
この記事では、工場のエアコンプレッサーや工作機械などの生産設備を省エネ型に更新するときに使える国の補助金について、令和7年度補正予算「省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)」の4次公募要領をもとに整理します。どの設備が対象になるのか、補助率と上限額、申請で求められる省エネ効果の要件が分かります。
工場の設備更新に使える「設備単位型」とは
経済産業省の省エネ補助金は、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が執行しています。令和7年度補正予算では「工場・事業場型」と「設備単位型」などの類型に分かれており、このうち設備単位型は、SIIがあらかじめ省エネ性能の基準を定めて公表した「指定設備」に入れ替える事業を支援するものです。
指定設備とは、設備の区分ごとにエネルギー消費効率などの基準を満たし、SIIが補助対象として公表した製品のことです。製品の型番単位で登録されているため、導入予定の機種が対象かどうかをSIIのホームページで確認できます。
設備単位型の中には、次の3つの枠があります。
- 設備単位型[従来枠]:指定設備への更新を支援する基本の枠
- GX設備単位型[メーカー強化枠]:GX要件を満たしたメーカー(GX表明メーカー)の指定設備への更新を支援する枠
- GX設備単位型[トップ性能枠]:GX表明メーカーの設備のうち、第三者委員会が定めたトップ性能基準を満たす設備への更新・新設を支援する枠
なお、オーダーメイド設備や複数設備を組み合わせた工場全体の省エネには「工場・事業場型」があります。詳しくは省エネ補助金「工場・事業場型」の解説をご覧ください。
コンプレッサーと生産設備は対象になるか
令和7年度補正予算の4次公募要領では、設備単位型[従来枠]の指定設備として、ユーティリティ設備10区分と生産設備5区分の計15区分が示されています。ユーティリティ設備とは、空調・ボイラ・圧縮空気など工場全体を支える共通設備のことです。
ユーティリティ設備
- 高効率空調、産業ヒートポンプ、業務用給湯器
- 高性能ボイラ、高効率コージェネレーション、低炭素工業炉
- 変圧器、冷凍冷蔵設備、制御機能付きLED照明器具
- 産業用モータ(モータ単体・ポンプ・圧縮機・送風機)
生産設備
- 工作機械
- プラスチック加工機械
- プレス機械
- 印刷機械
- ダイカストマシン
令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)4次公募 公募要領(SII)をもとに作成。
コンプレッサーの扱い
エアコンプレッサー(圧縮機)は、従来枠では「産業用モータ」の区分に含まれます。公募要領の基準表では、産業用モータの対象範囲を「産業用モータ単体・ポンプ・圧縮機・送風機本体、インバータ制御盤」としています。モータの極数や出力ごとに効率の基準値が定められており、これを満たす必要があります。
また、GX設備単位型[トップ性能枠]では、エアコンプレッサーで発生する圧縮熱を回収して排熱を利用できる「熱回収機能」を搭載した圧縮機が対象の一つとして挙げられています。
公募要領では、低炭素工業炉と圧縮機を除く産業用モータ(モータ単体、ポンプ、送風機)は原則として事前に製品型番を公表しないため、申請者が自ら基準を満たしているか確認のうえ申請すること、とされています。コンプレッサーを含め、導入予定の機種が対象かどうかは、SIIの「指定設備の補助対象設備一覧」で型番を確認してください。
補助率と上限額(令和7年度補正予算)
4次公募要領に示された設備単位型の補助率と1事業あたりの上限額は次のとおりです。下限額はいずれも30万円です。
- 設備単位型[従来枠]:更新、補助率1/3以内、上限1億円
- GX設備単位型[メーカー強化枠]:更新、補助率1/3以内、上限3億円
- GX設備単位型[トップ性能枠]:更新は補助率1/2以内、新設は1/5以内、上限3億円
出典:SII 令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)4次公募 公募要領。
注意したいのは、補助対象経費が「設備費」のみである点です。設計費、運搬費、既存設備の撤去費、据付費・工事費、配線や配管などの材料費は対象外です。また、設備費は原則として3者以上の価格競争などによる最低価格が上限となります。相見積もりの取り方は相見積もりの取り方の解説をご覧ください。
申請に必要な省エネ効果の要件
設備単位型では、原油換算量ベースで次のいずれかを満たす必要があります。原油換算とは、電気やガスなど種類の異なるエネルギーを原油の量(kl)にそろえて比べる方法です。
- 計画省エネルギー率:10%以上
- 計画省エネルギー量:1kl以上
- 経費あたりの計画省エネルギー量:1kl/千万円以上
省エネルギー量は、補助事業ポータルに稼働時間などを入力すると自動計算される「指定計算」のほか、申請者が自ら計算する「独自計算」でも申請できます。計算の考え方は省エネ効果の計算方法で解説しています。
その他の主な要件
- 国内で既に事業を営み、エネルギー管理を一体で行う工場・事業場で、現在使っている設備を更新すること(トップ性能枠の新設を除く)
- 更新前後で用途が同じであること。予備設備や中古品は対象外
- 省エネ法の定期報告義務がない事業者は、SII指定様式で中長期計画を作成して提出すること
- 化石燃料を使い続ける場合は、GX要件のうち化石燃料継続使用に関する意思表明を行うこと
- 大企業は、省エネ法の事業者クラス分け評価でSクラスまたはAクラスに該当するなど、公募要領に定める要件を満たす場合に限り対象
申請の流れと公募のスケジュール
- 機種の確認指定設備の一覧で型番を確認
- 見積・省エネ計算3者以上の見積と省エネ量の算出
- 交付申請補助事業ポータルで作成し郵送
- 交付決定決定後に契約・発注
- 導入・実績報告支払い後に報告し額が確定
令和7年度補正予算の設備単位型は、2026年10月5日から4次公募が始まっています。SIIの公募ページでは、受付期間を2026年10月30日(金)17時必着とし、申請書類は配送状況を確認できる方法で郵送し、持参は不可としています。交付決定は12月下旬の予定とされています。
交付決定前の契約・発注に要した経費は対象外です。詳しくは交付決定前に発注してはいけない理由をご覧ください。また、4次公募より後の公募があるかどうか、令和8年度補正予算などで同様の制度が続くかどうかは、現時点では公表されていません。対象設備や補助率は年度や公募回によって変わるため、必ず最新の公募要領で確認してください。
まとめ
エアコンプレッサーは産業用モータの区分として、また工作機械・プレス機械などの生産設備も指定設備として、設備単位型の補助対象になり得ます。一方で、補助対象は設備費のみで、型番が指定設備に登録されていることや、省エネ効果の要件を満たすことが前提です。まず更新したい設備の型番と、現状の稼働時間・消費電力を整理するところから始めると、申請可否を早く判断できます。
タンソーマンGXでは、コンプレッサーや生産設備の更新に使える制度の選定から、省エネ量の計算、申請書類の作成、実績報告までを支援しています。詳しくは補助金支援のページをご覧ください。
参考資料
本記事の内容は2026年10月21日時点で公表されている資料に基づきます。最新の条件は各事務局の公募要領をご確認ください。



