公開 2026.10.22

省エネ法の定期報告と補助金 特定事業者が押さえておきたい関係

この記事では、省エネ法の「特定事業者」に指定されている会社が、毎年の定期報告と省エネ補助金の申請をどうつなげればよいかを整理します。省エネ法で求められる手続きの流れと、令和7年度補正予算の省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)の公募要領で、省エネ法の書類や評価がどのように要件になっているかが分かります。

省エネ法の特定事業者とは

省エネ法(正式名称は「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」)は、事業者全体のエネルギー使用量が原油換算で年間1,500キロリットル以上の事業者を「特定事業者」に指定し、毎年度エネルギーの使用状況などの報告を求めています。判定は工場ごとではなく、法人全体の合計で行います。

令和4年度の法改正により、従来の化石エネルギーの使用の合理化に加え、非化石エネルギーへの転換と、電気の需要の最適化(再エネの出力に合わせて電気を使う時間を動かすこと)も求められるようになりました。

中部経済産業局の案内では、特定事業者の手続きは次の順番で進みます。

特定事業者の年間の手続き
  1. 使用量の把握前年度の法人全体のエネルギー使用量を原油換算
  2. 使用状況届出書1,500kl以上なら5月末日までに経済産業局へ
  3. 特定事業者の指定7桁の特定事業者番号が通知される
  4. 管理者の選任エネルギー管理統括者・企画推進者などを選任し届出
  5. 定期報告・中長期計画毎年7月末日までに提出。原則EEGSで電子提出

中部経済産業局「省エネ法(工場・事業場)」より作成。EEGSは省エネ法・温対法・フロン法の電子報告システム。

定期報告書は、前年度のエネルギー使用量や原単位(生産量などあたりのエネルギー使用量)の推移を報告するものです。中長期計画書は、今後の設備投資などの省エネ・非化石転換の計画を書くものです。定期報告書の一部の表は、温対法のCO2排出量の報告を兼ねています。

クラス分け評価とベンチマーク

省エネ法では、エネルギー消費原単位を中長期的に年平均1%以上下げることが努力目標とされています。定期報告書を出したすべての事業者は、目標の達成度合いによってS(優良)・A(一般)・B(停滞)にクラス分けされます。

  • Sクラス:5年度間平均の原単位を年1%以上下げる努力目標を達成するか、業種ごとに定められたベンチマーク目標を達成した事業者です。経済産業省のホームページで事業者名が公表されます。
  • ベンチマーク:特定の業種・分野で中長期的に目指す省エネの水準です。各業界の上位1〜2割程度の事業者だけが満たす水準に設定されています。
  • 停滞している事業者:重点的な調査などの対象になります。

このクラス分けの結果が、次に説明するとおり、大企業が省エネ補助金を申請できるかどうかに直結します。

省エネ補助金の申請で求められる省エネ法の書類

SIIが執行する令和7年度補正予算の省エネ・非化石転換補助金(設備単位型、4次公募は2026年10月5日〜10月30日)の公募要領では、省エネ法の対応状況が申請要件に組み込まれています。

設備単位型の申請で使う省エネ法の書類
  • 定期報告書 特定第1表の写し特定事業者等は全員。中長期計画書と定期報告書を提出していることが前提
  • Sクラスの公表結果大企業の要件の一つ。令和7年度報告のクラス分け結果で確認
  • 定期報告書 特定第4表Aクラスとして申請する大企業が提出。過去5年度の原単位など
  • 中長期計画書の写しベンチマークを2030年度に達成する見込みで申請する大企業が提出
  • 開示制度の参加を示すメール特定事業者等は定期報告情報の開示制度への参加が要件

SII 令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)公募要領(4次公募)より作成。

大企業は「Sクラス・Aクラス・ベンチマーク」のいずれかが必要

設備単位型では、大企業は次のいずれかに当てはまる場合に限り補助対象になります。

  • 省エネ法のクラス分けでSクラスに該当し、資源エネルギー庁のホームページで公表されていること
  • Aクラスに該当すること(令和7年度の定期報告書の特定第4表を提出)
  • 中長期計画書に書いた2030年度のベンチマーク指標の見込みが、ベンチマーク目標を達成すること(経済産業局に出した中長期計画書の写しを提出)

公募要領では、経済産業局に提出したものと異なる中長期計画書をSIIに出し、ベンチマーク目標を達成しないことが分かった場合、交付決定の取消しなどがありうると明記されています。補助金のために計画書を作り直すのではなく、法に基づいて提出したものと一致させる必要があります。

定期報告情報の開示制度への参加

特定事業者等は、省エネ法の定期報告情報を開示する制度への参加を宣言し、令和8年度公表分の開示シートを公表することが要件です。開示シートの自由記述欄には、補助金による計画と実績(省エネ効果を含む)を書くことも求められます。交付決定までに、EEGSから届く参加表明の自動返信メールの写しを提出します。要件を満たさない場合は補助金の返還を求められることがあります。

申請の単位も定期報告書に合わせる

設備単位型は、原則としてエネルギー管理を一体で行う事業所単位で申請します。定期報告書を提出している場合は、定期報告書に記載した事業所の単位で申請します。

補助金の区分ごとの違いは「省エネ・非化石転換補助金とは 4つの事業類型と選び方」、大規模更新の要件は「省エネ補助金「工場・事業場型」 大規模更新の要件」で解説しています。

2026年度の定期報告・中長期計画の変更点

中部経済産業局の資料(2026年6月)では、2026年度提出分から次の変更があります。

  • 屋根設置太陽光の目標:中長期計画書の非化石エネルギーへの転換の計画に、屋根設置太陽光発電設備の設置に関する目標の記載が必須になりました。必ず設置しなければならないわけではなく、条件や時期、経済性を踏まえた現時点の目標を書きます。
  • 屋根の報告:2027年度の定期報告から、屋根設置太陽光の設置済み面積や設置できる屋根の面積などを報告する様式が加わります。
  • データセンター:データセンター業を行う事業者には、PUE(電力使用効率)などの報告項目が追加されました。

屋根設置太陽光の目標を中長期計画書に書く以上、その実現手段として補助金を検討する場面が増えます。中長期計画と補助金の申請内容をそろえておくと、説明の一貫性が保ちやすくなります。

定期報告のデータを補助金と税制に生かす

定期報告のために毎年集計しているエネルギー使用量や原単位は、補助金の申請で省エネ効果を示す基礎データになります。経済産業省のCN投資促進税制のQ&Aでも、CO2排出量の算出方法は省エネ法の定期報告と基本的に同じで、定期報告の対象事業者は既に計算した値を使えるとされています。

  • 定期報告書と中長期計画書を7月末日の期限までに提出し、補助金の申請時に写しをすぐ出せるようにしておく
  • 補助金で更新する設備を、中長期計画書の設備投資計画に記載しておく
  • 補助事業の計画と実績を、開示シートの自由記述欄に反映する

省エネ法の様式や補助金の要件は年度ごとに見直されます。申請前に、その年度の記入要領と公募要領を確認してください。

タンソーマンGXでは、省エネ設備の更新に使える補助金の選定から申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。

参考資料

本記事の内容は2026年10月22日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。

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