
この記事では、病院や介護施設が空調・給湯・照明の更新や建物の省エネ改修に使える補助金を整理します。医療法人・社会福祉法人が国の補助金でどの区分に当たるか、病院・介護施設それぞれで使える主な制度と、令和7年度補正予算の厚生労働省の支援の位置づけが分かります。
医療法人・社会福祉法人はどの区分に当たるか
経済産業省の省エネ・非化石転換補助金(SII)の令和7年度補正予算の公募要領では、会社法上の会社以外の法人(社会福祉法人、医療法人、学校法人、NPO法人など)のうち、従業員が300人以下の法人を「中小企業者等」として扱います。従業員は雇用形態を問わず、その法人に雇われている労働者を指します。従業員が300人を超える場合は「大企業・その他」の区分になり、補助率や対象経費が変わります。
従業員300人以下
- 「中小企業者等」として扱う
- 工場・事業場型の一般枠は1/2以内
- 電化・燃転型で工事費も対象
従業員300人超
- 「大企業・その他」として扱う
- 工場・事業場型の一般枠は1/3以内
- 電化・燃転型の工事費は対象外
令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金の公募要領(4次公募)による。投資回収年数による補助率の調整などは要領を参照。
自治体の制度でも、医療法人・社会福祉法人を中小企業と同じ扱いにする例があります。東京都の「地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業」(令和8年度)は、中小企業等に医療法人と社会福祉法人を含め、再エネ発電設備の助成率を3分の2以内としています。
病院で使える主な制度
設備の更新:SIIの設備単位型
高効率空調、業務用給湯器、高性能ボイラ、高効率コージェネレーション、制御機能付きLED照明器具などの指定設備への更新が対象です。従来枠の補助率は1/3以内、上限1億円、下限30万円で、補助対象は設備費のみです。令和7年度補正予算分の4次公募は2026年10月5日から10月30日17時までです。
建物の改修:脱炭素ビルリノベ事業
環境省の「業務用建築物の脱炭素改修加速化事業(脱炭素ビルリノベ2026事業)」は、既存の業務用建物で断熱窓・断熱材・高効率空調・LED照明・業務用給湯器・BEMSなどを導入する改修が対象です。病院は、一次エネルギー消費量を省エネ基準から30%程度以上削減する区分(ホテル・百貨店・飲食店等と同じ区分)とされています。補助率は1/2〜1/3、上限は1事業あたり10億円で、公募は2026年11月30日までですが、予算額に達すれば期間内でも終了します。
ZEB化:建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業
環境省の解説資料(2026年2月)では、令和8年度から病院のZEB化を進めるため対象事業者を拡大し、すべての地方自治体が申請できるようにしたとされています。令和8年度の公募(6月22日〜7月17日)はすでに締め切られています(ZEB化の補助金)。
申請前に確認したい要件
SIIの設備単位型では、省エネ法に基づく定期報告の義務がない事業者は、エネルギーの使用の合理化に関する中長期計画をSIIが指定するフォーマットで作成し、提出する必要があります。また、補助対象経費が重複する他の国の補助金との併用はできません。地方公共団体の一般財源による補助金等との併用は認められているため、自治体の制度を併せて使う場合は財源を確認します(国・都道府県・市区町村の補助金の併用)。
介護施設の支援
厚生労働省の令和7年度補正予算では、「介護事業所・施設のサービス継続に対する支援」として278億円が計上されました。実施主体は都道府県です。
- 補助上限:介護事業所・施設(訪問介護、通所介護、施設系を除く)は1事業所あたり20万円、施設系(特養、老健、介護医療院等)は定員1人あたり6千円など
- 補助率:国3/4、都道府県1/4
- 対象経費の例:業務用スポットエアコン、サーキュレーター、断熱カーテン、ポータブル電源・蓄電池など
大規模な空調更新には規模が小さいものの、熱中症対策や停電への備えに使える支援です。訪問介護と通所介護は、訪問回数や利用者数に応じて上限額が区分されています。受付時期と手続きは都道府県ごとに異なるため、所在地の都道府県の案内を確認してください。
また厚生労働省は、物価高対策として重点支援地方交付金を使い、介護サービス事業所・施設の光熱水費の上昇への支援を実施するよう都道府県に検討を求めています。省エネ設備の導入費用を支援する都道府県もあるとされていますが、実施の有無と内容は都道府県ごとに異なります。
医療分野の令和7年度補正予算の位置づけ
医療分野では、令和7年度補正予算に「医療分野における生産性向上に対する支援」(200億円)が盛り込まれましたが、対象はICT機器等の導入など業務効率化の取り組みです。厚生労働省の資料では、食費・光熱費等については重点支援地方交付金による支援が行われるとしています。省エネ設備の更新費用には、SIIや環境省の制度が中心になります。
病院・介護施設ならではの注意点
- 止められない設備:SIIの要領では既存設備は原則として事業完了日までに撤去しますが、一定期間並行して稼働させる必要があるなどやむを得ない事情がある場合は、事前にSIIに相談したうえで交付申請時に理由書を提出するとされています。
- 工事の時間帯:入院・入所者がいるため、夜間・休日の工事や段階的な切り替えを前提に工期を組みます。補助事業の完了期限(SIIの単年度事業は原則2027年1月31日まで)に間に合うかを先に確かめます。
- 法人内の手続き:理事会での承認が必要な場合、公募期間が1か月程度の制度では日程が厳しくなります。前年度の要領で準備を始め、見積の取得と省エネ量の試算を先に済ませておきます。
制度の条件は年度ごとに変わります。申請前に最新の公募要領を確認してください。
タンソーマンGXでは、病院・介護施設の設備更新に使える制度の選定から、省エネ量の計算、申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。
参考資料
- 令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)公募要領(4次公募)|環境共創イニシアチブ
- 令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(工場・事業場型)公募要領(4次公募)|環境共創イニシアチブ
- 業務用建築物の脱炭素改修加速化事業(脱炭素ビルリノベ2026事業)公募情報|環境共創イニシアチブ
- 令和8年度建築物の脱炭素化に向けた関連補助事業の解説(2026年2月12日)|環境省
- 令和7年度補正予算・令和8年度予算「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」の公募開始について|環境省
- 介護保険最新情報 Vol.1448 介護分野における医療・介護等支援パッケージ(令和7年12月17日)|厚生労働省
- 令和7年度補正予算案について(第122回社会保障審議会医療部会 資料3)|厚生労働省
- 「地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業」令和8年度申請受付開始(2026年3月30日)|東京都
本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



