
この記事では、物流倉庫で使える補助金を、屋根の太陽光発電、EVトラックと充電設備、冷凍冷蔵倉庫の設備、空調・照明の更新に分けて整理します。令和8年度予算と令和7年度補正予算の制度の要件と、2026年10月時点の公募状況が分かります。
倉庫の設備と使える制度の全体像
物流倉庫は屋根の面積が大きく、トラックの出入りが多く、冷凍冷蔵倉庫では冷凍機が常に稼働します。投資の対象ごとに、使う制度が分かれます。
- 屋根の太陽光・蓄電池環境省のストレージパリティ事業、自治体の制度
- EVトラック・充電設備商用車等の電動化促進事業(環境省・経済産業省・国土交通省)
- 冷凍冷蔵設備環境省の自然冷媒機器の導入支援
- 空調・照明SIIの省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)
- 省人化と再エネの一体導入環境省のサステナブル倉庫モデル促進事業
屋根の太陽光発電と蓄電池
倉庫の屋根に自家消費型の太陽光発電を置く場合、環境省の「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」が代表的な制度です。令和8年度の公募要領の主な要件は次のとおりです。
- 太陽光発電設備と蓄電池(定置用または車載型)を同時に導入すること
- 自家消費率が50%以上であること
- 系統に逆潮流させないこと(余剰売電の禁止。原則としてRPR=逆電力継電器を設置)
- FIT・FIPの認定を取得しないこと
補助金基準額は、太陽光が自己所有などで4万円/kW、オンサイトPPA・リースで5万円/kW(上限2,000万円)、業務・産業用の定置用蓄電池が3.9万円/kWh(蓄電池等の合計で上限4,000万円)です。令和8年度は7月9日〜7月31日と8月27日〜10月2日の2回公募され、いずれも終了しています。
倉庫は屋根が広い一方、照明や空調の負荷が小さい常温倉庫では、屋根いっぱいに載せると自家消費率50%を満たせないことがあります。発電量を消費量に合わせて設計することが前提です(太陽光発電の自家消費率と補助金の要件)。
自治体の制度も確認します。東京都の「地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業」は令和8年度、中小企業等の再エネ発電設備の助成率を3分の2以内、同時に設置する蓄電池を4分の3以内とし、都外(東京電力管内)に設置する枠も設けています。
EVトラックと充電設備
トラックの電動化には、令和7年度補正予算の「商用車等の電動化促進事業」があります。環境省・経済産業省・国土交通省が連携する事業で、トラックの窓口は一般財団法人環境優良車普及機構です。
- 受付期間:令和8年4月24日〜令和9年1月15日
- 主な対象者:貨物自動車運送事業者、車両総重量2.5トン超の商用車を業務で使う自家用利用者など。国の目標に準じた非化石エネルギー自動車の導入計画を設定していることが条件
- 補助額:機構のホームページで公表される車両ごとの基準額が上限
- 充電設備:トラックと一体的に導入するものに限り対象。導入車両台数が充電設備の口数以上であること
予算の残額が2割程度に達した場合は機構のホームページで公表され、公表日から30日後までの申請を対象に審査するとされています。詳しくはEVトラック・商用車の補助金をご覧ください。
冷凍冷蔵倉庫の設備
冷凍冷蔵倉庫の冷凍機を自然冷媒の機器に更新する場合は、環境省の「コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業」が対象になります。執行団体は日本冷媒・環境保全機構です。令和8年度の公募要領では、冷凍冷蔵倉庫を農畜水産物等の生鮮品や加工品、それらの凍結品などを常時低温域で保管する倉庫と定め、自ら物品等を保管する倉庫業などのほかに、物流不動産の開発事業者も対象としています。対象範囲は、専ら物品の保管、荷捌き及び流通加工に使う場所の自然冷媒機器で、計画に保管の場所が含まれない場合は対象外です。自然冷媒とは、CO2やアンモニアなど、フロン類ではない温室効果の小さい冷媒のことです。
補助率は原則1/3以下(先進的な中小企業に当たり、審査で上位20%以内の事業者は1/2以下)、補助金の上限は1事業者あたり5億円です。申請は原則としてエネルギー管理を一体で行う事業所単位で行い、応募時に機器の設置場所が確定している必要があります。令和8年度は春公募(4月24日〜5月25日)と秋公募(9月14日〜10月13日、複数年度事業のみ)が行われ、いずれも締め切られています(業務用冷凍冷蔵設備の更新に使える補助金)。
省人化設備と再エネを一体で導入する
環境省の「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」(令和7年度補正予算・令和8年度予算)には、倉庫業を対象とする「サステナブル倉庫モデル促進事業」が含まれています。環境省の解説資料では、新築と既存改修の両方が対象とされています。令和8年度の公募期間は6月22日から7月17日までで、すでに締め切られています。執行団体は公益財団法人北海道環境財団です。補助率や対象設備の詳細は、次回の公募要領で確認してください。
空調・照明の更新
事務所棟や荷捌き場の空調、倉庫内の照明の更新には、SIIの省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)が使えます。指定設備には高効率空調、制御機能付きLED照明器具、冷凍冷蔵設備などがあり、従来枠の補助率は1/3以内、上限1億円、下限30万円です。補助対象は設備費のみです。令和7年度補正予算分の4次公募は2026年10月5日から10月30日17時までです(設備単位型の対象設備と補助率)。
進め方の要点
- 屋根の荷重や防水の状態を先に確認し、太陽光を載せられるかを判断する
- EVトラックは車両の更新時期と充電設備の工事時期を合わせて計画する
- 賃借倉庫の場合は、設備の所有者と使用者が異なる場合の扱いを要領で確認し、建物所有者の承諾を得る
- 制度ごとに公募時期が異なるため、年間の予定表を作る
制度の条件は年度ごとに変わります。申請前に最新の公募要領を確認してください。
タンソーマンGXでは、倉庫の屋根太陽光や設備更新に使える制度の選定から、申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。
参考資料
- 令和8年度 ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業 公募要領|環境イノベーション情報機構
- ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業(二次公募)の開始について|環境省
- 令和7年度補正予算 商用車等の電動化促進事業|環境省
- 令和7年度補正予算 商用車等の電動化促進事業(トラック)|環境優良車普及機構
- 令和7年度補正予算 商用車等の電動化促進事業(トラック)公募要領|環境優良車普及機構
- コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業|日本冷媒・環境保全機構
- 令和7年度補正予算・令和8年度予算「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」の公募開始について|環境省
- 令和8年度建築物の脱炭素化に向けた関連補助事業の解説(2026年2月12日)|環境省
- 令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)公募要領(4次公募)|環境共創イニシアチブ
- 「地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業」令和8年度申請受付開始(2026年3月30日)|東京都
本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



