公開 2026.10.22

環境省SHIFT事業とは 工場・事業場の脱炭素化を計画づくりから支援する補助金

この記事では、環境省の「脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業(SHIFT事業)」の仕組みを、令和8年度の公募要領に沿って解説します。SHIFT事業は設備の補助だけでなく、運転データの計測やCO2削減計画づくりも支援の対象にしている点が特徴です。2つの事業の違い、申請の要件、採択後の流れと報告義務まで整理します。

SHIFT事業は「計画」と「改修」の2つで構成される

SHIFT事業は、工場や事業場(工場以外の事業所)のCO2排出量を大きく減らす取り組みを支援する環境省の補助事業です。執行団体は一般社団法人温室効果ガス審査協会(GAJ)です。令和8年度は次の2つの事業で構成されています。

  • 省CO2型システムへの改修支援事業(以下、改修支援):電化・燃料転換・熱回収などにより、CO2排出量を大幅に減らす設備改修を補助します。補助率は1/3、上限は1億円または5億円です。
  • DX型CO2削減対策実行支援事業(以下、DX型):エネルギー使用量を計測するDXシステムを使い、運用改善や効果的な改修設計を行う取り組みを補助します。補助率は3/4、上限は200万円です。

いきなり大規模な改修に進むのではなく、まず計測と計画で削減の余地を見える化し、その結果を改修につなげる。SHIFT事業はこの順番を制度として用意している点が、他の省エネ補助金との大きな違いです。

SHIFT事業の2つの支援(令和8年度)

DX型CO2削減対策実行支援

  • 計測・運用改善・改修設計を支援
  • 補助率3/4、上限200万円
  • 中小企業者等が対象
  • 年間CO2排出量50t以上3,000t未満の拠点
  • 登録された支援機関の支援が必須

省CO2型システムへの改修支援

  • 電化・燃料転換・熱回収などの設備改修
  • 補助率1/3、上限1億円または5億円
  • 大企業も申請可能
  • 基準年度排出量50t-CO2以上の拠点
  • CO2削減計画書の提出が必須

温室効果ガス審査協会の令和8年度公募要領(改修支援 三次公募、DX型 二次公募)より作成。

計画づくりを支えるDX型と支援機関

DX型は、少なくとも1時間ごとにエネルギー使用量などを記録できる「DXシステム」を導入または活用し、そのデータをもとにCO2削減対策を検討する事業です。申請には、協会のSHIFT事業ウェブサイトに掲載された「支援機関」の支援を受けることが条件になっています。

  • 運用改善などの対策を3つ以上検討し、複数を実施計画に位置付けること
  • 実施計画に位置付けたDX型の対策のうち、1つ以上を補助事業期間内に実施すること
  • 申請は1事業者あたり最大5つの工場・事業場まで
  • DXシステムをレンタル・リースで使う場合は、事業期間中の費用を補助対象経費に計上できる

改修支援の側でも、計画づくりは評価されます。過年度のSHIFT事業でCO2削減計画を作った場合や、令和8年度の支援機関リストに載った支援機関の支援を受けてCO2削減計画を策定した場合は、審査で加点の対象になります。なお、DX型と同じ支援範囲(設備機器)で、同じ年度の改修支援に併願することはできません。

改修支援の主な要件

改修支援の対象は、既存の設備やシステムを、エネルギー起源CO2の排出が少ないものに置き換える改修です。主な要件は次のとおりです。

  • 削減率:工場・事業場単位で年間CO2排出量を15%以上、または主要なシステム系統(空調システム、蒸気システムなど事業者が主要と考える系統)で30%以上削減すること
  • 投資回収年数:総事業費を年間のランニングコスト削減額で割った値が3年以上であること
  • 費用対効果:補助対象経費をCO2削減量と法定耐用年数の積で割った値が10万円/t-CO2以下であること
  • 単純な高効率化は対象外:蒸気システム、空調システム、給湯システム、工業炉、コージェネレーション(CGS)は、電化や燃料転換を伴わない単純な高効率化は補助対象になりません

CO2削減量の算定には、環境省の「設備更新等によるCO2削減効果の算定ツール」を使います。基準年度の排出量は、直近3年間の平均値か令和7年度の値のいずれかを用います。大企業は、基準年度排出量について第三者検証を受ける必要があり、その費用は自己負担です。

対象外となる設備も細かく定められています。太陽光発電システム、蓄電池、建物、車両、中古設備、予備機、非常用設備などは補助対象になりません。再生可能エネルギーの発電設備や熱供給設備は、太陽光を除き、補助対象のエネルギー使用設備と一緒に導入し、100%自家消費する場合に限って対象になります。

上限額は、年間のCO2排出削減量が4,000t-CO2未満なら1億円、4,000t-CO2以上なら5億円です。複数年度事業の場合も、総額で同じ上限が適用されます。

補助上限額の比較(令和8年度)
  • 改修支援(削減量4,000t以上)5億円
  • 改修支援(削減量4,000t未満)1億円
  • DX型200万円

補助率は改修支援が1/3以内、DX型が3/4。各公募要領より作成。

採択後の流れと3年間の報告義務

令和8年度の改修支援(三次公募)の場合、採択から交付決定までは標準で約30日かかります。工事業者への発注・契約は、交付決定日以降でなければなりません。

改修支援の流れ(令和8年度 三次公募)
  1. 公募申請CO2排出量計算書と削減計画書を提出
  2. 採択・交付決定採択者は協会ウェブサイトで公表
  3. 工事と月次報告工程表を提出し、毎月5日までに報告
  4. 事業完了令和9年2月13日まで
  5. 完了実績報告完了後30日以内か2月19日の早い日
  6. 効果の報告完了の翌々年度から3年間

事業が終わった後も、改修が完了した年度の翌々年度から3年間、毎年度のCO2削減効果を事業報告書として提出する義務があります。工場・事業場全体の排出量は、国の「省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム(EEGS)」に登録し、その写しも提出します。削減量が目標に届かない場合は、改善策を求められることがあります。CO2の算定方法についてはCO2排出量の算定と補助金で解説しています。

令和8年度の公募状況と次回への準備

令和8年度の改修支援は、6月に一次公募、9月11日から三次公募が始まり、三次公募は10月1日と10月15日正午の2回の締切が設けられました。DX型の二次公募も10月15日正午に締め切られています。協会のウェブサイトでは、問い合わせの受付を10月8日で終了したと案内されており、2026年10月22日時点で次の公募は公表されていません。

SHIFT事業の要件や上限は年度ごとに見直されています。次の公募に備えるなら、次の準備を先に進めておくと申請がスムーズです。

  • 直近3年間のエネルギー使用量と、拠点全体のCO2排出量を整理する
  • 蒸気・空調・給湯など、主要なシステム系統ごとの使用量を把握する
  • 電化・燃料転換・熱回収のどれで15%または30%の削減が見込めるかを試算する
  • SBTやエコアクション21など、審査で考慮される環境の取り組みを確認する

ボイラーの更新を中心に、SIIの省エネ・非化石転換補助金と比べて検討したい場合は、ボイラー更新・燃料転換に使える補助金もあわせてご覧ください。

タンソーマンGXでは、SHIFT事業をはじめとする省エネ・脱炭素の補助金について、CO2削減量の試算から申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。

参考資料

本記事の内容は2026年10月22日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。

使える補助金の診断は無料です
設備の種類・設置予定地・おおよその規模をお知らせいただければ、
使える制度と補助額の目安をご案内します。制度の選定から申請書類の作成、実績報告まで一式で支援します。
脱炭素の最初の一歩を、一緒に。 タンソーマン タンソーマンを知る ↗