公開 2026.10.21

空調更新に使える補助金 業務用エアコン入替の進め方

業務用エアコンの入れ替えは、補助金を使った省エネ投資の中でも件数の多い分野です。この記事では、国の省エネ・非化石転換補助金(令和7年度補正予算・4次公募)を中心に、空調更新で使える区分、対象となるエアコンの性能基準、補助の対象になる経費とならない経費、申請の進め方を解説します。

空調更新で中心になるのは「設備単位型」

SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)の省エネ・非化石転換補助金では、高効率空調(業務・産業用エアコン等)が「指定設備」の一つに位置づけられています。空調だけを入れ替える場合は、設備単位型での申請が基本になります。

  • 従来枠:指定設備への更新。補助率1/3以内、上限額1億円
  • メーカー強化枠:GX要件を満たしたメーカーの指定設備への更新。補助率1/3以内、上限額3億円
  • トップ性能枠:高性能な空調本体に加えてクラウド上の高度なAI制御で省エネを行う電気式パッケージエアコンなど、トップ性能基準を満たす設備の導入。補助率は更新1/2以内、新設1/5以内、上限額3億円

いずれも下限額は30万円です。空調を含む複数の設備をまとめて更新し、事業所全体で大きな省エネを示せる場合は、工場・事業場型(指定設備として高効率空調を含む)も候補になります。

工場・事業場型は補助対象経費に設計費・工事費も含まれ、一般枠の補助率は中小企業者等で1/2以内(投資回収年数7年未満の事業は1/3以内)です。その代わり、事業所全体で省エネ率+非化石割合増加率10%以上などの要件を満たす必要があり、下限額も100万円と高くなります。空調の台数が多い、照明や熱源も同時に更新するといった計画であれば、両方の区分で試算して比べる価値があります。

対象になるエアコンの種類と性能基準

高効率空調の指定設備は、次の5種別です。

  • 電気式パッケージエアコン(業務用エアコン)
  • ガスヒートポンプエアコン(GHP)
  • チリングユニット
  • 吸収式冷凍機
  • ターボ冷凍機

それぞれに性能の基準値があります。電気式パッケージエアコンは、APF(通年エネルギー消費効率。1年を通じた冷暖房の効率を示す指標)で基準が定められ、たとえば店舗用の4方向カセット形で定格冷房能力14.0kWクラスはAPF5.8以上とされています。ビル用マルチ、設備用、ダクト形など、形態と能力ごとに基準値が細かく分かれています。

あわせて次の点にも注意が必要です。

  • 水冷式の電気式パッケージエアコンは、トップランナー基準がないため対象外
  • 冷媒にオゾン層を破壊する物質を使う設備は対象外
  • 寒冷地仕様は、基準値に0.9を掛けた値を満たせば対象

ガスヒートポンプエアコンは、APFp(ガスヒートポンプの期間成績係数)が冷房能力の区分ごとに定められ、製品カタログに記載された値が基準を満たす必要があります。チリングユニットは空冷式で3.0以上、水冷式で3.8以上(定格能力を消費電力で割った値)が基準です。冷凍機を工場の冷却など空調以外の目的で使う場合も、空調の温度条件で計算した性能値が基準を満たすことが求められます。

実際には、SIIが公表している指定設備の型番一覧から機種を選ぶ形になります。

補助対象になる経費・ならない経費

設備単位型の補助対象経費は設備費のみです。高効率空調で対象になる範囲は、室外機、室内機、リモコン(集中リモコンを含む)、パネル、全熱交換器です。

一方、公募要領では次の経費が補助対象外とされています。

  • 据付工事費・設置工事費
  • 冷媒配管・電気配線などの材料費
  • 既存エアコンの撤去・廃棄費、運搬費
  • 設計費、消費税

業務用エアコンの入れ替えでは工事費の割合が大きくなりがちです。「見積総額の1/3が補助される」わけではなく、補助の対象は機器代に限られる点を前提に資金計画を立てます。

業務用エアコン入替の補助金申請の流れ(設備単位型)
  1. 対象機種の確認SIIの指定設備一覧で型番を確認
  2. 3者見積異なる販売事業者3者から取得
  3. 省エネ計算指定計算で稼働時間などを入力
  4. 申請・交付決定決定前の契約・発注は不可
  5. 発注・入替・撤去既存機は完了日までに撤去
  6. 実績報告検収・支払い後に報告

申請の進め方と注意点

省エネ要件と省エネ計算

更新による省エネ率10%以上、省エネ量1kl以上、経費当たり省エネ量1kl/千万円以上のいずれかを満たす必要があります。電気式パッケージエアコンとガスヒートポンプエアコンは、SIIの補助事業ポータルに稼働時間などを入力すると省エネ量が自動計算される「指定計算」の手引きが用意されています。

見積と発注のタイミング

見積は異なる販売事業者3者以上から取得し、補助対象と対象外の経費が明確に分かれた明細にします。3者見積は1次公募の公募要領公開日(2026年3月25日)以降の発行日であれば、交付決定前に行っても有効です。ただし契約・発注は必ず交付決定後に行います。

更新の条件

現在使っているエアコンを、同じ用途の新しい機種へ更新することが条件です。使っていない設備の更新や予備機の追加、中古品は対象になりません。既存設備は原則として事業完了日までに撤去します。

EMSや税制との組み合わせ

空調の更新と同時に、空調の制御や計測を行うEMSを導入する場合は、エネルギー需要最適化型と組み合わせて1つの計画で申請できます。また、設備単位型の公募要領では、中小企業経営強化税制との併用は可能とされています。その他の税制との併用は、それぞれの税制の窓口への確認が必要です。

4次公募の時期と自治体の制度

令和7年度補正予算の設備単位型4次公募は、2026年10月5日から10月30日17時必着、交付決定は12月下旬の予定で、単年度事業は2027年1月31日までに完了させる必要があります。夏前の入れ替えを狙う場合は、複数年度事業や翌年度の公募も含めて時期を検討します。

都道府県や市区町村にも、中小企業の空調更新を対象にした補助制度があります。国の制度との併用は、補助対象経費が重複する場合は原則できませんが、地方公共団体の一般財源による補助金との併用は認められるとされています。自治体の制度の探し方は「地域の補助金の探し方」で解説しています。基準値や対象範囲は年度ごとに見直されるため、申請する回の公募要領で確認してください。

タンソーマンGXでは、業務用エアコンの入れ替えに使える制度の選定から、対象機種の確認、省エネ計算、申請書類の作成、実績報告までを支援しています。

参考資料

本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。

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