
この記事では、ものづくり補助金の現状と、後継となる「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の概要、申請から補助金を受け取るまでの流れを解説します。2026年10月時点で公表されている第1回公募要領をもとに、ものづくり補助金に相当する「革新的新製品・サービス枠」の要件や補助率が分かります。
ものづくり補助金はどうなったか
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業の革新的な製品・サービスの開発や生産プロセスの改善に必要な設備投資を支援してきた制度です。同補助金のポータルサイトでは、2026年10月時点で公募は終了しており、23次締切の採択結果が2026年8月7日に公表されています。新規の受付は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」で行うと案内されています。
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が実施し、全国中小企業団体中央会を幹事とするコンソーシアムが事務局を担っています。次の3つの枠で構成されています。
- 革新的新製品・サービス枠:革新的な新製品・新サービスの開発(ものづくり補助金に相当)
- 新事業進出枠:既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出(新事業進出補助金に相当)
- グローバル枠:海外市場開拓(輸出)に向けた国内の輸出体制の強化
新事業進出枠の考え方は新事業進出補助金の後継「新事業進出枠」とはで詳しく解説しています。
革新的新製品・サービス枠の対象
革新的新製品・サービス枠は、顧客に新たな価値を提供することを目的に、自社の技術力などを活かして新製品・新サービスを開発する取組を支援します。第1回公募要領では、次の点に注意が必要です。
- 既存の製品・サービスの生産プロセスを改善・向上する事業は対象外
- 機械装置やシステムを導入するだけで、新製品・新サービスの開発を伴わないものは対象外
- 同業の中小企業(地域性の高いものは同じ地域の同業他社)で既に相当程度普及している製品・サービスの開発は対象外
従来のものづくり補助金では生産プロセスの改善も対象になる場合がありましたが、この枠では新製品・新サービスの開発が前提です。単なる設備更新や省力化が目的であれば、中小企業省力化投資補助金などほかの制度が合う場合があります。
補助率・上限額と対象経費
第1回公募要領による革新的新製品・サービス枠の補助率は、中小企業者が1/2(地域別最低賃金引上げの特例で2/3)、小規模企業・小規模事業者と再生事業者が2/3です。補助下限額は100万円で、上限額は従業員数に応じて次のとおりです。
賃上げ特例の適用時はそれぞれ3,500万円、2,500万円、1,250万円、850万円。出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)1.3版。
補助対象経費は、機械装置・システム構築費(必須)、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費です。建物費は新事業進出枠とグローバル枠のみが対象で、革新的新製品・サービス枠では対象外です。補助事業実施期間は、交付決定日から10か月以内(採択発表日から12か月以内)とされています。
3つの枠に共通する基本要件
補助事業終了後3〜5年の事業計画で、次の要件を満たす必要があります。
- 付加価値額:年平均成長率4.0%以上。付加価値額は営業利益、人件費、減価償却費の合計です。
- 賃上げ:従業員1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上。目標値は交付申請までに従業員に表明し、未達の場合は未達成率に応じて補助金の返還を求められます。
- 事業場内最低賃金:毎年、地域別最低賃金より30円以上高いこと。未達の年は返還を求められます。
- ワークライフバランス等:一般事業主行動計画の公表と、子育て等に関する職場環境整備の取組を行うこと。
- 金融機関:金融機関から資金提供を受ける場合は、事業計画の確認書を提出すること。
また、事業計画は申請者自身が作成する必要があります。認定経営革新等支援機関などの外部支援者の助言を受けることはできますが、作成自体を申請者以外が行うことは認められていません。
申請から補助金受取りまでの流れ
- 応募申請電子申請。GビズIDプライムが必要
- 審査・採択書面審査、必要に応じ口頭審査
- 交付申請・交付決定経費を精査して交付額を決定
- 補助事業の実施交付決定後に発注・支払い
- 実績報告・確定検査交付額の確定後に請求・受取り
- 事業化状況報告完了後、5年間にわたり報告
申請準備のポイント
- 電子申請と様式:事業計画は事務局指定の「応募申請画面インポート用フォーマット」に入力して、電子申請システムにアップロードします。GビズIDプライムの取得には時間がかかるため早めに準備します(GビズIDプライムの取り方)。
- 書面審査の観点:補助対象事業としての適格性、経営戦略との整合性、事業の実現可能性、公的補助の必要性、政策面などが審査されます。基準値を上回る付加価値額・賃上げの目標は、高さと実現可能性に応じて評価されます。
- 口頭審査:一定の基準を満たした事業者の中から必要に応じてオンラインで行われ、予約は先着順です。対象になったのに受けなかった場合は不採択になります。
- 加点項目:パートナーシップ構築宣言、くるみん・えるぼし認定、健康経営優良法人、経営革新計画、事業継続力強化計画、DX認定などがあり、申請締切日時点で満たしている必要があります。
- 交付決定前の発注は対象外:交付決定日より前に契約・発注した経費は補助対象になりません。
第1回公募のスケジュールと今後
第1回公募は、令和8年(2026年)6月29日に公募開始、9月30日に申請受付開始、10月30日(金)18時が締切です。採択発表は令和9年1月頃の予定とされています。第2回以降の日程は、2026年10月21日時点で公表されていません。
公募要領は必要に応じて改訂されることがあり、第1回の中でも版が更新されています。補助率や要件は公募回ごとに変わる可能性があるため、申請前に必ず最新版の公募要領を確認してください。採択後の手続きについては実績報告と額の確定も参考になります。
まとめ
ものづくり補助金は23次締切で公募を終え、革新的な新製品・新サービスの開発は、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の革新的新製品・サービス枠で支援されるようになりました。生産プロセスの改善だけでは対象にならない点、賃上げや最低賃金の要件に返還条件がある点が、検討時の重要なポイントです。自社の計画が3つの枠のどれに当たるかを最初に整理しておくことをおすすめします。
タンソーマンGXでは、枠の選定から事業計画の整理、申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。
参考資料
本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



