
この記事では、東京都の「充電設備普及促進事業(事業用)」について、令和8年度の申請期間、事務所・工場・商業施設に電気自動車(EV)の充電器を置くときの助成内容、国の補助金と併用する場合の手順を整理します。社用車のEV化に合わせて充電器を設置したい事業者や、来客向けに充電サービスを提供したい事業者が、どの区分で申請するかを判断できるように解説します。
制度の概要(令和8年度)
東京都は、EVとプラグインハイブリッド車(PHEV)の普及に向けて、都内の充電設備の導入と運営を支援しています。窓口は公益財団法人東京都環境公社(クール・ネット東京)です。充電設備に関する助成は、設置する場所や用途によって複数の事業に分かれており、事務所・工場・商業施設などに設置する場合は「事業用」が対象です。
- 令和8年度申請期間:令和8年6月26日から令和9年3月31日17時まで
- 申請額が予算額に到達した場合は、その時点で受付終了
- 助成対象者:助成対象設備の所有者
- 申請方法:原則として電子申請
マンションなど居住者用の充電設備は「居住者用」、戸建住宅は「戸建住宅向け」と、別の事業になります。
非公共用と公共用の違い
事業用の申請は、充電器を誰が使うかで「非公共用」と「公共用」に分かれます。
非公共用
- 従業員が使う社有車・通勤車などの特定の利用に限る
- 対象施設の敷地内に設置
- 運営費の助成は対象外
公共用
- 一般に開放する
- 対象施設の敷地内で、公道に面し自由に出入りできる場所に設置
- 運営費は別事業(充電設備運営支援事業)で申請できる場合あり
どちらの場合も、充電設備は新品であること、国の「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てん設備等導入促進補助金」で交付対象として承認された機種であること、建物の居住者のために設置するものでないことが要件です。
助成の内容と上限額
設備購入費
- 超急速充電設備(出力90kW以上)・急速充電設備(出力10kW以上):全額(機種ごとの上限あり)。蓄電池付きの超急速・急速充電設備は上乗せがあり、上乗せ後の上限は2,000万円
- 普通充電設備・V2H充放電設備・充電用コンセントスタンド:半額(機種ごとの上限あり)
設置工事費の上限
- 超急速充電設備:8万円/kW
- 急速充電設備:6.2万円/kW
- 普通充電設備など:1基目135万円、2基目以降68万円/基(機械式駐車場は1基目171万円、2基目以降86万円/基)
- 充電用コンセント:1基目95万円、2基目以降48万円/基
超急速・急速充電設備は、大規模な事業所に設置する場合に150万円、都と協定を結んで共同事業として公道に設置する場合に900万円が工事費の上限に加算されます。
付帯する経費
- 受変電設備:上限435万円(充電設備の合計出力が50kW以上の場合に限る)
- 遠隔制御用のエネルギーマネジメント設備:上限30万円
- 通信機能付き充電設備:工事費の上限に超急速・急速は10万円/基、その他は3万円/基を上乗せ
- 先行配管工事:7万円/区画(機械式駐車場は30万円/区画)
- 既設充電設備の撤去費、機械式駐車場のパレット更新費(140万円/パレット)
いずれの金額も消費税などの対象外経費を除いた額です。国の補助金を併用する場合は、その交付額を差し引いた額が上限になります。
申請の流れ 国の補助金を使うかで順番が変わる
事業用で特に注意したいのが、国の補助金との関係です。国と都の補助金を同時に申請することはできません。
- 国に申請国の補助金の交付決定
- 工事・支払設置工事と支払を完了
- 国の額確定確定通知書を受け取る
- 都に申請完了日の翌日から1年以内
- 都の交付審査を経て助成金を受領
国の補助金を使わない場合は、発注・着工前に都へ交付申請し、交付決定後に工事を始める。
国の補助金を使わない場合は「事前申請」となり、交付決定前に発注や工事を始めることはできません。国の補助金を使う場合は「事後申請」となり、国の額確定通知を受けてから、工事・支払完了日の翌日から1年以内に都へ申請します。事業完了日とは、工事完了日と経費の支払完了日のいずれか遅い日です。
令和8年度から必要になった書類
他事業で実際より高額な契約書による申請が判明したことを受け、令和8年度から次の書類の提出が必須になりました。
- 金融機関発行の証明書等(支払の事実を確認するもの)
- 助成事業に係る関係部署、担当者の連絡先一覧
- 個人情報活用に関する同意書(手続代行者が申請する場合)
現金の受け渡しによる取引は助成対象外です。また、令和8年9月30日には、設置後に配線などの盗難が発生しているとの注意喚起が出ています。助成対象設備は財産処分制限期間中、適切に管理する必要があります。
検討を始める前に整理しておきたいこと
- 台数と出力:社用車の台数、1日の走行距離、充電に使える時間帯から、普通充電で足りるか急速充電が必要かを決めます
- 受電容量:急速充電器を置くと契約電力や受変電設備の容量が不足することがあります。合計出力50kW以上なら受変電設備の改修費も助成対象になり得ます
- 将来の増設:今すぐ全台分を置かない場合でも、先行配管を助成対象として済ませておく方法があります
- 国の補助金の公募時期:併用するかどうかで申請の順番と時期が変わるため、工事の時期と合わせて決めます
まとめ
事業用の充電設備は、設備購入費と工事費の両方に手厚い助成がある一方、国の補助金を使うかどうかで申請の順番が変わり、書類も増えています。社用車の台数、将来の増設予定、受変電設備の改修の要否を先に整理しておくと、区分や上限額の判断がしやすくなります。車両側の助成はEV・FCV導入補助の解説をご覧ください。
タンソーマンGXでは、充電設備の補助金について、国と都の制度の組み合わせ方の検討から申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。
参考資料
- クール・ネット東京 充電設備普及促進事業(事業用)
- クール・ネット東京 充電設備普及促進事業(事業のご案内)
- 東京都「事業者向け充電設備の導入を補助 令和8年度充電設備普及促進事業」
- クール・ネット東京 助成金ガイド(2026年6月)
本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



