
この記事では、飲食店が業務用エアコン、給湯器、冷凍冷蔵庫、照明などを更新するときに使える補助金を整理します。省エネを目的とするSIIの設備単位型と、省力化を目的とする中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)の違い、建物ごとの改修の支援、テナント店舗での注意点が分かります。
飲食店の設備と制度の選び方
飲食店では、客席の空調、厨房の給湯や冷凍冷蔵、照明が長時間使われます。補助金は目的によって制度が分かれるため、まず「何のための更新か」を整理します。
省エネのための更新
- 空調・給湯器・冷凍冷蔵・照明
- SIIの設備単位型
- 省エネ量の要件あり
人手不足を補う更新
- 登録された省力化製品
- 省力化投資補助金(カタログ注文型)
- 業種と製品の対応が要件
建物ごとの改修
- 断熱・空調・照明・給湯をまとめて
- 脱炭素ビルリノベ事業
- 既存の業務用建物
省エネのための更新:SIIの設備単位型
経済産業省の省エネ・非化石転換補助金(SIIが執行)の設備単位型は、SIIが基準を定めて公表した「指定設備」への更新が対象です。指定設備の区分には、高効率空調(業務用エアコン等)、業務用給湯器、冷凍冷蔵設備、制御機能付きLED照明器具などが含まれます。
- 従来枠の補助率は1/3以内、補助金の上限は1億円、下限は30万円
- 補助対象は設備費のみ。設置に伴う配線・配管、工事費は対象外
- 省エネ率10%以上、省エネ量1kl以上、経費あたり省エネ量1kl/千万円以上のいずれかを満たすこと
- 見積は原則3者以上から取り、最低価格が補助対象経費の上限になる
補助金の下限が30万円のため、補助率1/3の場合は設備費がおおむね90万円以上の事業でないと対象になりません。小規模な店舗では、空調と給湯器、冷凍冷蔵庫などをまとめて計画すると、金額と省エネ要件の両方を満たしやすくなります。見積を取る際は、検討している機器がSIIの指定設備として公表されている型番かどうかを販売店に確認しておくと、手戻りを防げます。
令和7年度補正予算分の4次公募は2026年10月5日から10月30日17時までです。省エネ法に基づく定期報告の義務がない事業者は、エネルギーの使用の合理化に関する中長期計画をSIIが指定するフォーマットで提出する必要があります。個人事業主は青色申告者に限られます(設備単位型の対象設備と補助率)。
スケジュールと手続きの注意
SIIの補助金では、契約・発注は必ず交付決定日以降に行う必要があります。一方、3者以上の見積依頼は、1次公募要領の公開日(2026年3月25日)以降に発行されたものであれば、交付決定前に実施したものも有効とされています。単年度事業は原則2027年1月31日までに設備の設置・検収・支払いを終え、事業完了日から30日以内または2027年2月5日のいずれか早い日までに実績報告を提出します。営業を止めずに工事できる日程を、施工会社と早めに調整しておきます。
人手不足を補う更新:省力化投資補助金(カタログ注文型)
中小企業基盤整備機構の「中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)」は、事務局が登録した省力化製品の中から選んで導入する制度です。省エネを目的とした制度ではありませんが、厨房機器の更新と時期が重なることがあるため、違いを押さえておきます。
- 補助率は1/2以下
- 補助上限は従業員5人以下で500万円、6〜20人で750万円、21人以上で1,000万円(大幅な賃上げを行う場合はそれぞれ750万円、1,000万円、1,500万円)
- 導入する製品に紐づけられた業種のいずれかが、申請者の業種と合致していること
- 申請の受付は令和9年3月末頃まで
省力化製品は事務局のカタログに登録されたものに限られ、販売事業者と共同で申請する仕組みです。導入を考えている機器がカタログに登録されているか、自店の業種が対象業種に含まれているかを、販売事業者を通じて先に確認します。
2026年8月末時点の交付決定の概要では、製品カテゴリ別でスチームコンベクションオーブンが372件(6.3%)、券売機が224件(3.8%)となっており、飲食店での活用例が多いことがうかがえます。一般型との違いは省力化投資補助金 カタログ型と一般型の違いで解説しています。
建物ごとの改修:脱炭素ビルリノベ事業
店舗を所有していて、断熱窓や断熱材の改修と空調・照明・給湯の更新をまとめて行う場合は、環境省の「業務用建築物の脱炭素改修加速化事業(脱炭素ビルリノベ2026事業)」が候補になります。飲食店は、一次エネルギー消費量を省エネ基準から30%程度以上削減する区分とされています。補助率は設備費・工事費・設計費の1/2〜1/3、下限は1事業あたり200万円で、公募は2026年11月30日までです。予算額に達した場合は期間内でも受付を終了します。
テナント店舗での注意点
ビルや商業施設に入居する飲食店では、空調がビル側の設備であることがあります。補助金の申請者は原則として設備を取得して所有する者になるため、更新したい設備の所有者が誰かを最初に確認します。
- ビル側の設備であれば、オーナーが申請者になる制度を使うことを検討する(ビル・不動産オーナーが使える補助金)
- 店舗が自ら設置した設備であれば、退去時の原状回復の取り決めも確認する
- リースで導入する場合は、リース会社との共同申請の条件を要領で確認する。リース会社が申請者になる場合も、設備を実際に使う店舗側の協力が必要になる
補助金で取得した設備には、一定期間の処分制限があります。移転や閉店の予定がある場合は、事前に処分制限の条件を確認してください。
自治体の制度も確認する
都道府県や市区町村が、中小企業の省エネ設備の導入を独自に支援していることがあります。自治体の制度は予算に達すると期間内でも終わることがあるため、店舗の所在地ごとに早めに確認します。探し方は自治体の補助金の探し方で解説しています。制度の条件は年度ごとに変わるため、最新の要領を必ず確認してください。
タンソーマンGXでは、飲食店の設備更新に使える制度の選定から、省エネ量の計算、申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。
参考資料
- 令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)公募要領(4次公募)|環境共創イニシアチブ
- 中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)公募要領|中小企業基盤整備機構
- カタログ注文型 交付決定概要(2026年8月末時点)|中小企業基盤整備機構
- 業務用建築物の脱炭素改修加速化事業(脱炭素ビルリノベ2026事業)公募情報|環境共創イニシアチブ
- 令和8年度予算「業務用建築物の脱炭素改修加速化事業(脱炭素ビルリノベ2026事業)」の公募開始について|環境省
本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



