
省エネ・非化石転換補助金の「設備単位型」は、空調や変圧器、工作機械などを1台単位から更新できる、使いやすい区分です。この記事では、令和7年度補正予算(4次公募)の設備単位型について、対象となる15の設備区分、3つの枠の補助率と上限額、省エネ要件、補助対象経費の範囲を公募要領に沿って解説します。
設備単位型とは
設備単位型は、SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)があらかじめ定めたエネルギー消費効率などの基準を満たし、SIIが補助対象設備として公表した「指定設備」へ更新する事業を支援する区分です。工場・事業場全体の省エネ計算は不要で、更新する設備ごとに省エネ効果を示せば申請できます。
令和7年度補正予算では、エネルギー対策特別会計を財源とする「(Ⅲ)設備単位型[従来枠]」に加えて、GX経済移行債を財源とする「(Ⅲ)GX設備単位型」として「メーカー強化枠」と「トップ性能枠」が新設されました。
対象となる15の設備区分
指定設備は次の15区分です。いずれにも該当しない設備でも、SIIが「その他SIIが認めた高性能な設備」として指定したものは対象になります。
- ユーティリティ設備:高効率空調(業務・産業用エアコン等)、産業ヒートポンプ、業務用給湯器、高性能ボイラ、高効率コージェネレーション、低炭素工業炉、変圧器、冷凍冷蔵設備、産業用モータ、制御機能付きLED照明器具
- 生産設備:工作機械、プラスチック加工機械、プレス機械、印刷機械、ダイカストマシン
製品型番はSIIのホームページで公表されています。ただし、低炭素工業炉と、圧縮機を除く産業用モータ(モータ単体・ポンプ・送風機)は原則として型番を事前に公表しないため、申請者自身が基準を満たすことを確認して申請します。
3つの枠の補助率と上限額
- 従来枠:指定設備への更新。補助率1/3以内、上限額1億円、下限額30万円
- メーカー強化枠:GX要件を満たしたメーカーの指定設備への更新。補助率1/3以内、上限額3億円、下限額30万円
- トップ性能枠:GX要件を満たしたメーカーの設備のうち、SIIが設置した第三者委員会が定めた「トップ性能基準」を満たす設備の導入。補助率は更新で1/2以内、新設で1/5以内、上限額3億円、下限額30万円
補助率は中小企業者等と大企業・その他で同じです。トップ性能枠の対象は、AI制御を備えた電気式パッケージエアコン、産業ヒートポンプ、高効率コージェネレーション、台数制御装置を備えた高性能ボイラ、高効率バーナーを搭載した低炭素工業炉、IE4以上のモータ、熱回収機能付きの圧縮機などに限られます。
SII 設備単位型 公募要領<4次公募用>より。上限額は従来枠1億円、メーカー強化枠・トップ性能枠3億円。
省エネ要件と省エネ計算
更新による省エネ効果が、原油換算で次のいずれかを満たす必要があります。
- 計画省エネルギー率:10%以上
- 計画省エネルギー量:1kl以上
- 経費当たりの計画省エネルギー量:1kl/千万円以上
省エネ量は、申請に使う「補助事業ポータル」に導入予定設備の稼働時間などを入力すると自動計算される「指定計算」と、申請者が独自に計算する「独自計算」のどちらでも算出できます。省エネ法の定期報告義務がない事業者は、SIIが指定するフォーマットでエネルギーの合理化に関する中長期計画を作成して提出します。
補助対象経費は「設備費」のみ
設備単位型で特に注意したいのは、補助対象経費が設備費に限られる点です。公募要領では、設計費、運搬費、既存設備の撤去・廃棄費、据付費・工事費、配線・配管などの材料費、消費税などが補助対象外とされています。設備費が補助対象経費の上限になるのは、原則として3者以上の見積依頼・競争入札で最も安い見積です。
そのほかの主な条件は次のとおりです。
- 現在使用している設備を更新すること(事業活動に使っていない設備の更新は対象外)
- 更新前後で使用用途が同じであること。兼用・将来用・予備の設備、中古品は対象外
- 既存設備は原則として事業完了日までに撤去すること
- 大企業は、省エネ法の事業者クラス分け評価制度でSクラスまたはAクラスに該当するなど、一定の要件を満たす場合に限り対象
GX要件・申請単位・スケジュール
GX要件
メーカー強化枠とトップ性能枠では、設備を製造するメーカー側がGX要件を満たしていることが必須です。さらに、更新後も化石燃料を使い続ける場合は、申請者側にもGX要件が求められます。具体的には、将来の非化石エネルギーの社会実装局面で、水素・アンモニアの利用や合成メタンの導入などへの転換を検討し、技術的・経済的に可能な範囲で実施することを、SIIが公表するフォーマットで表明します。
申請単位
申請は原則として、エネルギー管理を一体で行う事業所単位で行います。省エネ法の定期報告書を提出している場合はその事業所単位、提出していない場合は電気・ガス・油などの契約単位が目安です。設備の所有者と使用者が異なるリースなどの場合は、所有者と使用者の共同申請になります。
設備単位型は(Ⅳ)エネルギー需要最適化型と組み合わせて、EMSを同時に導入する計画で申請することもできます。この場合も1つの補助事業として1通の交付申請書を作成し、上限額は各区分の上限額の合計になります。
4次公募のスケジュール
令和7年度補正予算の設備単位型4次公募は、2026年10月5日から10月30日17時必着です。交付決定は12月下旬の予定で、単年度事業は2027年1月31日までに設備の設置・検収・支払いを終える必要があります。契約・発注は必ず交付決定後に行います。複数年度事業として申請する場合は、2年度目の事業期間が2028年1月31日までとなります。
設備区分や基準値、枠の構成は公募の年度ごとに見直されています。空調や照明での具体的な使い方は「空調更新に使える補助金」「LED照明の更新に補助金は使えるか」でも解説しています。
タンソーマンGXでは、設備単位型の対象設備の確認から、省エネ計算、3者見積の取りまとめ、申請書類の作成、実績報告までを支援しています。
参考資料
- SII 令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)4次公募
- SII 設備単位型 公募要領<4次公募用>(2026年10月)
- SII 設備単位型 事業概要パンフレット(4次公募)
- SII 指定設備の補助対象設備一覧
本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



