公開 2026.10.22

事業所の断熱改修・窓の高断熱化に使える補助金

この記事では、事務所や店舗などの既存の建物で、断熱改修や窓の高断熱化に使える補助金を解説します。中心となる環境省の「業務用建築物の脱炭素改修加速化事業(脱炭素ビルリノベ2026事業)」の対象建物、要件、補助率、窓・断熱材の性能基準を、令和8年度(2026年度)の公募要領に沿って整理します。

断熱改修は「外皮」と「設備」をセットで考える

建物の外壁、屋根、床、窓など、室内と屋外を隔てる部分を「外皮」と呼びます。外皮の断熱性能が低いと、空調で冷やしたり暖めたりした熱が逃げ、空調機を新しくしても効果が十分に出ません。特に窓は熱の出入りが大きい部分で、ガラスの交換や内窓の設置で改善しやすい箇所です。

令和8年度の国の制度で、事業用の既存建物の断熱改修を正面から支援しているのが、環境省の「業務用建築物の脱炭素改修加速化事業」です。執行団体は一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)で、「脱炭素ビルリノベ2026事業」という名称で公募されています。この事業は、断熱だけを単独で補助するのではなく、外皮の高断熱化と高効率設備の導入を組み合わせて、建物全体の省エネ性能を一定の水準まで引き上げる改修を支援します。

脱炭素ビルリノベ2026事業の要件と補助額

  • 公募期間:2026年6月4日(木)〜11月30日(月)。交付決定額の合計が予算額に達した場合は、期間内でも受付を終了
  • 外皮の要件:断熱窓・断熱材の導入により、改修後の外皮性能BPIを1.0以下にすること(現状ですでに1.0以下なら断熱窓・断熱材の導入は必須ではない)
  • 設備の要件:高効率空調、制御機能付きLED照明器具、業務用給湯器のいずれかの導入により、一次エネルギー消費量を省エネ基準から用途に応じて30%(ホテル・病院・百貨店・飲食店等)または40%(事務所・学校等)以上削減すること
  • エネルギー管理:BEMS等を導入し、エネルギー使用状況を見える化して管理すること
  • 補助金額:1事業(原則として建築基準法上の一の建築物)あたり上限10億円、下限200万円

BPIは、建物の外皮の断熱性能を基準値と比べた指標で、1.0以下であれば省エネ基準の水準を満たすことを意味します。交付申請時の計算は国のWebプログラムで行い、「標準入力法」と「モデル建物法」のいずれも使えます。最大3年間、年度の切れ目なく事業を実施できるため、大規模な改修にも対応できます。

補助率は断熱窓・断熱材が1/2、設備は1/3

補助率は、導入する製品の区分ごとに決まっています。断熱窓と断熱材は設備費・工事費の1/2で、空調・照明・給湯・BEMSの1/3より手厚く設定されています。

製品区分別の補助率(設備費・工事費)
  • 断熱窓1/2
  • 断熱材1/2
  • 高効率空調(トップ性能枠)1/2
  • 高効率空調1/3
  • LED照明・給湯器・BEMS1/3

設計費は区分を問わず1/2。令和8年度公募要領「8.補助率」より作成。

補助対象となる断熱窓と断熱材は、性能の基準が定められています。

  • ガラス交換・外窓交換(カバー工法・はつり工法):ガラスの熱貫流率Ug1.9以下、または窓全体の熱貫流率Uw3.5以下
  • 内窓設置:Uw1.9以下
  • 断熱材:押出法ポリスチレンフォーム0.028以下、グラスウール0.039以下、ロックウール0.037以下など、種類ごとの熱伝導率の基準

一方で、遮熱・断熱塗料や遮熱フィルム、カーテン・ブラインド、外装仕上げ材、シャッター・雨戸、既存機器の撤去・処分費などは補助対象外です。見積書では、補助対象と対象外の経費を明確に分けておく必要があります。

対象になる建物・ならない建物

対象は、建築物省エネ法上の非住宅用途の既存建築物です。申請できる者は、民間企業、個人事業主(原則青色申告者)、学校法人、社会福祉法人、医療法人、一般社団・財団法人、地方公共団体などです。

脱炭素ビルリノベ2026事業の対象建物

対象になる用途

  • 事務所、官公署
  • ホテル、旅館、病院、老人ホーム
  • 百貨店、マーケット、飲食店
  • 学校、図書館、体育館、集会場など

対象にならない用途

  • 工場、倉庫、畜舎、自動車車庫
  • 集合住宅、寮、戸建住宅
  • 一覧にない用途の建物

公募要領 別表1より作成。複数用途の建物は用途ごとにBEIの達成などの条件があります。

工場や倉庫は対象外のため、生産拠点の省エネ投資は、SIIの省エネ・非化石転換補助金など別の制度で検討します。詳しくは省エネ補助金「工場・事業場型」をご覧ください。また、テナントビルではリーディングテナント行動方針への賛同登録が、改修後にZEB水準の性能となる場合はZEBリーディング・オーナー登録が求められます。旧耐震基準の建物は、新耐震基準の耐震性を満たすことも条件です。

申請から事業報告までの流れ

脱炭素ビルリノベ2026事業の手続き
  1. 申請準備WebプログラムでBPI・BEIを算出、見積取得
  2. 交付申請GビズIDでJグランツから申請
  3. 交付決定契約・発注は必ずこの後
  4. 中間報告・実績報告中間検査、BELS認証の取得
  5. 事業報告完了後5年間、エネルギー使用量を報告

交付申請時は1者の参考見積でも認められますが、交付決定後の業者選定では原則として3者以上の見積か競争入札が必要です。改修後は、第三者認証であるBELSの省エネ性能表示を取得し、実績報告で提出します。さらに事業完了後5年間、エネルギー使用量を報告できる管理体制を整える必要があります。

どこから手を付けるか決まっていない場合は、ビルリノベ事業のページで案内されている「建築物改修の省CO2ポテンシャル見える化事業」で、調査経費の1/2(最大100万円)の補助を受けられる場合があります。ただし、令和8年度の申請期間は5月1日から10月22日までで、受付は終了しています。改修後にZEB水準を目指す場合は、ZEB化の補助金の記事も参考にしてください。

タンソーマンGXでは、建物の断熱改修や空調・照明の更新について、制度の選定から省エネ計算の段取り、申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。

参考資料

本記事の内容は2026年10月22日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。

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