公開 2026.10.22

社用車・営業車のEV化と拠点での充電 車両と充電器の補助金をあわせて考える

この記事では、社用車や営業車をEV(電気自動車)・PHEV(プラグインハイブリッド車)に替え、事業所の駐車場で充電する場合に、車両と充電器の補助金をどう組み合わせるかを整理します。令和7年度補正予算の「CEV補助金」(車両)と「充電インフラ補助金」(充電設備)は、執行団体が同じでも申請の時期と要件が大きく異なります。両者の違い、充電器の口数の上限、保有義務の期間、計画の順番が分かります。

車両と充電器は別々の補助金

社用車のEV化で使う国の補助金は、車両と充電器で分かれています。どちらも経済産業省の補助金で、一般社団法人次世代自動車振興センター(以下、センター)が執行していますが、手続きは別です。

社用車のEV化と補助金の関係
販売店・施工会社EVを納車、充電器を設置
EV・充電器代金
自社社用車と拠点を持つ
登録・実績の報告2つの補助金
センター車両と充電器を別々に審査

車両はCEV補助金、充電器は充電インフラ補助金の「事務所・工場等への充電設備設置事業(基礎充電)」。執行は次世代自動車振興センター。

車両の補助は「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」(CEV補助金)、充電器の補助は「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てん設備等導入促進補助金」(充電インフラ補助金)です。それぞれの制度の概要はCEV補助金 法人がEVを導入するときの車両補助とEV充電器の補助金 国の充電インフラ補助金の概要で解説しています。本記事では、両者を同じ計画の中で扱うときの注意点に絞ります。

対象になる車両:自家用(白ナンバー)が前提

CEV補助金の対象は、新車として新規登録(軽自動車は届出)された自家用の車両です。応募要領は、中古車と事業用車両を対象外としています。営業担当者が使う社用車や、自社の荷物を運ぶ自家用の貨物車は対象になり得ますが、運送事業に使う緑ナンバーの車両は対象外です。

  • 申請者、車両の所有者、自動車検査証(車検証)の使用者が一致していることが原則です。法人が購入して役員・従業員が使用者となる場合やリース車両などは例外として認められます。
  • リース車両は、すべて使用者が申請します。
  • 国の他の補助金とは重複できませんが、地方公共団体の補助金とは重複して申請できます。

緑ナンバーのトラックやタクシー・バスは、環境省の「商用車等の電動化促進事業」が受け皿です。トラックはEVトラック・商用車の補助金、タクシー・バスはEVバス・EVタクシーの導入補助をご覧ください。

拠点の充電器:「事務所・工場等」の要件

事業所の駐車場に置く充電器は、充電インフラ補助金の「マンション、月極駐車場及び事務所・工場等への充電設備設置事業(基礎充電)」のうち、事務所・工場等の区分で申請します。補助率は、充電設備の購入費が1/2以内、設置工事費が定額(1/1以内、上限あり)です。申請の手引きでは、次の要件をすべて満たす必要があります。

  • 利用するのは、申請者が所有する社有車(車検証に法人名義で使用者登録された車両)または従業員の通勤車であること。取締役・役員の車は通勤車に含みません。
  • 設置場所が申請者の事務所・工場等の敷地内で、来客用の駐車場ではないこと
  • OCPP1.6以降またはECHONET Liteに準拠した充電設備であること(通信を介さずに課金・制御を行う場合を除く)
  • 普通充電設備と充電用コンセント(スタンド)を併設しないこと

OCPPは充電器と管理システムをつなぐ通信の規格、ECHONET Liteは機器を制御する通信の規格です。導入後に複数台の充電を管理したり、出力を調整したりする土台になります。

口数の上限

普通充電設備は「駐車場収容台数の10%以下かつ10口以下」、充電用コンセント・コンセントスタンドは「駐車場収容台数以下かつ20口以下」が上限です。10%に端数が出る場合は切り上げます。社用車を一度に何十台もEVにする計画では、普通充電器だけでは台数分を賄えない場合があるため、コンセント型との使い分けを先に検討します。

すでに充電設備がある拠点で口数を増やす場合は、既設の口数の50%以上に当たる台数のEV等を保有していることを、車検証(または実績報告期限内に納車予定であることが分かる発注書)で示す必要があります。

申請の時期が違う:車両は「登録後」、充電器は「交付決定後」

二つの補助金で最も大きく違うのは、申請と発注の順番です。

車両と充電器の手続きの違い(令和7年度補正)

車両(CEV補助金)

  • 車両を登録した後に申請
  • 提出期限は登録日から1か月が原則
  • 到着順の受付で、予算に達すると終了
  • 保有義務:普通・小型乗用車などは4年

充電器(充電インフラ補助金)

  • 公募期間内に交付申請し、交付決定の後に発注・着工
  • 出力1kW当たりの申請額が少ない順に選定
  • 工事・支払完了から30日以内を目処に実績報告
  • 保有義務:設置完了から5年

CEV補助金の提出期限は、登録日までに支払手続き(ローン・リース契約を含む)が済んでいない場合は登録日の翌々月末。

CEV補助金は、2026年10月9日にセンターが申請受付の終了見込みを「令和8年12月上旬〜12月下旬目処」と公表しています。補助対象となる登録期間の最終期限は令和9年2月1日、申請書の受付期限は令和9年2月12日(必着)ですが、それより前に予算に達すると受付が終わります。

充電器の側は、令和7年度補正の通常募集(第1期は2026年5月29日〜6月15日など)が既に行われました。10月1日に公表された年度またぎ事業の公募は、高速道路SA・PAの急速充電器と新築集合住宅の普通充電器に限られており、事務所・工場等は対象外です。今から計画する事務所の充電器は、次の予算での公募を待つことになります。次回の時期や条件は、現時点では公表されていません。

計画の順番と保有期間

車両と充電器の補助金を両方使う場合は、次の点を先に整理しておくと手戻りが少なくなります。

  • 台数と口数:EVにする台数と、拠点の駐車場収容台数から口数の上限を確かめる
  • 充電器の発注時期:交付決定の前に発注・着工した充電器は補助の対象外。車両の納車を急いで充電器を先に発注しない
  • 契約電力:充電の時間帯が重なると最大需要電力が上がる。EV充電器と契約電力も参照
  • 保有期間:車両は新規登録日から4年(軽自動車も4年)、充電器は設置完了から5年。社用車の入替周期が4年より短い場合は計画を見直す
  • 自治体の上乗せ:車両は地方公共団体の補助金と重複申請が可能。都内なら東京都のEV・FCV導入補助も確認する

条件は年度ごとに見直されます。次の予算で同じ要件が続くとは限らないため、申請の直前に最新の手引き・応募要領を確認してください。

まとめ

社用車のEV化では、車両はCEV補助金(自家用車両が対象、登録後に申請)、拠点の充電器は充電インフラ補助金の基礎充電(交付決定後に発注)を使います。令和7年度補正では車両の受付が12月中に終わる見込みで、事務所・工場等の充電器は次回公募待ちという時期のずれがあります。台数と口数の上限、保有期間を先に固め、二つの手続きを別々の日程で組み立てることが大切です。

タンソーマンGXでは、社用車のEV化に伴う車両と充電設備の補助金の組み合わせの検討から、申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。

参考資料

本記事の内容は2026年10月22日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。

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