
この記事では、公衆浴場(銭湯など)とクリーニング店が、ボイラーや給湯設備を更新するときに使える補助金を整理します。国のSIIの省エネ補助金で対象になる設備の基準、東京都の公衆浴場向け助成、厚生労働省の生活衛生関係営業向け支援の役割の違いが分かります。
2つの業種に共通する「熱」の負担
公衆浴場は浴槽とシャワーの湯をつくる給湯・加温が、クリーニング店はプレス機やアイロンに送る蒸気をつくるボイラーが、エネルギー使用の中心になります。どちらも「熱をつくる設備」の効率が経営を左右する業種です。
厚生労働省の衛生行政報告例(令和6年度末)では、物価統制令で入浴料金が統制される一般公衆浴場(いわゆる銭湯)は2,730施設で、前年度から117施設減りました。取次所を除くクリーニング所は19,379施設で、前年度から1,099施設減っています。設備の老朽化と燃料費の上昇は、両業種に共通する課題です。
公衆浴場
- 給湯・加温のボイラー
- 燃料の都市ガス化
- 都道府県の公衆浴場向け助成
クリーニング店
- 蒸気ボイラー
- 空調・照明
- 国の省エネ補助が中心
共通して使える制度
- SIIの高性能ボイラ・給湯器
- 生活衛生営業指導センターの相談
- 日本公庫の生活衛生貸付
SIIの省エネ補助金 ボイラーと給湯器の基準
経済産業省の省エネ・非化石転換補助金(令和7年度補正)は、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が執行しています。業種を問わず使える制度で、公衆浴場やクリーニング店も対象になり得ます。
設備単位型
SIIが定めた基準を満たす「指定設備」へ更新する事業が対象です。ボイラーや給湯に関係する区分は次のとおりです。
- 高性能ボイラ:蒸気ボイラと温水ボイラ。ボイラ効率が95%以上(低位発熱量基準)であること
- 業務用給湯器:業務用ヒートポンプ給湯器と、ガス・石油の潜熱回収型給湯器
- 産業ヒートポンプ:低温から高温まで使えるヒートポンプ設備
高性能ボイラの対象範囲はボイラ本体で、蒸気ボイラでは給水ポンプ、送風機、制御盤、節炭器、空気予熱器なども本体に含まれます。クリーニング店で蒸気ボイラーを更新する場合も、銭湯で温水ボイラーを更新する場合も、検討中の機種がSIIに型番登録されているかを販売店に確かめるところから始めます。
従来枠の補助率は1/3以内、上限1億円、下限30万円で、補助対象経費は設備費のみです。据付工事費や配管は対象外です。省エネ率10%以上、省エネ量1kl以上、経費あたり省エネ量1kl/千万円以上のいずれかを満たす必要があります。
電化・脱炭素燃転型
重油や灯油のボイラーを、ヒートポンプなど電気や、より低炭素な燃料を使う設備に替える事業が対象です。更新の補助率は1/2以内、上限は3億円(電化する事業は5億円)で、中小企業者等は工事費も補助対象になります。給湯器では業務用ヒートポンプ給湯器が対象区分です
令和7年度補正の4次公募は2026年10月5日から10月30日まで行われています。ボイラー更新全般の進め方はボイラー更新・燃料転換に使える補助金をご覧ください。
東京都の公衆浴場向け助成
公衆浴場には、都道府県が独自に設けた助成があります。東京都の「令和8年度 東京都の主要公衆浴場対策事業」では、クリーンエネルギー等推進事業として、燃料の都市ガス化や省エネ設備の導入に補助率2/3の助成を行っています。1施設あたりの補助上限は次のとおりです。
補助率はいずれも2/3。東京都「令和8年度 東京都の主要公衆浴場対策事業」(第24次公衆浴場対策協議会資料)より作成。
このほか、耐震化(補助率2/3、構造部分の条件を満たせば4/5)や改築(補助率1/2または2/3、上限2億円)への支援もあり、区市が風呂釜や温水器などの設備費を助成する例も挙げられています。所管は生活文化局消費生活部生活安全課です。申請時期や対象設備の細かな範囲は、所管課の要綱で確認してください。
大阪府の「一般公衆浴場燃料費高騰対策支援金」(令和8年度、申請は9月30日で終了)は燃料費の支援で、設備の補助ではありません。大阪市の「中小企業の省エネ・省CO2加速化支援事業補助金」(令和8年度)は、経済産業省の補助金で交付決定を受けた事業者に対象経費の1/3(上限300万円)を上乗せする制度で、受付は2027年1月8日まで(予算がなくなり次第終了)です。都道府県や市区町村の制度は地域ごとに大きく異なるため、所在地の自治体で確認します。
厚生労働省の支援と日本政策金融公庫
厚生労働省の「生活衛生関係営業対策事業」は、全国生活衛生営業指導センターや生活衛生同業組合連合会に交付される補助金です。令和7年度補正の経営支援事業では、専門家による伴走型支援の内容に「経営診断、省エネ指導、補助金活用支援」が含まれていますが、改修工事の経費は補助対象外とされており、事業者が設備を買うための補助金ではありません。省エネの相談窓口として使い、設備の補助はSIIや自治体の制度で探すのが現実的です。
日本政策金融公庫の生活衛生貸付は、対象業種に公衆浴場業とクリーニング業を含みます。補助金は事業完了後の後払いのため、自己負担分やつなぎ資金を融資で手当てする組み立ても検討します。
補助金を探す順番
- 現状の把握燃料の使用量と設備の年式を整理
- 自治体の制度公衆浴場向け・省エネ向けの助成
- 国の制度SIIの指定設備か型番を確認
- 併用の確認同じ経費に重ねられるか
- 資金の手当て自己負担分を融資で準備
国と自治体の補助金は、同じ経費に重ねて受け取れない場合があります(国・都道府県・市区町村の補助金は併用できるか)。また、どの制度も交付決定前に契約・発注した経費は対象になりません。制度の条件は年度ごとに変わるため、申請前に最新の公募要領や要綱を必ず確認してください。
タンソーマンGXでは、ボイラー・給湯設備の更新に使える制度の選定から申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。
参考資料
- 令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)公募要領(4次公募)|環境共創イニシアチブ
- 省エネ・非化石転換補助金 特設サイト(設備単位型)|環境共創イニシアチブ
- 令和8年度 東京都の主要公衆浴場対策事業(第24次公衆浴場対策協議会資料)|東京都生活文化局
- 公衆浴場の補助金|東京都生活文化局
- 大阪府一般公衆浴場燃料費高騰対策支援金|大阪府
- 令和8年度 中小企業の省エネ・省CO2加速化支援事業補助金|大阪市
- 生活衛生関係営業対策事業費補助金 事業実施計画書提出要領(令和7年度補正予算)|厚生労働省
- 令和6年度衛生行政報告例の概況|厚生労働省
- 国民生活事業のご案内2026|日本政策金融公庫
本記事の内容は2026年10月22日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



