
この記事では、茨城県内の事業者が省エネ設備や太陽光発電・蓄電池を導入するときに使える県と市町村の制度を整理します。茨城県の制度は「無料の省エネ診断を受け、その提案に沿って設備を更新する」流れが基本になっている点と、市町村ごとの令和8年度(2026年度)の制度の内容が分かります。
茨城県の制度の全体像
茨城県の事業者向け支援は、県が行う診断・補助・融資と、市町村が独自に行う補助に分かれます。県の補助金は「県の省エネ診断を受けていること」を前提にしているため、まず診断から始めるのが基本です。
茨城県
- 中小規模事業所省エネルギー診断(無料)
- 中小規模事業所省エネ対策設備導入補助金(診断の提案設備が対象)
- 環境保全施設資金融資(融資のあっせんと利子補給)
市町村(例)
- 日立市 脱炭素設備導入促進事業補助金
- 東海村 中小企業省エネ設備導入支援補助金
- 北茨城市 事業者向け自家消費型太陽光発電設備・蓄電池導入補助金
- 水戸市 企業立地促進補助金(脱炭素設備)
各制度の詳細は本文と参考資料を参照してください。
なお、茨城県の公式ホームページは、2026年10月21日以降、システム障害により臨時ページで表示されており、本記事の執筆時点では県の制度ページを直接確認できませんでした。県の制度については、中小機構の支援情報サイト(J-Net21)や市の公式ページに掲載された情報と、県ページの過去の掲載内容をもとに記載しています。
県:中小規模事業所省エネルギー診断
茨城県は、中小規模事業所の節電や省エネルギー対策を支援するため、専門のエネルギー診断員を無料で派遣し、技術的な助言を行っています。令和8年度の募集は90事業所、申込締切は令和9年2月26日です(J-Net21掲載情報)。
この診断は、後述する県の設備導入補助金の前提条件になっています。診断では、照明・空調・ボイラーなどの設備の更新提案だけでなく、運用の改善も助言されます。診断を受けた時点で、補助金を使うかどうかに関係なく、どの設備から手を付けると効果が大きいかを把握できます。国や他の機関の無料診断と比べたい場合は、省エネ診断を無料・低額で受ける方法も参考にしてください。
県:中小規模事業所省エネ対策設備導入補助金
県の省エネ診断で助言・提案を受けた設備を改修・更新するときに使える補助金です。令和7年度の県の案内では、主な条件は次のとおりでした。
- 対象者:県の省エネ診断を受診した工場・事業場を持ち、「茨城エコ事業所」と「いばらきエコチャレンジ」賛同事業所に登録している事業者
- 要件:診断で提案された設備の改修・更新と運用改善をすべて実施し、工場・事業場全体で省エネ率20%または10t-CO2相当以上の削減が見込まれること
- 補助率・上限:設計費・設備装置等購入費・工事費等の3分の1以内、上限100万円未満
- 併用:設備単位で国などの補助金との併用は不可
注意したいのは2点です。1つは、提案された設備の一部だけを更新する場合は対象にならないことです(県のよくある質問で「部分的な更新は補助の対象とはなりません」と明記)。もう1つは、茨城エコ事業所の登録完了までに約4か月(取組3か月+審査約1か月)かかり、実績報告までに登録が完了していなければならないことです。
令和7年度の申請期限は令和7年12月19日でした。令和8年度の申請の手引き・受付期間は、県公式サイトのシステム障害のため2026年10月22日時点で原文を確認できませんでした。申請を検討する場合は、県民生活環境部環境政策課(029-301-2939)に受付状況を確認してください。
- 省エネ診断の申込み無料。令和8年度は90事業所
- エコ事業所の登録完了まで約4か月かかる
- 提案設備の見積提案内容をすべて実施する計画
- 交付申請予算に達すると受付終了
- 交付決定後に工事実績報告と導入効果の報告
県:融資と、過去の太陽光・蓄電池補助
県は、中小企業者が省エネルギー施設や再生可能エネルギー施設(自らの施設で消費する目的のものに限る)を設置する資金について、融資のあっせんと利子補給を行う「環境保全施設資金融資」を設けています(つくば市の案内ページによる)。補助金の対象にならない設備や自己負担分の資金計画で検討できます。
