公開 2026.10.22

ガソリンスタンド(SS)で使える補助金 EV充電と地域のエネルギー拠点化

この記事では、ガソリンスタンド(SS:サービスステーション)の事業者が使える国の補助金を、「SSの設備を守り地域の燃料供給拠点として強くする支援」と「EV充電器を置く支援」の2つに分けて整理します。資源エネルギー庁の補助事業の仕組みと令和8年度・令和7年度補正の主な内容、充電器を併設するときの考え方が分かります。

SSを取り巻く状況

資源エネルギー庁の集計では、登録ベースの給油所数は令和7年度末(2026年3月31日)時点で26,412か所です。前年度末から597か所減り、平成28年度末の31,467か所から1割以上減っています。

給油所数の推移(登録ベース)
  • 平成28年度末31,467か所
  • 令和7年度末26,412か所

資源エネルギー庁「揮発油販売業者数及び給油所数の推移(登録ベース)」より作成。

SSが3か所以下しかない市町村や、居住地から最寄りのSSまで15km以上離れた地域がある市町村は「SS過疎地」と呼ばれ、令和7年3月31日時点で615市町村(重複を除く)あります。一方、自家発電設備を備えて停電時にも給油を続けられる「住民拠点SS」は、2026年3月31日時点で14,215か所に整備されています。国のSS向け補助は、こうした地域の燃料供給網を維持することを目的に組み立てられています。

SS向け補助金の仕組み 執行団体を通じて申請する

資源エネルギー庁のSS向け補助事業は、国がまず公募で執行団体を選び、その執行団体がSS事業者向けの公募を行う二段階の仕組みです。SS事業者は国ではなく、一般社団法人全国石油協会や全国石油商業組合連合会(全石連)などの執行団体に申請します。

SS向け補助金のお金の流れ
資源エネルギー庁予算を措置
事業を委ねる補助金
執行団体全国石油協会・全石連
公募・審査補助金
SS事業者設備を導入・更新

事業ごとに執行団体が異なります。公募の時期と様式は執行団体の案内で確認します。

このため、国のページに出る「公募」は執行団体を選ぶためのもので、SS事業者が申請できる時期とは異なります。自社が申請できる期間は、執行団体の公募案内で確かめる必要があります。

令和7年度補正 SSネットワーク維持・強化支援事業

令和7年度補正予算の「石油製品販売業環境保全対策事業費補助金(SSネットワーク維持・強化支援事業)」は、設備導入等支援事業(執行団体は全国石油協会)と経営再建支援事業(同・全石連)に分かれています。

設備導入等支援事業

公募要領では、燃料タンクの大型化・修繕、水検知、緊急配送用ローリー、POS(車番認証を含む)、AI給油許可、灯油タンクのスマートセンサー、官公需システム、自家発電設備の更新、タンク撤去、洗車・整備・板金など、11の事業が補助対象に挙げられています。

  • 自家発電設備の更新:補助率10/10以内
  • タンク大型化・水検知・POS・AI給油許可など:中小企業者等2/3(SS過疎地等の中小企業者等は3/4)、中小企業者等以外は1/3

経営再建支援事業

ガソリン税の「当分の間税率」廃止の影響を受けるSSを対象に、小規模事業者の法定検査・備品・研修(1SSあたり合計100万円以下)や、中小企業者等が油外収益(燃料以外の収益)を伸ばすための設備投資(補助率2/3、SS過疎地等は3/4)を支援する内容です。

令和8年度当初予算の主な事業

令和8年度当初予算でも、SSの設備に関する補助事業が続いています。執行団体の公募結果として公表されている主な内容は次のとおりです。

  • 災害対応能力強化事業等(執行団体は全国石油協会):地下埋設物等の入換は中小企業者等2/3、過疎地域の中小企業者等は3/4または2/3、それ以外は1/4。油槽所・石油組合の自家発電設備の入換は10/10
  • 過疎地等における石油製品の流通体制整備事業(同):地下タンクの撤去、内面ライニング、電気防食、漏えい検知などは中小企業者等2/3。地下タンクの効率化は3/4または2/3で上限3,000万円、簡易計量機は3/4または2/3で上限2,000万円
  • 環境対応型石油製品販売業支援事業:土壌汚染の検知検査などで補助率1/3
  • 先進的技術開発等支援事業(執行団体は全石連):SSの総合エネルギー拠点化・多機能化に関する取り組み

補助率や上限は事業区分ごとに細かく分かれ、年度ごとに見直されます。申請前に、執行団体が公表する最新の公募要領で確認してください。

EV充電器を併設する場合

SSに急速充電器を設置する場合は、経済産業省の「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てん設備等導入促進補助金」が中心になります。執行団体は一般社団法人次世代自動車振興センターです。令和7年度補正予算の受付は第1期が2026年5月29日、第2期が7月17日に始まっています。

令和7年度補正の概要資料では、予算の配分区分が高速道路のSA・PAとそれ以外に分かれており、SSは「高速道路以外」の区分に含まれます。年度をまたぐ公募(2026年10月〜11月中旬予定)は、高速道路のSA・PAと新築の集合住宅に限られています。補助の上限額や機器ごとの区分は急速充電器と普通充電器の上限額の違いで解説しています。

SSで検討する補助の3つの方向

燃料供給の維持

  • タンク・計量機の更新
  • 漏えい検知・撤去
  • 執行団体は全国石油協会など

災害時の拠点化

  • 自家発電設備の更新
  • 住民拠点SSとしての機能
  • 補助率10/10の区分あり

EV充電の併設

  • 急速充電器の機器・工事
  • 執行団体は次世代自動車振興センター
  • 受電容量の確認が前提

急速充電器は出力が大きいため、受電設備の増強や契約電力の見直しが必要になる場合があります。補助金を使っても基本料金が収支を左右するため、利用台数の見込みとあわせて検討します(充電器ビジネスの収支)。

申請前に確認しておくこと

  • 自社が中小企業者等に当たるか、SSがSS過疎地等の区分に入るか(補助率が変わります)
  • 申請先の執行団体と、SS事業者向け公募の受付期間
  • 交付決定前に契約・発注しないこと
  • 充電器を置く場合は、敷地内の動線、受電設備の容量、設置後に求められる運用条件

タンソーマンGXでは、EV充電器の補助金の制度選定から申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。

参考資料

本記事の内容は2026年10月22日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。

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