度の複数申請は合計)
令和8年度は、単年度事業の予算が約50億円、令和8〜9年度の複数年度事業が約20億円とされ、春公募(4月24日〜5月25日)と秋公募(9月14日〜10月13日)で受付を終えています。既存のフロン機器を撤去する場合は、都道府県知事の登録を受けた第一種フロン類充塡回収業者へフロン類を引き渡すことも要件です。
小型の冷凍冷蔵ユニットはSIIの設備単位型
SIIの省エネ・非化石転換補助金「設備単位型」にも「冷凍冷蔵設備」の区分があります。対象は、電気冷蔵庫・電気冷凍庫、冷凍機内蔵形ショーケース、コンデンシングユニット、冷凍冷蔵ユニットで、SIIが公表した基準を満たす製品への更新が対象です。
JRECO 自然冷媒機器補助(環境省)
- 自然冷媒の冷凍冷蔵機器が対象
- 新設・更新・建替が対象
- 補助率1/3以下(先進的な中小企業は1/2以下)
- 上限5億円/事業者
- 大企業の倉庫は設備費のみ
SII 設備単位型(経済産業省)
- SIIの指定設備(コンデンシングユニット、冷凍冷蔵ユニットなど)
- 現在使っている設備の更新が対象
- 従来枠は補助率1/3以内
- 上限1億円
- 設備費のみ(工事費は対象外)
JRECO 令和8年度秋公募 公募要領、SII 令和7年度補正 設備単位型 公募要領(4次公募)より。同じ設備に両方を使うことはできない。
SIIの4次公募は2026年10月5日から10月30日17時必着です。省エネ率10%以上、省エネ量1kl以上、経費当たり省エネ量1kl/千万円以上のいずれかを満たす必要があります。自然冷媒の大型冷凍機への転換ならJRECO、既存の小型ユニットを高効率品に入れ替えるならSII、と規模と冷媒で使い分けます。
屋根の太陽光は蓄電池とセットで
令和8年度のストレージパリティ事業は、自家消費型の太陽光発電設備と蓄電池の導入を支援します。冷凍冷蔵倉庫は夜間も冷凍機が動くため、日中の発電を蓄電池にためて夕方以降に使う構成と相性がよい施設です。
ストレージパリティ事業(令和8年度)の要件に沿った構成の例。停電時に最低限の電力を供給できることも要件。
主な要件は次のとおりです(戸建て住宅以外)。
- 太陽光発電設備と併せて蓄電池を導入すること(蓄電池容量の合計20kWh以上)
- 自家消費率50%以上で、系統への逆潮流(余剰売電)をしないこと。FIT・FIPの認定は取得できない
- 停電時に、太陽光または蓄電池で施設に最低限の電力を供給できるようにすること
- 建物に設置する場合、設置場所の耐荷重が10kg/m²以下でないこと
冷凍冷蔵倉庫の屋根は断熱パネル構造であることも多く、既存の設置物を考慮した追加の耐荷重を確認できるかが最初の関門になります。耐荷重の確認には建物の図面や構造の検討が必要なため、早めに設計者へ相談しておきます。
令和8年度 公募要領より。補助金基準額は太陽光4万円/kW(オンサイトPPA・リースは5万円/kW)、業務・産業用蓄電池3.9万円/kWh。
令和8年度の公募は、一次(7月9日〜7月31日)と二次(8月27日〜10月2日)で終了しています。太陽光の要件の詳細は自家消費型太陽光発電の補助金をご覧ください。
検討を進めるときの注意点
- 交付決定前に発注しない:いずれの制度も、契約・発注は交付決定後です。冷凍機は納期が長いため、公募の時期から逆算して計画します。
- 国の補助金の重複はできない:同じ設備に国の補助金を二つ使うことはできません。冷凍機と太陽光のように設備が違えば、別々の制度を使えます。
- 倉庫の所有者と利用者:賃借している倉庫では、設備の所有者と使用者が違う場合の申請方法(共同申請など)や、屋根の利用に所有者の同意が要るかを確認します。
- 年度ごとの見直し:補助率や公募時期は毎年変わります。次年度の公募に備え、冷凍機の台数・冷媒・動力と、月別の電気使用量をそろえておきます。
まとめ
冷凍冷蔵倉庫の冷凍機更新は、自然冷媒への転換ならJRECOの事業、小型ユニットの高効率化ならSIIの設備単位型が中心です。JRECOでは保管の場所を含む計画であることや、大企業は設備費のみが対象である点に注意が必要です。屋根の太陽光は蓄電池とのセット導入、自家消費率50%以上、逆潮流なし、耐荷重の確認が要件になります。
タンソーマンGXでは、冷凍機の更新や屋根の太陽光・蓄電池について、制度の選定から申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは蓄電池・太陽光の補助金解説をご覧ください。ご相談は補助金支援のページから承っています。
参考資料
- 日本冷媒・環境保全機構 令和8年度 コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業 公募
- 同 令和8年度秋公募 公募要領
- SII 設備単位型 公募要領<4次公募用>(2026年10月)
- 環境イノベーション情報機構 令和8年度 ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業 公募ページ
- 令和8年度 ストレージパリティ事業 公募要領(KY)
本記事の内容は2026年10月22日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