事業所への太陽光発電設備と蓄電池の導入を補助する「いばらきエネルギーシフト促進事業補助金」は、令和4年度予算と令和5年度予算で実施され、令和5年7月26日に五次募集の受付を終えています。令和8年度の募集は確認できませんでした(2026年10月22日時点)。茨城県内で太陽光・蓄電池の補助を探す場合は、次に挙げる市町村の制度と国の制度を確認することになります。
市町村の制度
日立市:脱炭素設備導入促進事業補助金
- 対象:市内に事業所を持つ中小企業者(みなし大企業を除く)と各種組合
- 内容:「日立市脱炭素経営支援システム」のロードマップや省エネ診断などで助言・提案を受けた設備の導入・更新と運用改善
- 補助率・上限:対象経費の3分の1以内、1件100万円。年間1t-CO2以上の削減効果が見込まれること
- 申請締切:令和8年11月30日
東海村:中小企業省エネ設備導入支援補助金
- 区分:過去3年以内の省エネ診断等で提案された設備を導入する「省エネ診断事業」(上限50万円)と、省エネ基準達成率100%以上の機器を導入する「トップランナー基準等事業」(上限30万円)
- 補助率:補助対象経費(税抜)の2分の1
- 申請期限:令和9年1月29日(予算がなくなり次第終了)。申請前に商工業コーディネーターへの事前相談が必要
北茨城市:事業者向け自家消費型太陽光発電設備・蓄電池導入補助金
- 太陽光発電設備と蓄電池を同時に導入する事業者が対象(どちらか一方は対象外)
- 補助額:太陽光は1kWあたり5万円、蓄電池は1kWhあたり5.3万円(20kWh超)または4.7万円(20kWh以下)で蓄電池設置費の3分の1が上限
- 主な要件:FIT・FIPの認定を受けないこと、発電量の50%以上を自家消費すること
- 申請期間:令和8年5月1日〜令和9年1月29日。予定件数は4件で先着順
自家消費率の考え方は太陽光発電の自家消費率と補助金の要件で解説しています。
水戸市:企業立地促進補助金(脱炭素設備)
水戸市の企業立地促進補助金では、太陽光発電設備など脱炭素化に役立つ設備の取得費を3分の1、上限500万円で補助する区分があります。市民の新規雇用(5人以上)や床面積500平方メートル以上の事業所などが要件で、事業所の新設・増設とあわせて検討する制度です。
まとめ
- 茨城県の設備補助は県の省エネ診断が前提です。令和8年度の診断は90事業所、申込締切は令和9年2月26日です。
- 県の省エネ設備補助金は、診断の提案をすべて実施することと茨城エコ事業所の登録(約4か月)が条件です。令和8年度の受付状況は県に確認してください。
- 太陽光・蓄電池は、北茨城市など市町村の制度と国の制度が中心になります。条件は年度ごとに見直されるため、最新の要綱を確認してください。
市町村の制度の探し方は自治体の補助金の探し方でまとめています。タンソーマンGXでは、県・市町村・国の制度から事業所に合った補助金を選び、申請書類の作成から実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。
参考資料
- J-Net21(中小機構)「【茨城県】中小規模事業所省エネルギー診断」
- 茨城県「中小規模事業所省エネ対策設備導入補助金」(令和7年度の掲載内容)
- 茨城県「いばらきエネルギーシフト促進事業補助金」
- つくば市「茨城県からのお知らせ」(環境保全施設資金融資・省エネ診断)
- 日立市「令和8年度 日立市脱炭素設備導入促進事業補助金の申請について」
- 東海村「東海村中小企業省エネ設備導入支援補助金」
- 北茨城市「令和8年度 事業者向け自家消費型太陽光発電設備・蓄電池導入補助金について」
- 水戸市「水戸市企業立地促進補助金制度のご案内」
本記事の内容は2026年10月22日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



