公開 2026.10.21

東京都の補助金「都外設置」枠 他県の拠点にも使える条件

この記事では、東京都の「地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業」の「都外設置」枠について、令和8年度に東京都外の拠点で使える条件、助成率と上限額、そして都外設置ならではの「環境価値の証書化」の義務を解説します。埼玉・神奈川・千葉などに工場や倉庫をお持ちの事業者が、申請できるかどうかを判断する材料としてお読みください。

都外設置枠とは

東京都の補助金は都内の設備が対象という印象がありますが、本事業には、東京都外の拠点に再生可能エネルギー(再エネ)発電設備を設置する事業者を支援する「都外設置」の区分があります。実施するのは公益財団法人東京都環境公社(クール・ネット東京)です。

  • 事業実施年度:令和6年度から令和10年度まで(助成金の申請は令和8年度まで)
  • 令和8年度の出えん額:68.1億円(都内設置などと共通)
  • 申請受付期間:令和8年4月1日から令和9年3月31日まで。予算額に達し次第終了します
  • 対象事業者:民間企業、学校法人、公益財団法人、医療法人、社会福祉法人などの民間事業者

他県の拠点で使うための3つの条件

1. 設置場所が東京電力エリア内であること

対象は東京電力エリア内の都外です。具体的には、神奈川県、埼玉県、千葉県、栃木県、群馬県、茨城県、山梨県、静岡県(富士川以東)が該当します。発電した電気は、その設備を設置した施設で使う必要があります(住居部分を除く)。

2. 都内に事務所または事業所があること

本社が都内である必要はありませんが、都内に事務所または事業所を持っていることが条件です。後述する環境価値を、その都内の施設で使うためです。

3. 発電量が設置先の消費量の範囲内であること

都内設置と同じく、FIT・FIPの認定を受けない自家消費型の設備であること、年間発電量が設置した施設の年間消費電力量の範囲内であることが求められます。売電を主目的とした設備は対象外です。原則として離れた場所で発電するオフサイト型も対象外ですが、同じ県内で連続した同一所有者の土地の一部に設置し、自営線でその土地の施設へ送る場合は対象になります。

なお、蓄電池だけを都外に設置する事業は対象になりません。蓄電池は再エネ発電設備と同時に導入する場合に限られます。

都外設置ならではの「環境価値」の義務

都外設置で最も特徴的なのが、環境価値の扱いです。環境価値とは、再エネで発電したことによるCO2削減の価値を、電気とは切り離して取引できるようにしたものです。都外設置では、助成率に応じた量の環境価値を証書にして、都内の自社施設で使う必要があります。

都外設置の電気と環境価値の流れ
都外の拠点発電して自家消費
環境価値証書化
再エネ電力証書原則グリーン電力証書
自ら利用実績を報告
都内の事業所環境価値を使う

証書化する量は「年間発電量×助成率(2/3または1/2)」以上。

手引きでは、都内の特定の施設の年間電力消費量が「再エネ発電設備の年間発電量×助成率」以上であることを求めています。たとえば中小企業等で助成率が2/3の場合、年間発電量の3分の2以上を証書化し、その量を都内施設で使い切れる必要があります。そのため交付申請時には、都内施設の直近1年分の電気使用量が分かる電力会社の書類を提出します。

実績報告の段階では、証書の発行に必要な手続きが済んでいることを示す書類(発電設備の認定を受けたことが分かる資料)を出します。その後も処分制限期間中は、求めに応じて証書の写しや最終所有者・使用用途の分かる資料で利用実績を報告します。利用が確認できない場合は助成金の返還を求められます。証書の発行にかかる費用は助成対象外で、公社は証書化の手続き方法を案内していないため、発行事業者は自社で探す必要があります。

助成率と上限額(令和8年度)

都外設置の助成率

中小企業等

  • 再エネ発電設備:2/3以内
  • 蓄電池(同時設置):3/4以内

その他の民間事業者

  • 再エネ発電設備:1/2以内
  • 蓄電池(同時設置):2/3以内

上限は、発電容量×1時間以上かつ5時間以下の蓄電池を同時設置する場合2億円、それ以外は1億円。

都内設置は一律で上限2億円ですが、都外設置は蓄電池の有無で上限が変わります。太陽光の単価上限は都内設置と同じで、中小企業等が20万円/kW、その他が15万円/kWです。同時設置の蓄電池は中小企業等が15万円/kWh、その他が13万円/kWhで、それぞれ「対象経費×助成率」と比べて小さい額が助成額になります。

申請の流れと注意点

手続きの流れは都内設置と共通で、交付申請、審査、交付決定を経てから工事の契約・着工に進みます。交付決定前の契約・着工は認められません。施工業者は2社以上の見積で選定します。実績報告の締切は、令和8年度申請の太陽光・蓄電池で令和9年11月30日17時必着です。

都外設置では書類が二重になる点に注意が必要です。設置先の拠点については直近3か月分の電力会社の書類と残り9か月分の使用量、都内の環境価値の利用先については直近1年分の書類を用意します。発電量はメーカーや施工会社のソフトによるシミュレーションで示します。条件は年度ごとに見直されることがあるため、申請前に最新の手引きを確認してください。

まとめ

都外設置枠は、都内に事業所を持つ企業が、関東近県などの工場・倉庫で自家消費型の太陽光を導入するときに検討できる制度です。一方で、環境価値を証書にして都内で使い続ける義務があるため、都内施設の電気使用量や証書の発行事業者まで含めて計画する必要があります。都内の拠点だけで検討する場合は都内設置の要件もあわせてご確認ください。

タンソーマンGXでは、都外設置枠の適用可否の確認から、発電量と消費量の整理、申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。

参考資料

本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。

使える補助金の診断は無料です
設備の種類・設置予定地・おおよその規模をお知らせいただければ、
使える制度と補助額の目安をご案内します。制度の選定から申請書類の作成、実績報告まで一式で支援します。
脱炭素の最初の一歩を、一緒に。 タンソーマン タンソーマンを知る ↗