公開 2026.10.21

中小企業経営強化税制 補助金と併せて検討したい税制優遇

この記事では、設備投資の際に補助金と併せて検討したい「中小企業経営強化税制」の仕組みを解説します。即時償却と税額控除の内容、対象となる企業・設備・業種、補助金と組み合わせるときの注意点を、国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)に沿って整理します。

中小企業経営強化税制とは

中小企業経営強化税制は、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けた中小企業者等が、計画に記載した新品の設備を取得して指定事業に使った場合に、法人税の優遇を受けられる制度です。根拠は租税特別措置法第42条の12の4です。

「経営力向上計画」とは、人材育成や財務内容の分析、ITの活用、生産性向上のための設備投資など、経営力を高めるための実施計画です。事業分野を所管する大臣(窓口は経済産業局や地方厚生局など)が認定します。

国税庁のタックスアンサーでは、対象となる期間(指定期間)は平成29年4月1日から令和9年3月31日までとされています。この期間内に設備を取得し、事業に使い始める必要があります。期限後の扱いは今後の税制改正で決まるため、最新の情報を確認してください。

即時償却か税額控除かを選べる

この税制では、設備を事業に使い始めた事業年度に、次のどちらかを選んで適用できます。

2つの優遇措置の違い

特別償却(即時償却)

  • 取得価額の全額をその年度に償却できる
  • 税負担を後ろへ繰り延べる効果
  • 利益が大きい年度に向く

税額控除

  • 取得価額の7%を法人税額から控除
  • 資本金3,000万円以下の法人などは10%
  • 法人税額の20%が上限

国税庁タックスアンサーNo.5434より作成。建物を含む規模拡大設備では率が異なる。

即時償却は、税金そのものを減らすのではなく、費用計上を前倒しする仕組みです。税額控除は納める税額を直接減らします。控除しきれなかった金額は1年間繰り越せます。所有権移転外リースで取得した設備は、特別償却は使えませんが税額控除は使えます。

税額控除の上限は、中小企業投資促進税制の税額控除と合わせて、その事業年度の調整前法人税額の20%です。同じ資産に特別償却と税額控除を重ねて使うことはできません。

建物を含む規模拡大の設備

建物の新設・増設を伴い、経営の規模拡大に著しく資する設備(特定機械装置等)も対象です。この場合、機械装置・器具備品・ソフトウェアは即時償却または7%(10%)の税額控除、建物とその附属設備は取得価額の15%の特別償却または1%の税額控除となり、給与支給額の増加目標を達成した場合の建物等はそれぞれ25%・2%に引き上げられます。投資計画の確認や、給与増加の報告などの追加手続きが必要です。

対象となる企業・設備・業種

対象となるのは、青色申告をしている中小企業者等(基本的に資本金1億円以下の法人など)で、経営力向上計画の認定を受けたものです。中小企業者の範囲は租税特別措置法で定められており、補助金の「中小企業者」とは基準が異なります(補助金での判定は中小企業の定義を参照)。

対象設備は、生産・販売・サービス提供など収益を得る活動に直接使う設備で、次の金額以上のものです。

対象設備の最低取得価額
  • 建物・その附属設備(規模拡大設備)1,000万円以上
  • 機械装置160万円以上
  • ソフトウェア70万円以上
  • 建物附属設備60万円以上
  • 工具・器具備品40万円以上

国税庁タックスアンサーNo.5434。工具・器具備品は令和8年3月31日以前の取得分は30万円以上。

本店の建物や事務用の器具備品、乗用自動車、福利厚生施設は対象外です。空調や照明など建物附属設備の省エネ更新も、収益を得る活動に直接使う設備として計画に記載できれば検討の対象になります。

設備を使う事業は「指定事業」に限られます。製造業、建設業、卸売業、小売業、倉庫業、ガス業、宿泊業、医療・福祉など幅広い業種が含まれますが、電気業は指定事業の一覧に含まれていません。売電を目的とする発電設備や蓄電設備を事業として運営するケースでは、この税制を前提にした計画にしないよう注意が必要です。娯楽業(映画業を除く)も対象外です。

補助金と組み合わせるときの注意点

設備投資に補助金を使う場合、補助金で取得した資産には「圧縮記帳」(補助金の額だけ取得価額を減らし、補助金収入への課税を先送りする処理)を使えることがあります。たとえば中小企業成長加速化補助金の事務局は、同補助金が法人税法第42条の国庫補助金等に当たり、要件を満たせば圧縮記帳を適用できると案内しています。

ただし国税庁は、中小企業経営強化税制の特別償却・税額控除を受ける資産について、圧縮記帳や他の特別償却・税額控除との重複適用は認めないとしています。同じ設備で圧縮記帳を使うか、この税制を使うかを選ぶことになるため、投資計画の段階で顧問税理士と試算しておくことが大切です。補助金によって取得価額の扱いが変わる点も含めて確認してください。

手続きの流れ

経営強化税制を使うまでの流れ
  1. 計画を作る事業分野別指針に沿って経営力向上計画を策定
  2. 認定を受ける事業を所管する大臣(経済産業局等)に申請
  3. 設備を取得計画に記載した新品の設備を取得
  4. 事業に使う国内の指定事業の用に供する
  5. 確定申告認定申請書と認定書の写し、明細書を添付

経営力向上計画の申請書には、財務状況の分析ツール「ローカルベンチマーク」を使った記載が求められます。設備の要件を示す証明書類や、計画認定と設備取得の順序などの細かな手続きは、中小企業庁の「税制措置・金融支援活用の手引き」で最新の内容を確認してください。

タンソーマンGXでは、省エネ・再エネ設備の導入に使える補助金の選定から申請書類の作成、実績報告までを支援しています。税制の適用判断は顧問税理士と連携して進めることをお勧めします。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。

参考資料

本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。

使える補助金の診断は無料です
設備の種類・設置予定地・おおよその規模をお知らせいただければ、
使える制度と補助額の目安をご案内します。制度の選定から申請書類の作成、実績報告まで一式で支援します。
脱炭素の最初の一歩を、一緒に。 タンソーマン タンソーマンを知る ↗