
この記事では、自動車販売店(ディーラー)や整備工場が使える補助金を、EV充電器、ショールームや工場の省エネ設備、整備作業の省力化設備の3つに分けて整理します。特に、販売店に充電器を置くときに国の補助金のどの区分に当たるかで、要件と補助率が大きく変わる点を詳しく説明します。
販売店・整備工場の設備と使える制度
販売店や整備工場には、来店客と社用車のための充電設備、ショールームの空調と照明、整備工場の機械や塗装設備など、性格の違う設備が並んでいます。設備ごとに所管と制度が異なるため、まず全体を見渡しておくと検討が進めやすくなります。
充電器は次世代自動車振興センター、空調・照明は環境共創イニシアチブ(SII)、整備用機器は中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)の例。
来店客向けの充電器は「目的地充電」の要件を満たせるか
国の充電インフラ補助金(クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金)は、次世代自動車振興センターが執行しています。制度全体の概要はEV充電器の補助金の解説をご覧ください。
販売店の来店客用駐車場に置く充電器は、令和7年度補正の申請の手引きでは「商業施設及び宿泊施設等への充電設備設置事業(目的地充電)」の区分で検討することになります。充電設備の購入費は定額(1/1以内)または1/2以内、設置工事費は定額(1/1以内)で、補助率は高い区分です。その代わり、次のような要件をすべて満たす必要があります。
- 公道に面した入口から誰もが自由に出入りできる場所に設置する
- 利用者を限定せず、他のサービスの利用や物品の購入を条件にしない
- 充電料金を徴収する
- 入口に案内板を、充電区画に所定の路面表示を設置する
- 充電器の場所・出力・利用可能時間などをインターネット上で誰でも確認できるようにする
- 充電設備はOCPP1.6以上に準拠したものとし、急速充電設備は総出力50kW以上とする
つまり、「自社で買った車の顧客だけが無料で使える充電器」は、この区分の考え方と合いません。他社の車を含めて誰でも有料で使える充電スポットとして運営する前提で計画する必要があります。
令和7年度補正 充電設備補助金 申請の手引き「商業施設及び宿泊施設等への充電設備設置事業」の要件をもとに作成。
社用車・試乗車・通勤車向けは「基礎充電」
来客車用ではなく、自社の車両を充電する充電器は「事務所・工場等への充電設備設置事業(基礎充電)」の区分です。補助率は、充電設備の購入費が1/2以内、設置工事費が定額(1/1以内)です。主な要件は次のとおりです。
- 利用するのは申請者が所有する社有車(車検証に申請法人が使用者として登録された車)または従業員の通勤車であること
- 来客車用の駐車場に設置しないこと
- 普通充電設備は、口数が駐車場収容台数の10%以下かつ10口以下であること
- OCPP1.6以降またはECHONET Liteに準拠した充電設備であること(例外あり)
試乗車や代車の充電を目的とする場合は、車検証上の使用者が申請法人かどうかで社有車に当たるかが決まります。展示車の入れ替えが多い販売店では、どの車両を対象とするかを事前に整理しておくことが大切です。
令和7年度補正予算の第1期・第2期の受付はすでに終了しており、2026年10月1日に公表された年度またぎ事業は、高速道路SA・PAの急速充電器と2027年度竣工予定の新築集合住宅の普通充電器に限られています。販売店や整備工場が次に申請できる時期は、2026年10月22日時点で公表されていません。東京都内の拠点であれば、東京都の充電設備普及促進事業もあわせて確認してください。
ショールームと整備工場の省エネ設備
空調や照明の更新には、経済産業省の省エネ・非化石転換補助金(SIIが執行)の「設備単位型」が使えます。令和7年度補正予算の4次公募は2026年10月5日から10月30日17時必着です。
- 対象:SIIが基準を定めて公表した「指定設備」への更新。高効率空調、制御機能付きLED照明器具、変圧器、産業用モータなど15区分
- 補助率:従来枠は1/3以内(上限1億円、下限30万円)
- 補助対象経費:設備費のみ。据付費・工事費、配線・配管、撤去費は対象外
- 省エネ要件:省エネ率10%以上、省エネ量1kl以上、経費当たり省エネ量1kl/千万円以上のいずれか
ガラス面が大きいショールームは空調負荷が大きく、営業時間中は照明も点けたままになりがちです。現在使っている設備を更新する事業が対象なので、更新時期の近い機器から候補を挙げると計画を立てやすくなります。
整備作業の省力化設備
中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)は、中小機構が登録した製品カテゴリの中から省力化製品を選んで導入する制度です。製品カタログのページでは、自動車関連として「自動車向け塗装ブース」「自動車両洗浄機」「自動車用全自動フロンガス回収・充填装置」「自動変速機フルード下抜き交換装置」「ADASポジショニングツール」などのカテゴリが追加されたことが公表されています。
- 補助率:1/2以下
- 補助上限額:従業員5人以下500万円、6〜20人750万円、21人以上1,000万円(大幅な賃上げを行う場合はそれぞれ750万円、1,000万円、1,500万円)
- 受付:随時。公募要領では令和9年3月末頃までの間に申請を受け付けるとしています
カタログ注文型は、カタログに登録された製品を、登録された販売事業者と共同で申請する仕組みです。導入したい機器が登録されているかを、製品カタログ検索で先に確認してください。制度の詳細はカタログ注文型と一般型の違いで解説しています。
まとめ
販売店の充電器は、来店客向けか自社車両向けかで補助金の区分が変わり、来店客向けは誰でも有料で使えるスポットとして運営することが前提になります。ショールームの空調・照明はSIIの設備単位型、整備工場の塗装ブースや洗車機などは省力化投資補助金のカタログ注文型が候補です。いずれも交付決定前の発注は対象外で、条件は年度ごとに見直されるため、最新の公募要領を確認してから計画を固めてください。
タンソーマンGXでは、充電器と店舗設備の補助金について、制度の選定から申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。
参考資料
- 次世代自動車振興センター 令和7年度補正予算「充電設備補助金(第1期・第2期)」交付規程・手引き
- 次世代自動車振興センター 令和7年度補正 申請の手引き 充電設備(第1期・第2期)
- 次世代自動車振興センター 充電設備補助金(年度またぎ事業)公募について(2026年10月1日)
- SII 令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)公募要領<4次公募用>
- 中小企業省力化投資補助金 製品カタログ(カタログ注文型)
- 中小企業省力化投資補助金 カタログ注文型 公募要領
本記事の内容は2026年10月22日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



