公開 2026.10.22

データセンター・サーバールームの省エネと補助金

この記事では、データセンターと企業内のサーバールームの省エネ・脱炭素投資に使える国の補助金を整理します。環境省の「データセンターのゼロエミッション化・地域共生加速化事業」の3つの区分と要件、PUEという指標の意味、そしてデータセンターに当たらないサーバールームで使える制度が分かります。

まず「データセンター」に当たるかを確かめる

データセンター向けの補助金を検討するときに最初に確認したいのが、補助金上の定義です。環境省の事業の公募要領では、データセンターを「サーバーや通信機器等のICT機器を設置・運用することに特化した施設」としています。

そのため、事業として運営するデータセンターや、ICT機器の運用に特化した自社の計算機センターは対象を検討できますが、オフィスビルや工場の一室にあるサーバールームは、この定義に当たらない可能性が高いと考えられます。その場合は、空調や受変電設備の更新を一般の省エネ補助金で検討するのが現実的です。

施設の種類から制度を選ぶ手順
  1. 施設の性格を確認ICT機器の運用に特化した施設か
  2. 再エネを新たに導入できるか敷地内または自営線で供給
  3. 該当する場合環境省のデータセンター事業(新設・改修・コンテナ)
  4. 該当しない場合SIIの省エネ補助金で空調・変圧器を更新

環境省のデータセンター事業の3つの区分

令和8年度の「データセンターのゼロエミッション化・地域共生加速化事業」(執行団体:地域循環共生社会連携協会)は、データセンターの再エネ活用や省CO2化を支援する補助金です。区分ごとの主な要件は次のとおりです。

データセンター事業の3区分(令和8年度)

新設

  • 再エネ・蓄エネ設備と空調等の省CO2型設備を導入
  • 新規の再エネで年間使用電力量の10%以上、または年300MWh以上を供給
  • 補助率1/3、上限1事業10億円(3年間、各年度5億円)

改修

  • 既存データセンターが対象
  • 再エネ設備の新規導入は必須
  • PUE(設計値)1.28以下となる設備導入
  • 補助率1/3、上限1事業3億円(2年間、各年度2億円)

コンテナ

  • コンテナ・モジュール型データセンター
  • 新規の再エネで年間使用電力量の20%以上を供給
  • 補助率1/3、上限3億円(単年度)

地域循環共生社会連携協会「令和8年度 データセンターのゼロエミッション化・地域共生加速化事業」二次公募 公募要領より作成。

再エネ設備は、データセンターと同じ敷地内に置く「自家消費型」か、敷地外の設備から自営線で供給する「地産地消型」が基本です。新たに導入した再エネ設備や蓄電池から系統へ逆潮流しないことも要件です(新設区分)。改修区分では、空調・冷却設備、電力供給に必要な受変電設備なども補助対象設備に含まれます。

一方、非常用発電設備、再エネの変動調整以外の目的の蓄電池、サーバーなどのICT機器は、主な補助対象外設備として挙げられています。停電対策の設備やIT機器そのものは、この事業では補助されない点に注意が必要です。

PUEと審査で評価される点

PUE(Power Usage Effectiveness)は、データセンター全体のエネルギー使用量を、ICT機器のエネルギー使用量で割った値です。ICT機器以外の空調や電源の損失が少ないほど1.0に近づきます。改修区分ではPUE(設計値)1.28以下が要件で、審査ではPUEが低い事業が加点されます。

公募要領の審査項目には、PUEのほか、次のような点が挙げられています。

  • CO2削減量が大きいこと、CO2削減の費用対効果が高いこと
  • 使用電力量に占める再エネ由来電力の割合が高いこと(特に自家消費型・地産地消型)
  • 他の事業者への波及効果が見込まれるモデル性があること

このほか、直近の決算で債務超過でないこと、自己資本比率10%以上、流動比率100%以上などの財務要件があり、再エネ由来電力率やCO2削減量、事業者名などの公表に同意する必要があります。蓄電池やEMSでIP通信を使う製品は、情報処理推進機構(IPA)の「JC-STAR」で★1以上の適合ラベルを取得した製品を使うことも求められます。

区分ごとの補助上限額(1事業当たり)
  • 新設(3年間)10億円
  • 改修(2年間)3億円
  • コンテナ(単年度)3億円

補助率はいずれも1/3。年度ごとの上限は新設5億円、改修2億円。

令和8年度の公募状況

令和8年度は、一次公募が2026年6月4日から7月3日正午まで、二次公募が9月17日から10月16日正午までで、いずれも受付を終えています。補助事業の実施期間は交付決定日から令和9年2月28日までとされています。次の公募の有無は、2026年10月22日時点で公表されていません。

新設や改修は、再エネ設備の用地確保や受変電設備の工事に時間がかかります。公募期間はおよそ1か月のため、次年度に応募する場合は、再エネの供給方法、PUEの設計値、CO2削減量の計算を事前に固めておく必要があります。

サーバールームの空調・電源の更新

データセンターの定義に当たらないサーバールームでは、経済産業省の省エネ・非化石転換補助金(SIIが執行)の「設備単位型」が候補になります。指定設備15区分のうち、サーバールームに関係しやすいのは次の区分です。

  • 高効率空調:業務・産業用エアコン、ターボ冷凍機、吸収式冷凍機など
  • 変圧器:受変電設備の高効率変圧器
  • 制御機能付きLED照明器具

従来枠の補助率は1/3以内、上限1億円で、補助対象経費は設備費のみです。令和7年度補正予算の4次公募は2026年10月30日17時必着です。詳しくは設備単位型の解説をご覧ください。

なお、無停電電源装置(UPS)は設備単位型の指定設備の区分には含まれていません。中小企業であれば、事業継続力強化計画の認定を受けて、計画に記載した無停電電源装置などに防災・減災投資促進税制(特別償却16%)を使う方法があります。詳しくは事業継続力強化計画と補助金をご覧ください。

まとめ

データセンターの補助金は、ICT機器の運用に特化した施設であることが前提で、新設・改修・コンテナのいずれも新たな再エネ設備の導入が求められます。改修ではPUE1.28以下が要件で、非常用発電設備やICT機器は対象外です。オフィスや工場内のサーバールームは、SIIの設備単位型で空調・変圧器を更新するのが基本の選択肢になります。

タンソーマンGXでは、データセンターやサーバールームの空調・電源設備、再エネ導入について、制度の選定から申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。

参考資料

本記事の内容は2026年10月22日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。

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