公開 2026.10.22

業務用コージェネレーションの補助金 熱と電気を同時に使う設備の支援

この記事では、ガスなどを燃料に発電し、その際に出る熱も給湯や蒸気に使う「コージェネレーション(熱電併給)」の導入に使える国の補助金を解説します。令和7年度補正予算の省エネ・非化石転換補助金(SII)を中心に、補助対象になる性能の基準、全量自家消費の条件、環境省の制度での扱いの違いを整理します。

コージェネレーションとは

コージェネレーション(CGS)は、エンジン、タービン、燃料電池などで発電し、同時に発生する排熱を温水や蒸気として回収して使う設備です。電気だけを買い、熱はボイラーでつくる場合に比べて、燃料のエネルギーを無駄なく使えるのが特長です。

効率は、燃料のエネルギーのうち電気になった割合を示す「発電効率」と、電気と回収した熱を合わせた割合を示す「総合効率」で表します。補助金の審査でも、この2つの値が基準になります。

一方で、熱の使い道が少ない施設では回収した熱が余り、期待した効率になりません。補助金でも、発電した電気と回収した熱を自ら使い切ることが条件とされています。導入の検討は、熱をどれだけ使うかの確認から始めるのが基本です。

SIIの補助金:高効率コージェネレーションの基準

経済産業省の「省エネ・非化石転換補助金」(執行団体はSII)では、「高効率コージェネレーション」が指定設備の区分の一つになっています。令和7年度補正予算の公募要領で定められた主な条件は次のとおりです。

  • 性能の基準:JIS B 8121に準じて算出した発電効率(発電端)41%以上、または総合効率82%以上のいずれかを満たすこと(低位発熱量基準)
  • 全量自家消費:コージェネレーションでつくった電力と熱を、すべて自家消費すること
  • 対象範囲:コージェネレーション本体。電化・脱炭素燃転型に限り、専用ガス貯槽設備(貯槽タンク、払出ポンプ、ベーパーライザー)も対象

同じコージェネレーションでも、申請する事業区分で補助の内容が変わります。

コージェネレーションで使える主な国の制度

SII 設備単位型(従来枠)

  • 既存設備を指定設備へ更新
  • 補助率1/3以内、上限1億円
  • 対象経費は設備費のみ
  • 省エネ率10%以上などの要件

SII 電化・脱炭素燃転型

  • 石油などからガス等への燃料転換を伴う更新
  • 補助率1/2以内、上限3億円
  • 中小企業者等は工事費も対象
  • 水素対応の改造・新設も支援

環境省 SHIFT事業

  • 単純な高効率化は対象外
  • 電化・燃料転換を伴うシステム改修が対象
  • 電力・熱とも100%自家消費
  • 令和8年度の公募は終了

SII 令和7年度補正 4次公募 公募要領、SHIFT事業 令和8年度 三次公募 公募要領より作成。

より高い性能の設備を対象とするGX設備単位型[トップ性能枠]にも、総合効率または発電効率のいずれかが高水準のコージェネレーションが含まれています。設備単位型の全体像は省エネ補助金「設備単位型」で解説しています。

燃料転換を伴うなら電化・脱炭素燃転型

電化・脱炭素燃転型は、化石燃料から電気へ、あるいはより低炭素な燃料へ転換する設備更新を支援する区分です。公募要領の事業例には、石炭・石油などを燃料として温水を供給しているボイラーを、コージェネレーションに更新して燃料転換を図る事業が挙げられています。

この区分では、ヒートポンプで対応できる低い温度の領域は電化だけが対象とされていますが、高効率コージェネレーションはその限りではないとされています。重油ボイラーで温水をつくっている施設が、ガスのコージェネレーションに替える計画は、この区分で検討できることになります。

水素の利用を見据えた設備も対象です。水素を燃焼できる設備への更新・改造・新設は、10%以上の混焼率で実際に稼働させることが条件です。化石燃料を使い続ける場合は、将来の非化石エネルギーへの転換を検討するといった要件(GX要件)が求められる枠もあるため、申請前に確認が必要です。

環境省の制度での扱い

SHIFT事業は「単純な高効率化」を対象外に

環境省のSHIFT事業(省CO2型システムへの改修支援)では、コージェネレーションの単純な高効率化改修は補助対象外です。燃料を変えずに新しい機種へ更新するだけでは対象にならず、LNGから都市ガスへの転換も排出係数が変わらないため対象外とされています。対象になるのは、電化や燃料転換などでCO2を大きく減らすシステム改修の一部として導入する場合で、次の条件があります。

  • 発生した電力と熱を100%自家消費すること
  • 既存の発電設備の改修では、既存設備の発電量が上限
  • システム改修で新たに導入する場合は、既設の熱源設備の能力が熱の上限
  • 外部へ供給するコージェネレーションは対象外

SHIFT事業の仕組みは環境省SHIFT事業とはで解説しています。

防災・災害対応の制度

公共の避難施設や防災拠点を対象とする環境省の地域レジリエンス事業では、市区町村等がコージェネレーションを導入する場合の補助率は1/2です(民間企業は地方公共団体との共同申請で参加)。また、経済産業省の自衛的燃料備蓄補助金では、LPガスを燃料とする発電機(コージェネレーションを含む)が補助対象設備に含まれています。病院や福祉施設、避難所として協定を結んだ施設が対象です。詳しくは自立・分散型エネルギー設備の補助金をご覧ください。

申請前に確認しておきたいこと

コージェネレーション導入の検討手順
  1. 熱の需要を把握温水・蒸気の量と使う時間帯
  2. 電気と熱の比率を確認熱が余らない容量を選ぶ
  3. 全量自家消費を設計逆潮流や外部供給をしない
  4. 制度を選ぶ更新か燃料転換か、規模で判断
  5. 3者見積・申請交付決定後に発注
補助要件で特に確認したい点
  • 性能発電効率41%以上か総合効率82%以上(SII 指定設備の基準)
  • 自家消費電力も熱もすべて自社で使う計画になっているか
  • 燃料燃料転換を伴うか。同じ燃料の更新は区分が変わる
  • 時期交付決定前の契約・発注は補助対象外

令和7年度補正の設備単位型・電化・脱炭素燃転型の4次公募は、2026年10月5日から10月30日17時までです。補助率や基準は公募回・年度ごとに見直されるため、申請時は最新の公募要領で確認してください。

タンソーマンGXでは、コージェネレーションを含む熱源設備の更新について、省エネ効果の試算から制度の選定、申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。

参考資料

本記事の内容は2026年10月22日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。

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