
「省エネ補助金」として知られてきたSII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)の補助金は、令和7年度補正予算で「省エネ・非化石転換補助金」という名称になり、4つの事業区分で構成されています。この記事では、4つの区分それぞれの対象と補助率、自社に合う区分の選び方を、2026年10月公開の4次公募の公募要領に沿って解説します。
省エネ・非化石転換補助金の全体像
省エネ・非化石転換補助金は、国内で事業を営む法人と個人事業主を対象に、工場や事業場の省エネルギー投資を支援する補助金です。財源の異なる2つの補助金で構成されています。
- 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金:GX経済移行債を原資とする補助金
- 省エネルギー投資促進支援事業費補助金:エネルギー対策特別会計を原資とする補助金
申請の窓口は「工場・事業場型」と「設備単位型」の2つに分かれ、それぞれの公募要領が公開されています。国庫債務負担行為を活用し、工場・事業場型は最大4年間、設備単位型は最大2年間の複数年度事業にも対応しています。
4つの事業区分
(Ⅰ)工場・事業場型
工場・事業場全体で大幅な省エネを図る事業が対象です。「先進枠」「一般枠」「中小企業投資促進枠」「サプライチェーン連携枠」の4つの枠があり、先進設備・システム、オーダーメイド型設備(機械設計を伴う設備)、SIIが公表した指定設備への更新を支援します。補助対象経費は設計費・設備費・工事費で、補助率は先進枠で中小企業者等2/3以内、大企業・その他1/2以内です。
(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型
化石燃料から電気への転換や、より低炭素な燃料への転換を伴う設備更新が対象です。産業ヒートポンプ、業務用ヒートポンプ給湯器、高性能ボイラ、高効率コージェネレーション、低炭素工業炉が対象設備区分です。更新・改造の補助率は1/2以内、上限額は3億円(電化する事業は5億円)です。
(Ⅲ)設備単位型/GX設備単位型
SIIが公表した指定設備(高効率空調、変圧器、冷凍冷蔵設備、制御機能付きLED照明器具、工作機械など15区分)に設備単位で更新する事業が対象です。「従来枠」(補助率1/3以内、上限1億円)に加え、令和7年度補正からGX要件を満たしたメーカーの設備を対象とする「メーカー強化枠」と「トップ性能枠」が新設されました。
(Ⅳ)エネルギー需要最適化型
SIIに登録されたEMS(エネルギーマネジメントシステム。エネルギー使用量を計測・見える化・制御する仕組み)を導入し、運用改善で省エネを図る事業です。補助率は中小企業者等1/2以内、大企業・その他1/3以内、上限1億円です。単独でも、他の区分と組み合わせても申請できます。
(Ⅰ)工場・事業場型
- 事業所全体で省エネ
- 先進・オーダーメイド・指定設備
- 補助率は最大2/3
(Ⅲ)設備単位型・(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型
- 設備1台単位から申請できる
- SIIが公表した指定設備が中心
- 補助率は1/5〜1/2
(Ⅳ)エネルギー需要最適化型
- 登録EMSを導入
- 2年間のEMS活用計画
- 他区分との組み合わせ可
令和7年度補正予算・4次公募の公募要領とパンフレットより。
自社に合う区分の選び方
区分選びは「どの単位で省エネ効果を示せるか」と「どの設備を入れるか」で決まります。
- 事業所全体で大きな削減を示せる場合:複数の設備を一体で更新し、事業所全体で省エネ率10%以上などの要件を満たせるなら(Ⅰ)工場・事業場型が候補です。補助率が高い反面、事業所全体の省エネ計算と設備単位の要件の両方が求められます。
- 空調や照明など特定の設備を入れ替える場合:指定設備に該当する製品への更新であれば(Ⅲ)設備単位型が中心です。省エネ率10%以上、省エネ量1kl以上、経費当たり省エネ量1kl/千万円以上のいずれかを満たせば申請できます。
- ボイラや工業炉の燃料を変える場合:電化や低炭素燃料への転換を伴うなら(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型を検討します。中小企業者等は工事費も対象になります。
- まず使い方から改善したい場合:設備更新の前に計測と運用改善を進めるなら(Ⅳ)エネルギー需要最適化型が向いています。
補助対象経費の範囲も区分で異なる
補助率だけでなく、どの経費が補助対象になるかも区分によって違います。
- (Ⅰ)工場・事業場型と(Ⅳ)エネルギー需要最適化型:設計費・設備費・工事費
- (Ⅱ)電化・脱炭素燃転型:設備費(付帯設備を含む)と工事費。ただし工事費は中小企業者等の事業、または水素燃料の利用を目的に既存設備を改造する事業に限られます
- (Ⅲ)設備単位型/GX設備単位型:設備費のみ。据付工事費や配線・配管、既存設備の撤去費は対象外です
また、補助対象経費は原則として3者以上の価格競争の結果による最低価格が上限になります(エネマネ事業者のエネルギー管理支援を受けてEMS機器を導入する場合など、例外もあります)。工事費の割合が大きい案件では、補助率よりも対象経費の範囲のほうが補助金額に大きく影響します。
全区分に共通する注意点
- 交付決定前の契約・発注は対象外:契約・発注は必ず交付決定後に行います。
- 大企業の要件:大企業は、省エネ法の事業者クラス分け評価制度でSクラスまたはAクラスに該当するなど、一定の要件を満たす場合に限り補助対象となります。
- 省エネ法の特定事業者等:年間エネルギー使用量が原油換算1,500kl以上の事業者は、定期報告情報の開示制度への参加などが求められます。
- 導入後の報告:導入した設備の省エネルギーの実績をSIIに報告する必要があり、処分制限期間内に設備を処分する場合は事前の承認が必要です。
4次公募のスケジュール
令和7年度補正予算の4次公募は、工場・事業場型、設備単位型ともに公募期間が2026年10月5日から10月30日17時必着です。交付決定は12月下旬の予定で、単年度事業は2027年1月31日までに事業を完了させる必要があります。区分ごとの詳細は、設備単位型、工場・事業場型、電化・脱炭素燃転型、エネルギー需要最適化型の各記事で解説しています。
事業区分の名称や枠、補助率は年度ごとに見直されています。翌年度も同じ区分で公募されるとは限らないため、申請時点の公募要領で確認することが重要です。
タンソーマンGXでは、省エネ・非化石転換補助金の事業区分の選定から、省エネルギー計算、申請書類の作成、実績報告までを支援しています。
参考資料
- SII 令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(工場・事業場型)4次公募
- SII 工場・事業場型 公募要領<4次公募用>(2026年10月)
- SII 工場・事業場型 事業概要パンフレット(4次公募)
- SII 令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)4次公募
- SII 設備単位型 公募要領<4次公募用>(2026年10月)
- SII 設備単位型 事業概要パンフレット(4次公募)
本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



