公開 2026.10.21

中小企業の定義 補助金で「中小企業」に当たるかの判定

この記事では、補助金の公募要領に出てくる「中小企業者」の判定方法を解説します。中小企業基本法の基準(資本金・従業員数・業種)、「常時使用する従業員」の数え方、補助金で対象外になりやすい「みなし大企業」まで、中小企業庁の公表資料に沿って整理します。

補助金の「中小企業」は制度ごとに定義される

多くの補助金は対象を「中小企業者」に限っています。その基本となるのが中小企業基本法第2条の定義ですが、中小企業庁は、この定義は政策対象の範囲を定めた「原則」であり、法律や制度によって「中小企業」として扱う範囲が異なることがあると説明しています。

実際の補助金では、中小企業基本法の定義に加えて、業種の特例を設けたり、大企業の支配下にある会社を除いたり、売上高や所得の条件を加えたりしています。最終的な判定は、申請する補助金の公募要領で確認する必要があります。

中小企業基本法の基準:資本金か従業員数のどちらか

中小企業基本法では、主たる事業の業種ごとに、資本金(出資の総額)と常時使用する従業員数の基準が定められています。

中小企業者の範囲(中小企業基本法)
  • 製造業・建設業・運輸業その他資本金3億円以下 または 従業員300人以下
  • 卸売業資本金1億円以下 または 従業員100人以下
  • サービス業資本金5,000万円以下 または 従業員100人以下
  • 小売業資本金5,000万円以下 または 従業員50人以下

中小企業庁「中小企業・小規模企業者の定義」より作成。

法律の条文では「資本金の額…の会社並びに常時使用する従業員の数…の会社」と書かれているため、両方を満たす必要があると誤解されがちです。中小企業庁のFAQでは、資本金と従業員数のどちらか一方を満たせば中小企業者に該当すると明記されています。たとえば資本金10億円の製造業でも、従業員が300人以下であれば基準上は中小企業者に当たります。

また、中小企業関連の法律では、政令により次の業種の基準が広げられている場合があります。

  • ゴム製品製造業(一部を除く):資本金3億円以下 または 従業員900人以下
  • 旅館業:資本金5,000万円以下 または 従業員200人以下
  • ソフトウェア業・情報処理サービス業:資本金3億円以下 または 従業員300人以下

中小企業等経営強化法の定義を使う補助金(たとえば中小企業成長加速化補助金)では、公募要領にこれらの業種の基準も掲載されています。

業種と従業員数の数え方

業種は「主たる事業」で判断する

どの業種に当たるかは、総務省の日本標準産業分類で分類を確かめ、中小企業庁の対応表で業種区分に当てはめて判断します。複数の業種の事業を営む場合は「主たる事業」の業種で判断されます。

中小企業庁のFAQでは、問い合わせの多い例として次のような扱いが示されています。

  • 農林漁業は「その他の業種」
  • 電気・ガス事業は「その他の業種」(電気小売業・ガス小売業を除く)
  • 製造した商品をその場で販売するパン屋などの製造小売は「小売業」

「常時使用する従業員」に役員は含まない

中小企業基本法の「常時使用する従業員」は、労働基準法第20条で「あらかじめ解雇の予告を必要とする者」と解釈されています。会社役員や個人事業主本人は含まれません。パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、出向者については、この条文をもとに個別に判断されるとされています。

会社以外の法人と小規模事業者の扱い

中小企業基本法の「会社」は、株式会社・合同会社などの会社法上の会社と、税理士法人などの士業法人を指します。そのため、社会福祉法人、医療法人、NPO法人、一般社団・財団法人、学校法人、組合などは、資本金や従業員の基準を満たしても、中小企業基本法上の中小企業者には当たらないとされています(会社形態の農業法人を除く)。ただし、補助金によっては組合や一部の法人を対象に含める場合があります。

補助率の引き上げなどで使われる「小規模企業者」は、従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)の事業者です。「商業」は卸売業・小売業を指します。小規模事業者支援法などでは、宿泊業と娯楽業は従業員20人以下を小規模企業として扱います。

補助金で除外されやすい「みなし大企業」

中小企業基本法には「みなし大企業」の規定はありません。しかし多くの補助金では、大企業の支配下にある会社を対象から外しています。中小企業庁は、補助金によって「みなし大企業」として対象外になる場合があるとして、各制度の窓口で確認するよう案内しています。

補助金での判定の順番
  1. 業種を決める主たる事業を日本標準産業分類で確認
  2. 規模を確かめる資本金か従業員数のどちらかが基準内か
  3. 支配関係を確かめる大企業の出資比率・役員の兼務
  4. 追加条件を確かめる課税所得・売上高など公募要領の条件

典型的な除外条件は次のとおりです(中小企業成長加速化補助金3次公募の公募要領の例)。

  • 発行済株式の2分の1以上を同一の大企業が所有している
  • 発行済株式の3分の2以上を大企業が所有している
  • 大企業の役員・職員を兼ねる人が役員総数の2分の1以上を占めている

同じ公募要領では、直近3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える場合も対象外とされています。このように、規模の基準を満たしていても、資本関係や収益の水準で対象外になることがあります。株主構成が変わる予定がある場合は、申請前に事務局へ相談しておくと安全です。

判定で迷ったときの確認先

判定に迷う場合は、中小企業庁の「中小企業の定義に関するよくある質問」と、申請する補助金の公募要領の「補助対象者」の章を確認し、それでも判断できなければ各事務局に問い合わせます。中小企業に当たらない中堅企業向けには、別の補助金が用意されている場合もあります。たとえば中小企業成長加速化補助金の資料では、中堅・中小企業(常時使用する従業員2,000人以下の会社等)を対象とする大規模成長投資補助金が別事業として紹介されています。

定義は法改正や制度の見直しで変わることがあります。申請のたびに最新の公募要領を確認してください。

タンソーマンGXでは、対象要件の確認を含めた補助金の制度選定から申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。

参考資料

本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。

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