
この記事では、IT導入補助金の後継である「デジタル化・AI導入補助金2026」の使い方を解説します。2026年10月9日付で公表された通常枠の公募要領をもとに、補助率と補助額、対象になるソフトウェアと経費、申請の要件と流れが分かります。
デジタル化・AI導入補助金とは
デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)は、中小企業・小規模事業者等が、生産性の向上に役立つITツール(ソフトウェアやサービス)を導入する費用の一部を補助する制度です。働き方改革、賃上げ、インボイス制度への対応などを後押しすることを目的としており、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)の事業として、TOPPAN株式会社が事務局を運営しています。
2026年版では、次の5つの枠が設けられています。
- 通常枠:業務効率化や売上向上のためのソフトウェア導入
- インボイス枠(インボイス対応類型):会計・受発注・決済ソフトと、PC・タブレット、レジなどのハードウェア
- インボイス枠(電子取引類型):取引先にもアカウントを発行できる受発注システム
- セキュリティ対策推進枠:サイバーセキュリティお助け隊サービスの利用料
- 複数者連携デジタル化・AI導入枠:商店街など複数の事業者が連携して行う導入
この記事では、利用が最も多い通常枠を中心に説明します。
通常枠の補助率と補助額
2026年10月9日付の通常枠の公募要領では、補助率と補助額は次のとおりです。
- 補助率:1/2以内。令和7年10月から令和8年9月までの間で、令和8年度改定後の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある場合は2/3以内
- 補助額:5万円〜150万円未満(業務プロセス1つ以上)、150万円〜450万円以下(業務プロセス4つ以上)
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)2026年10月9日版。
「業務プロセス」とは、ソフトウェアの機能によって労働生産性が上がる特定の業務のことで、顧客対応、決済、会計、生産管理など、公募要領の一覧で区分されています。業種・業務に限定されない「汎用プロセス」だけを持つツールは単独では申請できず、業務プロセスと組み合わせる必要があります。
事務局の案内によると、第7次公募回からは、令和8年度の最低賃金改定に合わせた補助率引上げ要件の変更と、1人当たり給与支給総額に関する申請要件の追加が行われています。上記はその内容を反映した公募要領に基づいています。
対象になるITツールと経費
補助の対象は、事務局に登録された「IT導入支援事業者」が提供し、あらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用です。自社で自由に選んだ製品を後から申請することはできません。通常枠の補助対象経費は次のとおりです。
- ソフトウェア(必須)購入費。月額・年額のクラウド利用料は最大2年分
- オプション機能拡張、データ連携ツール、セキュリティ。最大1年分
- 役務導入・活用コンサルティング、導入設定・研修、保守サポート。合計200万円まで
通常枠ではPC・タブレット・レジなどのハードウェアは対象外(インボイス対応類型では対象)。出典:同公募要領。
ソフトウェアにはAIを搭載したものも含まれ、AIの搭載有無はITツール検索で確認できます。また、導入するITツールに比べて役務費用の割合が著しく高い申請は認められません。
申請の要件
通常枠の主な申請要件は次のとおりです。
- 日本国内で事業を営む中小企業・小規模事業者等であること
- GビズIDプライムを取得していること(GビズIDプライムの取り方)
- IPAの「SECURITY ACTION」の一つ星または二つ星を宣言していること
- 事業場内最低賃金が地域別最低賃金以上であること
- 労働生産性を1年後に3%以上、3年間の年平均成長率で3%以上向上させる計画を立てること(過去のIT導入補助金で通常枠等の交付決定を受けた事業者は4%以上)
賃上げに関する要件
補助額150万円以上を申請する場合は、1人当たり給与支給総額(非常勤を含む全従業員)を1年後に3%以上、事業計画期間の年平均成長率で3%以上引き上げ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上にする計画を立て、従業員に表明することが必須です。IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者は、給与支給総額の目標が3.5%以上となり、150万円未満の申請でも賃上げ計画が必須になります。
これらの賃上げ要件が達成できなかった場合は、補助金の全部または一部の返還を求められます。賃上げ要件の考え方は賃上げ要件の注意点でも解説しています。
申請の流れ
この補助金は、申請者とIT導入支援事業者が「共同事業体」となって申請する仕組みです。
- 事前準備GビズIDプライム、SECURITY ACTION
- ツール選定IT導入支援事業者と商談・見積
- 交付申請招待された申請マイページから提出
- 交付決定後に導入契約・導入・支払い
- 実績報告・交付額の確定後に補助金を受取り
- 効果報告生産性や賃上げの状況を報告
交付決定前に契約・支払いをしたITツールは補助対象になりません。また、申請マイページのIDやパスワードはIT導入支援事業者を含む第三者に渡してはならないとされています。申請内容は申請者自身が理解し、責任を持って提出する必要があります。
スケジュールと活用のポイント
2026年版の交付申請は2026年3月30日から受け付けられており、締切は回ごとに設定されています。事業スケジュールのページでは、通常枠の6次締切分を2026年10月30日(金)17時締切、交付決定日を12月10日(予定)、事業実施期間と実績報告の期限を2027年5月31日(予定)としています。7次締切分以降の日程は、公式サイトの事業スケジュールで確認してください。
活用のポイントは、補助金ありきでツールを選ばないことです。まず自社の業務のどこに手間がかかっているかを整理し、その業務プロセスに合うツールを、複数のIT導入支援事業者に相談して比較することをおすすめします。エネルギー管理や見える化のツールを検討している場合は、システム開発に補助金を使うもあわせてご覧ください。
まとめ
デジタル化・AI導入補助金の通常枠は、登録済みのソフトウェアを、IT導入支援事業者と一緒に申請して導入する制度です。補助率は原則1/2、補助額は業務プロセスの数に応じて最大450万円で、150万円以上の申請では賃上げ計画が必須になります。第7次公募回から要件が変わっているため、申請前に最新の公募要領を必ず確認してください。
タンソーマンGXでは、デジタル化や省エネのためのツール導入に使える制度の選定から、申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。
参考資料
- デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト
- デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)2026年10月9日版(PDF)
- 同 第7次公募回以降における制度変更のお知らせ
- 同 事業スケジュール
本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



