
この記事では、中小企業が国の支援を使って省エネ診断を低額で受ける方法を整理します。2026年10月時点で申し込める2つの窓口の対象と負担額、申込みから報告までの流れ、そして診断の結果を省エネ補助金の申請にどうつなげるかが分かります。
省エネ診断とは何か
省エネ診断とは、省エネの専門家が工場・ビル・店舗などを訪問し、空調、照明、ボイラ、コンプレッサー、冷凍冷蔵設備などのエネルギーの使い方を確認して、ムダの削減や設備更新の提案を行うものです。運用の見直しですぐにできる対策から、設備投資を伴う対策まで、具体的な改善案と削減効果の目安が報告書にまとめられます。
国はこの診断の費用の大部分を負担する事業を行っており、中小企業は少ない自己負担で受診できます。補助金の申請を考える前に診断を受けておくと、どの設備から更新すべきかの優先順位が明確になり、申請書で求められる省エネ効果の根拠づくりにも役立ちます。
なお、タイトルでは「低額」としています。国の支援による診断は無料ではなく、一定の自己負担が必要です。都道府県や市区町村が独自に無料の診断を行っている場合もあるため、地域の制度もあわせて確認してください。
国の支援で受けられる2つの窓口
2026年10月時点で、国の支援による省エネ診断は主に次の2つの窓口があります。
省エネ診断・伴走支援(SII)
- 令和7年度補正予算の事業
- 全国の登録診断機関(省エネお助け隊など)が実施
- ウォークスルー診断、IT診断、伴走支援
- 特設サイト shoeneshindan.jp から申込み
省エネ最適化診断(省エネルギーセンター)
- 令和8年度の事業
- 省エネルギーセンターが実施
- 省エネ診断と再エネ提案を組み合わせて提案
- ポータル shindan-net.jp から申込み
いずれも中小企業等エネルギー利用最適化推進事業費による事業。省エネルギーセンター・SII作成の比較資料をもとに作成。
SIIの省エネ診断・伴走支援
一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が事務局を務める「令和7年度補正 地域エネルギー利用最適化・省エネルギー診断拡充事業」です。地域の支援機関や設備メーカー、エネルギー関連企業などが診断機関として登録されており、申込み時にエリアとプランに合った診断機関を選びます。特設サイトでは2026年3月30日から申込みの受付を開始したと案内されています。
省エネルギーセンターの省エネ最適化診断
一般財団法人省エネルギーセンターが実施する「令和8年度 エネルギー利用最適化診断等事業」による診断です。約1日の現地診断で事業所全体のエネルギーのムダを確認し、再エネの導入提案も組み合わせて助言します。同センターのポータルサイトでは、2026年10月時点で11月以降に診断を実施する分の申込みを受け付けています(メニューごとに受付期間が異なります)。
受診できる事業者と負担額
SIIの省エネ診断のチラシでは、次のいずれかに該当する事業者が受診できるとしています。
- 中小企業基本法に定める中小企業者
- 会社法上の会社に該当せず、前年度または直近1年間のエネルギー使用量(原油換算値)が1,500kl未満の事業所(社会福祉法人、医療法人、学校法人、NPO法人、協同組合など)
同事業のFAQでは、大企業は対象外であること、エネルギー使用量は事業所ごとに判断すること、申込みは事業所単位であることが示されています。
受診者の負担額(税込)は、SIIと省エネルギーセンターが共同で作成した比較資料で次のように示されています。
- ウォークスルー診断(設備単位)1設備6,006円。最大2設備まで
- ウォークスルー診断(事業所全体)16,016円〜51,051円。事業所の規模で変動
- 省エネ最適化診断クイック9,460円、ベイシック12,760円〜、データプラス16,170円〜
- IT診断22,000円〜110,000円程度。最大220,000円
- 伴走支援11,000円〜22,000円程度。最大51,051円。診断受診済みが対象
出典:省エネルギーセンター・SII「省エネ診断 各種メニューの比較」ほか。診断内容や規模により異なります。
ウォークスルー診断とは、専門家が1日程度で事業所内の設備を見て回り、管理状況を確認して改善を提案する診断です。IT診断は、数週間から数か月の計測でエネルギーの使用状況を見える化し、より詳しく分析します。伴走支援は、診断で提案された対策の実施を、設備更新の検討や省エネ計画の策定まで含めてサポートするものです。
申込みから報告までの流れ
- WEBで申込み診断機関とプランを選ぶ
- 事前ヒアリング設備や困りごとを共有
- 現地診断専門家が設備を確認
- 報告会改善提案と削減効果の説明
- 支払い完了後に請求書で振込み
SIIの事業のFAQでは、申込みから報告会までの目安は1か月程度とされ、案内資料では1〜2か月程度と示されています。報告会の実施は必須で、オンラインでも行えます。費用は支援が全て終わった後に診断機関の請求書で支払い、クレジットカードは使えません。
受診前に、直近1年分の電気・ガス・燃料の使用量と、主な設備の一覧(型式、設置年、台数)を用意しておくと、診断がスムーズに進みます。電気料金明細の見方は電気料金明細から補助金の要件を確かめる方法も参考になります。
補助金申請との関係
省エネ診断は、補助金申請の前段として有効です。例えば、令和7年度補正予算の省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)の4次公募要領では、2023年度以降に国の省エネ診断事業(エネルギー利用最適化診断等事業、地域エネルギー利用最適化・省エネルギー診断拡充事業など)で診断を受けた事業所の省エネ事業を、審査で追加評価する項目の一つに挙げています。該当する場合は、省エネ診断報告書の表紙の写しを提出します。
また、診断報告書には設備ごとの削減効果の試算が含まれるため、申請書で求められる省エネ量の計算や事業計画の説明にも活用できます。計算の考え方は省エネ効果の計算方法で解説しています。
ただし、審査での扱いや対象となる診断事業は、補助金ごと・年度ごとに異なります。申請する補助金の最新の公募要領で必ず確認してください。また、診断の予算や受付期間には限りがあるため、補助金の公募開始から逆算して早めに申し込むことをおすすめします。
まとめ
中小企業は、SIIの省エネ診断・伴走支援や省エネルギーセンターの省エネ最適化診断を使うことで、数千円から数万円程度の負担で専門家の診断を受けられます。診断は設備更新の優先順位を決める材料になり、省エネ補助金の審査でも評価される場合があります。補助金の申請を検討している場合は、まず診断で現状を把握するところから始めるのが確実です。
タンソーマンGXでは、省エネ診断の結果を踏まえた制度の選定から、申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。
参考資料
- SII 省エネ診断・伴走支援 特設WEBサイト
- SII 省エネ診断・伴走支援 中小企業向けチラシ(PDF)
- 省エネルギーセンター・SII 省エネ診断 各種メニューの比較(PDF)
- SII 省エネ診断・伴走支援 よくあるご質問(PDF)
- 省エネルギーセンター 省エネ・節電ポータルサイト(省エネ最適化診断)
- SII 令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)4次公募 公募要領(PDF)
本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



