公開 2026.10.21

省エネ補助金「工場・事業場型」 大規模更新の要件

省エネ・非化石転換補助金の「工場・事業場型」は、工場や事業場全体のエネルギー使用量を大きく減らす設備更新を支援する区分で、補助率・上限額ともに最も大きい区分です。この記事では、令和7年度補正予算(4次公募)の公募要領に沿って、4つの枠の違い、事業所全体と設備単位の二段階の省エネ要件、補助率と上限額、大規模更新ならではの注意点を解説します。

工場・事業場型の対象となる設備

工場・事業場型では、次の3種類の設備が補助対象になります。

  • 先進設備・システム:資源エネルギー庁の技術評価委員会が決めた審査項目に沿って、SIIの外部審査委員会が審査・採択し公表した設備
  • オーダーメイド型設備:機械設計を伴う設備や、事業者の使用目的・用途に合わせて設計・製造する設備
  • 指定設備:SIIがエネルギー消費効率などの基準を定めて公表した設備(高効率空調、高性能ボイラ、変圧器、工作機械など)

オーダーメイド型設備と指定設備の組み合わせや、複数の指定設備をまとめて更新する事業も対象です。補助対象経費は設計費・設備費・工事費です。

4つの枠と省エネ要件

工場・事業場型には4つの枠があり、申請単位(エネルギー管理を一体で行う事業所)全体で、原油換算により次のいずれかの要件を満たす必要があります。「非化石割合増加率」「非化石使用量」は、非化石エネルギーへの転換分を省エネ効果に加えて評価するものです。

  • 先進枠:省エネ率+非化石割合増加率30%以上、省エネ量+非化石使用量1,000kl以上、エネルギー消費原単位改善率15%以上のいずれか
  • 一般枠:同じく10%以上、700kl以上、7%以上のいずれか
  • 中小企業投資促進枠:同じく7%以上、500kl以上、5%以上のいずれか(一般枠の要件に適合しない中小企業者等が対象)
  • サプライチェーン連携枠:サプライチェーン上の4者以上が共同で立案した設備更新計画で、それぞれの事業者が省エネ率+非化石割合増加率5%以上
枠ごとの省エネ率要件(省エネ率+非化石割合増加率)
  • 先進枠30%以上
  • 一般枠10%以上
  • 中小企業投資促進枠7%以上
  • サプライチェーン連携枠1者当たり5%以上

SII 工場・事業場型 公募要領<4次公募用>より。省エネ量や原単位改善率による要件もある。

エネルギー消費原単位改善率での申請は、設備更新後に生産量が増え、かつエネルギー使用量も増える事業に限られます。また、非化石転換の場合も、エネルギー使用量が増える設備は対象外です。

設備単位の要件も追加された

令和7年度補正の変更点として、事業所全体の要件に加えて設備単位でも省エネ要件が課されました。一般枠・中小企業投資促進枠・サプライチェーン連携枠では、指定設備は省エネ率10%以上、省エネ量1kl以上、経費当たり省エネ量1kl/千万円以上のいずれかを、オーダーメイド型設備は経費当たり省エネ量1kl/千万円以上を満たす必要があります。

補助率と上限額

  • 先進枠:中小企業者等2/3以内、大企業・その他1/2以内
  • 一般枠:中小企業者等1/2以内(投資回収年数7年未満の事業は1/3以内)、大企業・その他1/3以内(投資回収年数7年未満の事業は1/4以内)
  • 中小企業投資促進枠:中小企業者等1/2以内(投資回収年数5年未満の事業は1/3以内)。大企業・その他は対象外
  • サプライチェーン連携枠:中小企業者等1/2以内(投資回収年数5年未満は1/3以内)、大企業・その他1/3以内(投資回収年数7年未満は1/4以内)

上限額は単年度事業で15億円(非化石転換の場合は20億円)、下限額は100万円です。複数年度事業では、先進枠は事業全体で30億円(非化石転換は40億円)、一般枠などは事業全体で20億円(非化石転換は30億円)とされ、いずれも1年度当たりの上限は15億円(非化石転換は20億円)です。

あわせて投資回収年数の要件もあります。先進枠と一般枠は5年以上、中小企業投資促進枠は3年以上、サプライチェーン連携枠は中小企業者等が3年以上、大企業・その他が5年以上とされています。補助率が投資回収年数によって下がる枠もあるため、設備の価格と省エネによるコスト削減額の見込みは、申請前に精度よく固めておく必要があります。

大規模更新ならではの申請要件

  • 中長期計画との整合:エネルギー使用量が年1,500kl以上の工場・事業場と、中小企業者に該当しない会社(みなし大企業を含む)は、省エネ法に基づく中長期計画等に記載された事業であることが求められます。
  • 経費当たりの省エネ量:計画省エネルギー量が補助対象経費1千万円当たり1kl以上であること。
  • 大企業の要件:大企業は、省エネ法の事業者クラス分け評価制度でSクラスまたはAクラスに該当する場合などに限り対象です。
  • GX要件:工場・事業場型では、補助事業者のGX要件(GX推進への取組の表明など)が必須です。
  • 導入後の報告:導入した設備の1年間のエネルギー使用量と省エネ効果を報告できることが条件です。

複数年度事業と連携事業

工場・事業場型は、国庫債務負担行為により最大4年間の複数年度事業に対応しています。年度の切れ目で工事を止める必要がなく、生産を止められる期間に合わせて段階的に更新する計画が立てやすくなっています。また、複数の事業者が連携して行う連携事業や、同一事業者の複数の事業所を一体とした「工場・事業場間一体省エネルギー事業」も申請できます。

4次公募のスケジュールと準備

令和7年度補正予算の工場・事業場型4次公募は、2026年10月5日から10月30日17時必着(郵送)です。交付決定は12月下旬の予定で、単年度事業は2027年1月31日までに完了させる必要があります。審査は事業区分ごとに評価項目に従って行われ、外部審査委員会の評価を踏まえて上位から予算の範囲内で採択されます。

事業所全体の省エネ計算には、過去のエネルギー使用量の実績と、設備ごとの稼働条件の整理が欠かせません。省エネ計算の考え方は「申請に必要な省エネ量の計算」で解説しています。枠の構成や要件は年度ごとに変わるため、必ず申請する回の公募要領で確認してください。

タンソーマンGXでは、工場・事業場型の枠の選定、事業所全体の省エネ計算、中長期計画との整合確認から、申請書類の作成、実績報告までを支援しています。

参考資料

本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。

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